偽りの王女に奪われた世界

秋元智也

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竜騎兵の討伐

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何体か倒した時ふと、気になってカールのステータスを見てみたがいまだにレベルアップしていない。
俺達はそれなりに上がってきている。
鎧騎士は其ほど攻撃が早くないため隙が多いしまともに攻撃を食らわなければたいした敵ではない。
その割りに経験値が稼げるので結構おいしいと言わざるを得ない。
それなのにカールは一向にレベルに変化がない。攻撃はちゃんと当たってるので経験値は入っている。
しかし、上がりが少ないのが不安要素だ。
そしてMPの多さも気になる。
そして、たどり着いたのが目の前にある大きな扉である。
勿論ただの部屋というわけではない。
ボス部屋だ。この先には竜騎兵が待っている。
確か雷の騎士剣で攻撃した方がよかったはずだが、、、。
「カールは、入ったら直ぐに前に向けて毒を発生させて一時後退。ミナは右側から壁を伝って横を取れ。俺は左側から責める。柱は一回の攻撃で倒されていくはずだから柱の影だからと安心するなよ。ゼムは魔法を用意して俺達の攻撃が入って後退したタイミングで頼む」
「「了解」」
「行くぞ」
シリの掛け声と共に扉を軽く押すと自動的に開いた。
中から冷気に似たうすら寒いような煙が立ち込めていて、そこはもう扉の中であり、部屋の真ん中にたっていた。入った扉は消えていてもうどこにも逃げ道はない。
「カール。霧だ」
「皆は散開」
「はっ・・・・はいっ」
いきなり呆けていたカールだったが、シリに一喝されると霧を辺りに撒いて素早く逃げた。
先程までカールのいた場所には大きな槍が突き刺さっていた。竜騎兵が今しがた突進してきたのである。
鎧騎士とは比べ物にならないくらいの早さである。
しかし、運が悪いことにそこには毒の霧が撒かれており、しっかり毒にかかりHPが自然と減り始めたのだ。
槍を引き抜くうちにミナが攻撃が右から刺さる。
状態が傾きダメージも蓄積される。ターゲットをミナに決めたのを確かめてからシリが後ろに回り込んで切りつける。すると直ぐに後ろに下がりゼムの炎の火球が飛び交う。
カールが弱点属性は炎、雷、毒であると言ったのでゼムには炎を中心に魔法を用意して貰って、ミナには炎のロングソードを装備、カールには毒霧と、毒の矢に徹してむらう。俺は雷の騎士剣での牽制である。
ダメージは順調に蓄積されている。残り半分まで来ていた。
「そろそろ攻撃が変わるぞー」
そのとき竜騎兵が溜めに入った。
「何か来る。盾を構えろ」
その指示を出した直後に衝撃波が周りに放たれた。
「うぐっ」
「攻撃、来るぞ」
さっきまでのただの突進ではなく、今度は回転しながらの突進になった。
これでは紙一重でかわしてもしっかりと攻撃が当たってしまう。それに盾を構えようにも回転しているので回数当たれば吹っ飛ばされかねない。ミナと俺はすぐさま距離を詰めて接近戦に持ち込む。
流石に離れていなければ突進は使ってこない。なので極力びったりと後ろを取るべく張り付きながら攻撃を左右から加える。
槍では不利だと思ったのかいきなり大剣に持ち替えた。
大剣は大降りな為に一回かわすと隙が多い。
とにかくボスの攻撃を待って、かわしてから攻撃に入る。
その間に毒の矢が刺さりHPがみるみるうちにレッドゾーンを僅かに残す程度になった。
「戦技いっくよー」
「わかった」
ミナが戦技をはずさないように敵の注意を俺に釘づけにするべく動き出す。
そして俺に気を取られているうちにバックサイドからミナが貫く。
燃える炎のロングソードで炎を纏った剣を貫き通す。
ボスの体は炎に包まれ次にエフェクトが弾ける。
するとアイテムボックスに竜騎兵の大盾が入った。ミナには竜騎兵の大槍、ゼムには竜騎兵の鎧がドロップしていた。カールはというと経験値だけのようである。
そしてカールはアイテムボックスを持っていないのである。
これは賢者プレーヤーだけのようだった。
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