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第九十五話 惨殺された街
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勇者達一行はそのまま魔王領に入っていた。
村や町には人間はほとんどいなかった。
なので、ほぼ野宿で過ごすしかない。
「はぁ~、急がないと食料が底をつくな~」
「でも、俺達は略奪なんかするわけにはいかないしな~」
「多分してもいいが…称号が消えるかもな?」
「「!?」」
そこに驚いたのは天野とカエデだった。
「称号が消えるってどういう事ですか!」
カエデには意味がわからずにいた。
椎名は一度、勇者という称号が消えたことがある。
それを説明すると、納得したように頷くと諦めるしかない事を知る。
「でもさ~それって勇者である、私達だけだよね?」
「そうだな…それ以外に誰がいるんだ…あ!」
視線が聖女へと向くと、聖女は食べていたものを一気に飲み込んだ。
「ま、まさか、わたくしに聖女として恥じる行為をやれというのですか!」
「見殺しにしても称号は取れなかっただろ?」
椎名に言われると、何も返せなかった。
「それに人を雇ってレイプさせたり、そういえば何度したんだったか?」
椎名の悪意ある言葉に黙ると、天野の前でこれ以上言うなとでも言いたそうに
していた。
「やるのか?やらないのか?どっちだ?」
「ちょっと、椎名くん。聖女様をあまり責めないでくれよっ!」
「いいですわ。わたくしがやりますわ。」
「聖女様って以外に、真っ黒なんだね~」
カエデからしてみれば初めての話で笑ってしまった。
次の街で決行しようという事になり、その日はしっかりと眠りについた。
聖女自身、この旅についていくと心に決めた時点でもう後戻りはできないと覚悟
を決めていた。
こんな事くらいで、音を上げたりなんかしない。
朝早くに霧が出始めた。
門へと一人で行くと、まだ締まったまま閉ざされていた。
街は鎮まり返っていて、誰もいないようだった。
この街はある程度大きく、物資の流通もあるだろうと見込んだのだが、そうでは
ないのだろうか?
朝早くから動く者はいないみたいだ。
こっそりと裏口の木戸を開けるとこっそりと魔法でカンヌキを開けると中へと入る。
そして門の内側の惨劇を見て声を失った。
門番の詰所は血塗れで、乾き始めていた。
家の中も、そしてそこは人間達の牧場のような街だった。
大きな倉庫は人間達の死体が固まって放置されていた。
慌てると魔法を空に打ち上げた。
緊急信号。
すぐに森の茂みで見ていた勇者達に呼びかけるものだ。
「さっき入ったばかりですぐに見つかるとは鈍臭いな」
「仕方ないよ~女の子だもん」
椎名の言葉にカエデがフォローする。
急いで駆けつけるとみんな唖然となった。
魔族も人も誰もが殺されていたのだ。
しかも剣で切られたのではない。
魔法で一気に引き裂かれたと言うのが正しいだろう。
ここまで酷い事をするのは誰なのだろうと考えさせられた。
そもそもこの街は魔族の街ではあるのだが、人身売買が行われていたらしい。
人間達は逃げ惑う前に一気に仕留められ、魔族達に至っては集められてそこで
やられていた。
逃げる様子もなく、殺されているのだ。
まさに顔見知りに呼ばれて、行ったら殺されたという感じだった。
「なんかおかしすぎるよ。これさ~誰かが暴れたにしても反撃さえしてないん
だもん。」
「そう…だな。」
「まるで…死んでくれって言われて、死んだみたいですね…」
「そんな事できるのか?しかも魔族にだぞ?」
誰もが分かってはいるのだ。
それができるのは魔王自身だろうと。
そんな事をする理由も何もないはずなのに…だ。
「魔王って、悪い人なのかな?」
「何を今更?」
「だってさーこれって倒しに来いっていてるようなもんじゃん?」
「だからそうだって…わざわざ春樹を攫ってまで…たしかに、なんでこんな事」
分からない事だらけだった。
そして椎名の中には信じたくない仮説が一つ思い浮かんでいた。
信じたくないし、こんな馬鹿な事があってたまるかと思っているのだが、どう
しても考えずにはいられない。
春樹を攫った理由。
魔族をことごとく惨殺する理由。
そして、魔王城までの最短ルートが安全過ぎる事。
まるで魔物が一斉に移動して別の場所にでも向かっているかのように静か過ぎるのだ。
「椎名くんはどう思う?」
「あぁ…どうかな…」
頭から離れない。一つの仮定。
春樹に限ってそんな事は…ない。
整理はできていないが、ただ生きて会えればそれでいい。
