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第百○五話 夢の中へ〜斉藤楓〜異世界
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事件後、逃げたのは玲華の父親だと分かった。
単身赴任先で女ができて、妻と子供がいらなくなったらしい。
なら離婚すればいいのに…
と思うが、大人の事情なのだろう。
未だに捕まっていないらしい。
そのせいか、落ち込んでいる楓にいつも樹が絡んできては元気を出そうとして
くれるが、そんなふうに思えなかった。
毎日のように楓は玲華の家の前に行くと立ち止まってしまう。
「楓~もうこっち通るのやめようぜ?」
「なんで…?玲華は親友だったんだよ?」
「辛くないか?お前が辛くないかって言ってんだよ…」
「私は…辛くてもいい、玲華が可哀想だよ…私だけでもずっと友達だよって…?」
「…?」
樹の後ろに影が差すと真上に光る何かが振り下ろされていた。
目の前で、真っ赤な血が飛び散ると、楓は悲鳴をあげていた。
樹が刺された!?
刺される瞬間に楓を突き飛ばしていた。
だが、突き飛ばされても、楓は怖くて逃げられなかった。
玲華の家の前で、樹も死んでしまう。
怖くなって体が動かない。
早く、動け!動いて!
必死に考えていても震える身体は自由にならなかった。
地面へと転がる樹を目の前に、必死で何か訴えている。
声が耳に届いた時には包丁を持った男が前まで来ていた。
「に…げろ…ッ…にげろーっ!」
「ひぃっ…ぃ…やっ…」
腕を掴まれるともう、終わったと思った。
その瞬間光に包まれていて、痛みが胸を貫くと同時に意識が消えていた。
次の見たのは石壁に囲まれた王宮の地下だった。
横には生きている樹が横たわっていた。
「ねぇ~起きてよ!樹ってば~」
「んっ?…あれ…?俺、生きてる?」
さっき刺された場所を触って見るが、傷跡は一切なかった。
「ここはどこだ?どこかに連れて来れられたのか?」
「分かんない…私もさっき起きたばっかりだし…」
床には何か細かい模様が書かれていた。
文字なのか、全く読めなかった。
英語でもないし他国の文字なのだろうか?
すると、重い扉が開いてドレスを着た女性がいかつい兵士を連れて入ってきた。
「ようこそお越しくださいました。勇者様」
にっこりと笑って言う顔が玲華にそっくりだった。
「れい…か?玲華!生きてたの?」
「違う!楓、落ち着けって…こいつ玲華ちゃんじゃない…」
すぐに飛びつこうとした楓を抑えるように樹が制した。
見た目は似ているが雰囲気も違う。
もう死んだ人間が目の前にいるはずないのだ。
「そ…そうだよね…なら誰?」
「わたしくしはこの国に使える神官です。アスラとお呼びください」
「その神官が何の用なんだ?」
仏頂面で聞く樹にアスラはこの国と勇者の伝承を話してくれた。
「ですから、こちらに来てくださった勇者様には国の為に魔王討伐と侵略民の
討伐をお願いしたいのです」
勇者と言われると悪い気はしない。
が、楓と樹ではレベルも力も全く異なっていた。
楓は少し力を加えただけでも木を真っ二つにできる
ほどの怪力が備わっていたのに対して、樹は剣を振るのもやっとだった。
「俺らって力に差はなかったよな?」
「そのはずだけど…ここに来て結構変わっちゃったね?」
「明日は大丈夫か?魔物討伐に行くんだろ?」
「うん…そうだね。怖くないといえば嘘になるけど…勇者の使命って言われると
耳が痛いや…」
「…俺も行くからなっ!」
「えっ…なんで?」
「楓一人で行かせられるかよっ…決めた事だから、おやすみ」
知らない兵士と共に行くはずだった遠征に樹も来てくれるだけで不安がやわらい
だ気がした。
その頃から樹が兵士達と特訓しているのを良く目にするようになった。
剣を持っても様になるようになって来たし、一緒に近くの森に狩りに行ってもか
なり戦えるようになっていた。
そして、戦場に出た。
目の前で人が倒れていく中、血を見た瞬間、楓は戦えなくなっていた。
兵士の後ろで怯えるように膝を抱えていた。
むしろ樹の方が生き生きと戦っていた。
単身赴任先で女ができて、妻と子供がいらなくなったらしい。
なら離婚すればいいのに…
と思うが、大人の事情なのだろう。
未だに捕まっていないらしい。
そのせいか、落ち込んでいる楓にいつも樹が絡んできては元気を出そうとして
くれるが、そんなふうに思えなかった。
毎日のように楓は玲華の家の前に行くと立ち止まってしまう。
「楓~もうこっち通るのやめようぜ?」
「なんで…?玲華は親友だったんだよ?」
「辛くないか?お前が辛くないかって言ってんだよ…」
「私は…辛くてもいい、玲華が可哀想だよ…私だけでもずっと友達だよって…?」
「…?」
樹の後ろに影が差すと真上に光る何かが振り下ろされていた。
目の前で、真っ赤な血が飛び散ると、楓は悲鳴をあげていた。
樹が刺された!?
