間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第七十四話 4人目の勇者

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魔力は無尽蔵にあるらしく、実験は結構いい具合に進んでいる。

ゾンビ化も解除できて普通の顔色に戻っている。
しかし、一度死んだ人間は生き返る事はない。
新たに顔を変え、身体つきを春樹そっくりに変えていく。
魔法とは便利な機能だった。

一度骨から壊して再構築する。
錬金術の基本的な構造原理を知っていれば簡単に行える作業だった。

初めにここにきた時に錬金術というスキルがあったのがよかったのかも
しれない。

あとはここに偽物の魂を植え付けるだけだが…。
魂の錬成は流石にできない。
できる事といえば、移し替える事だった。

最近春樹になついている狼が1匹いた。
フェンのように神獣ではないけど、いつも後ろをついて歩いてきた。

「おいで、これからはこの身体に入るんだ。いいかい?」
「くぅ~ん」

魔物なのだが言葉を返さない。
小物のせいでまだ言語理解ができないようだった。
それでも十分成果は出るだろう。ダメなら別のを入れ替えればいい。
土人形よりはよっぽどマシだろう。

魂の定着をさせるとしばらくそのまま時間がかかるらしい。
定着が収まるまでは放置する事にした。

「また来るよ」

返事はないがきっと理解はしているだろう。
反発しなければまる1日も有れば定着できる筈だ。
春樹はその間に少し仮眠を取るとララに偵察でギルドの書類を盗ませ
ていたのでそれに目を通す作業を続けていた。

カエデという勇者は順調に成長しているようだった。
戦い方も覚えて討伐依頼ばかりをこなしていた。
しかしレベルMAX99のままだったことからレベル上限解放すること
を知らないのだろう。
いや、知っていてもやらないタイプだろう。

カエデを召喚した国は躍起になって探しているようだった。
そして、イツキにも捜索依頼がかけられているようだった。

これにはきっとレベル上限を解放するために使うつもりだろう。
俺の時のように…。

国単位でこんな事を促すなんて流石に許すわけにはいかない。

「ガスいるか?」
「はい、ここに!」
「少し滅しておく必要のある国がある。いいか?」
「はい、魔王様の命令とあらばなんなりと」
「さぁ、準備が整い次第行こうか!」

春樹はカエデを召喚したとされる国へとガス率いる群を連れて大移動
を始めたのだった。

それを知った冒険者ギルドは冒険者達を集め、防衛へと回した。
もちろんS 級冒険者は強制的に召集されたと聞く。

先にワイバーンに乗って偵察に入ると物々しい厳重警備がなされていた。

「魔王軍が来ると躍起になってますね~」
「あぁ、そうだな。」

ララと一緒に見にきたのだが、慌ただしいせいか門も簡単に通された。
魔王自らが先に来ているなどとは思っても見ていないようだった。

「勇者はまだ見つからんのか!」
「それが街には居ないようでして…」
「他の国に触れを出して探しているにだろう。なぜまだ見つからんのだ!」
「それは…」
「くっそぉ~役立たずな勇者め…だから女の勇者などあてにならんのだ!」

兵の中でも豪華な鎧を身につけていた男は平然と悪態を言っていた。
召喚者というのはどこでもこういう扱いなのだろう。
反吐が出るほどムカついてくる。

春樹は今は姿をバレないようにと変装している。
椎名がかつて抱いてくれた姿である女性の姿に見えるように擬態して
いる。
どこからどう見てもララと並んで歩くと女性が二人いるようにしか見
えない。

「ハル様、これからどうしますか?」
「そうだな~せっかく先行してきたんだし…ちょっと…」
「おい、俺も勇者だ!道を開けろ!」

春樹がララに話しかけている時、みすぼらしい格好の男が兵士に話し
かけていた。
髭をボウボウにはやしていて年齢も結構上に見える浮浪者の様な姿で
剣だけは立派なものを携えていた。

「お前が勇者だと?嘘を言うな!この物乞い風情が…!」
「信じないならいい。自分の身体で体感しろ!」

一瞬にして態度のデカかった兵士の胴体が真っ二つにされていた。

「なっ、なっ、貴様なにをするんだぁー!」

部下であろう兵士は武器を構えて男を取り囲んだ。

「あぁ~こりゃ無理だろ…」

春樹がボソッと呟いた時には生きている兵士は一人もいなかった。

「チィ、死んじまったじゃねーか…おい、そこの女!この国のお偉い
 さんを連れて来い」
「無礼な!ハル様、このものを殺してもいいですか?」
「いや、待て…あんたには聞きたい事がある。勇者ってのは…本当ら
 しいな…なるほど」

春樹はステータスを覗き見ると称号に勇者とあった…が、それは斜線
で消される。
元勇者という事らしい。
椎名がそうであったように、勇者らしくない行動を取り始めると称号
は剥奪されるらしい。

「元勇者って感じかな?」
「ふ~ん、あんたなんでそれを知ってるんだ?」
「何でだろうな?それでなにをしにこの国へ来たんだ?」
「もちろん…ぶっ潰すためだ。今なら隙だらけだろう?それに宝物庫に
 用があんだよ。女、お前気に入った俺の女にしてやる。一緒に来いよ」

ララはこの男の言動にイライラしてる。
今にも飛び出しそうに勢いを静止させると面白そうなので乗ってみる事に
した。

「あんたのモノになる気はねーよ。でも、一緒に行ってやろうか?」
「度胸がある女は好きだぜ~。来いよ」

そのまま元勇者と名乗る男と一緒に城へと正門から向かった。

ほとんどその男が兵士を片っ端から片付けていくので何もせずに堂々と
城へと入れた。

「こんなところに魔王が攻めて来るって、何かあるのかね~」
「あながち、目的は同じかもしれないぞ?」
「俺様とか?はははっ、そりゃ~見どころがある魔王様だこった!」
「なにを探しに来ていたんだ?」
「それは…秘密ってやつだ。俺はなここじゃない世界から来たんだよ。
 まぁ、お前に話したところで、どうにかなるわけでもねーがな。」

男は自分の過去を話し出した。
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