どこの世界が壊れようが、一緒に生きていく事ができればそれだけでいいと考えてしまっ
ていたのだった。
村や町には人間はほとんどいなかった。
なので、ほぼ野宿で過ごすしかない。
「はぁ~、急がないと食料が底をつくな~」
「でも、俺達は略奪なんかするわけにはいかないしな~」
「多分してもいいが…称号が消えるかもな?」
「「!?」」
そこに驚いたのは天野とカエデだった。
「称号が消えるってどういう事ですか!」
カエデには意味がわからずにいた。
椎名は一度、勇者という称号が消えたことがある。
それを説明すると、納得したように頷くと諦めるしかない事を知る。
「でもさ~それって勇者である、私達だけだよね?」
「そうだな…それ以外に誰がいるんだ…あ!」
視線が聖女へと向くと、聖女は食べていたものを一気に飲み込んだ。
「ま、まさか、わたくしに聖女として恥じる行為をやれというのですか!」
「見殺しにしても称号は取れなかっただろ?」
椎名に言われると、何も返せなかった。
「それに人を雇ってレイプさせたり、そういえば何度したんだったか?」
椎名の悪意ある言葉に黙ると、天野の前でこれ以上言うなとでも言いたそうに
していた。
「やるのか?やらないのか?どっちだ?」
「ちょっと、椎名くん。聖女様をあまり責めないでくれよっ!」
「いいですわ。わたくしがやりますわ。」
「聖女様って以外に、真っ黒なんだね~」
カエデからしてみれば初めての話で笑ってしまった。
次の街で決行しようという事になり、その日はしっかりと眠りについた。
聖女自身、この旅についていくと心に決めた時点でもう後戻りはできないと覚悟
を決めていた。
こんな事くらいで、音を上げたりなんかしない。
朝早くに霧が出始めた。
門へと一人で行くと、まだ締まったまま閉ざされていた。
街は鎮まり返っていて、誰もいないようだった。
この街はある程度大きく、物資の流通もあるだろうと見込んだのだが、そうでは
ないのだろうか?
朝早くから動く者はいないみたいだ。
こっそりと裏口の木戸を開けるとこっそりと魔法でカンヌキを開けると中へと入る。
そして門の内側の惨劇を見て声を失った。
門番の詰所は血塗れで、乾き始めていた。
家の中も、そしてそこは人間達の牧場のような街だった。
大きな倉庫は人間達の死体が固まって放置されていた。
慌てると魔法を空に打ち上げた。
緊急信号。
すぐに森の茂みで見ていた勇者達に呼びかけるものだ。
「さっき入ったばかりですぐに見つかるとは鈍臭いな」
「仕方ないよ~女の子だもん」
椎名の言葉にカエデがフォローする。
急いで駆けつけるとみんな唖然となった。
魔族も人も誰もが殺されていたのだ。
しかも剣で切られたのではない。
魔法で一気に引き裂かれたと言うのが正しいだろう。
ここまで酷い事をするのは誰なのだろうと考えさせられた。
そもそもこの街は魔族の街ではあるのだが、人身売買が行われていたらしい。
人間達は逃げ惑う前に一気に仕留められ、魔族達に至っては集められてそこで
やられていた。
逃げる様子もなく、殺されているのだ。
まさに顔見知りに呼ばれて、行ったら殺されたという感じだった。
「なんかおかしすぎるよ。これさ~誰かが暴れたにしても反撃さえしてないん
だもん。」
「そう…だな。」
「まるで…死んでくれって言われて、死んだみたいですね…」
「そんな事できるのか?しかも魔族にだぞ?」
誰もが分かってはいるのだ。
それができるのは魔王自身だろうと。
そんな事をする理由も何もないはずなのに…だ。
「魔王って、悪い人なのかな?」
「何を今更?」
「だってさーこれって倒しに来いっていてるようなもんじゃん?」
「だからそうだって…わざわざ春樹を攫ってまで…たしかに、なんでこんな事」
分からない事だらけだった。
そして椎名の中には信じたくない仮説が一つ思い浮かんでいた。
信じたくないし、こんな馬鹿な事があってたまるかと思っているのだが、どう
しても考えずにはいられない。
春樹を攫った理由。
魔族をことごとく惨殺する理由。
そして、魔王城までの最短ルートが安全過ぎる事。
まるで魔物が一斉に移動して別の場所にでも向かっているかのように静か過ぎるのだ。
「椎名くんはどう思う?」
「あぁ…どうかな…」
頭から離れない。一つの仮定。
春樹に限ってそんな事は…ない。
整理はできていないが、ただ生きて会えればそれでいい。
どこの世界が壊れようが、一緒に生きていく事ができればそれだけでいいと考えてしまっ
ていたのだった。
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