刺される瞬間に楓を突き飛ばしていた。
だが、突き飛ばされても、楓は怖くて逃げられなかった。
玲華の家の前で、樹も死んでしまう。
怖くなって体が動かない。
早く、動け!動いて!
必死に考えていても震える身体は自由にならなかった。
地面へと転がる樹を目の前に、必死で何か訴えている。
声が耳に届いた時には包丁を持った男が前まで来ていた。
「に…げろ…ッ…にげろーっ!」
「ひぃっ…ぃ…やっ…」
腕を掴まれるともう、終わったと思った。
その瞬間光に包まれていて、痛みが胸を貫くと同時に意識が消えていた。
次の見たのは石壁に囲まれた王宮の地下だった。
横には生きている樹が横たわっていた。
「ねぇ~起きてよ!樹ってば~」
「んっ?…あれ…?俺、生きてる?」
さっき刺された場所を触って見るが、傷跡は一切なかった。
「ここはどこだ?どこかに連れて来れられたのか?」
「分かんない…私もさっき起きたばっかりだし…」
床には何か細かい模様が書かれていた。
文字なのか、全く読めなかった。
英語でもないし他国の文字なのだろうか?
すると、重い扉が開いてドレスを着た女性がいかつい兵士を連れて入ってきた。
「ようこそお越しくださいました。勇者様」
にっこりと笑って言う顔が玲華にそっくりだった。
「れい…か?玲華!生きてたの?」
「違う!楓、落ち着けって…こいつ玲華ちゃんじゃない…」
すぐに飛びつこうとした楓を抑えるように樹が制した。
見た目は似ているが雰囲気も違う。
もう死んだ人間が目の前にいるはずないのだ。
「そ…そうだよね…なら誰?」
「わたしくしはこの国に使える神官です。アスラとお呼びください」
「その神官が何の用なんだ?」
仏頂面で聞く樹にアスラはこの国と勇者の伝承を話してくれた。
「ですから、こちらに来てくださった勇者様には国の為に魔王討伐と侵略民の
討伐をお願いしたいのです」
勇者と言われると悪い気はしない。
が、楓と樹ではレベルも力も全く異なっていた。
楓は少し力を加えただけでも木を真っ二つにできる
ほどの怪力が備わっていたのに対して、樹は剣を振るのもやっとだった。
「俺らって力に差はなかったよな?」
「そのはずだけど…ここに来て結構変わっちゃったね?」
「明日は大丈夫か?魔物討伐に行くんだろ?」
「うん…そうだね。怖くないといえば嘘になるけど…勇者の使命って言われると
耳が痛いや…」
「…俺も行くからなっ!」
「えっ…なんで?」
「楓一人で行かせられるかよっ…決めた事だから、おやすみ」
知らない兵士と共に行くはずだった遠征に樹も来てくれるだけで不安がやわらい
だ気がした。
その頃から樹が兵士達と特訓しているのを良く目にするようになった。
剣を持っても様になるようになって来たし、一緒に近くの森に狩りに行ってもか
なり戦えるようになっていた。
そして、戦場に出た。
目の前で人が倒れていく中、血を見た瞬間、楓は戦えなくなっていた。
兵士の後ろで怯えるように膝を抱えていた。
むしろ樹の方が生き生きと戦っていた。
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