偽りの王女に奪われた世界

秋元智也

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幻の衛兵

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今3人の前には見慣れたボス部屋へと続く扉がある。
勿論自分達だけで倒してもいいのだが白霊を呼ぶことも可能だった。
ボス部屋の手前の牢獄の中に魔方陣が浮かび上がってきたいた。 
「呼び出すか?」
「そうですな。人数的に多い方が有利ですしな」
「えーうちらだけでもいけそうじゃん?」
ミナの意見は即、脚下された。
ゼムが白霊を呼び出しているうちにミナには選択を迫った。
上で戦うか、それとも下で戦うかを・・・。勿論分かってはいるのだがレディファーストというやつだ。
「上より下かな?その方が足場広いし。」
「前に上で戦わせたら落ちてきたもんな?すっげー迷惑だったし?」
オーバーリアクションで返すとミナも返してきた。
「あれは、足場が狭いのが悪いのよ~シリだって落ちて来ないでよ~」
「落ちねーよ。足下見ながら避けてるっつーの!ミナだけだぞ?足下も見ないで避けるのは!」
「そんな事ないもん。ゼムもこの前つまずいて転けてたじゃん?」
「わしが何ですと?いない間に言いたい放題ですな?」
奥から白霊を伴ってゼムが現れた。
「よろしくね?」
ミナが白霊に向かって話すと白霊は礼儀正しく頭を下げた。
一瞬言葉が通じるのだろうかと疑問に思ってしまった。
「白霊には一階で戦ってもらう。いいか?」
ダメもとで話しかけると、直ぐに頷いて見せた。
ゲームの時と違って意思疏通ができるらしい。
「じゃーいくぞ。」
頑丈な扉に手をかけて押していく。
中は真っ白な霧に包まれたかと思うと直ぐに晴れて目の前には崩れかけた狭い足場があった。
白霊は直ぐに下の階に降りていった。それにつられるようにしてミナとゼムが後を追っていく。
俺はここで敵が落ちてくるのを待つ。
すると、一階の奥から3体の大きな俺らの3倍はありそうな衛兵が顔をだした。
持っているのは盾と長めの金槌だった。
一発程度ならそれほどのダメージでもないのだが回転しながら近づいてくる為、どうしも回数当たってしまい瀕死に近くなってしまう。
一体が上にいる俺に気づくとジャンプして上がってきた。
足場が狭いためここでは回転をしながらの攻撃は出来なくなる。
その結果、突き刺しが特に多くなるのだった。
いきなり着地すると同時にこちらに突き出される金槌を横に捻って交わし足下を切りつける。
後ろへと回ると、敵も金槌を大きく振り回し始める。
と、いっても狭いのが幸いして壁に当たると一旦行動がキャンセルを食らう。
その隙を逃さず兎に角足を切り続ける。
片方ばかりを切りつけたお陰かバランスを崩し膝を付いた。
そこを待ってましたとばかりに後ろからのバクスタを決める。
余りに身長差が有りすぎると膝をつかせない限りバクスタは決めれないのだ。
バクスタが綺麗に決まると一旦倒れこみ、そこからゆっくりと立ち上がる。その間は攻撃が入れ放題になるのでここを見逃さず一気に体力ゲージを削っていく。
下でもつばぜり合いの音が響いていた。
さっさと決めればこちらの有利は揺るぎないものとなる。
焦りは禁物だが時間をかけすぎると体力の消耗も馬鹿にならなくなってしまうのだ。
完全に立ち上がると少し距離を取り、突きを誘う。
今度は振り上げて地面に降り下ろしてきた。
降り下ろすタイミングでジャンプすると、そのまま横に飛び足下に目掛けて切りつける。
ちょろちょろと足下にへばりつき攻撃をかわし続ける。あと、少し。
そう思って切りつけると、またバランスを崩しよろめく。
チャーンスと思い後ろを取るとバクスタを決める。
すると、HPゲージが一気に無くなりエフェクトが弾ける。
体力回復だけ飲むと一階に飛び降りた。

一階に降りた3人の目の前には3体の大きな衛兵が表れたところだった。
先頭にいた一体は上を向くと二階にいるシリのもとへとジャンプしていった。
残りは2体。こちらは3人。有利なのは代わらないが、戦闘空間が非常に広いし相手はでかい。
ジャンプで一気に距離を詰められる為、距離を取っても余り意味がない。
それでも3人は固まることなくバラバラに各自散った。
すると、1体はミナの方に、1体は白昼
霊の方へと別れて攻撃してきた。一気にジャンプをしたかと思うと、すぐ目の前に来ていた。
長めの金槌を振り回しながら迫ってくる。避けて足下に入り込むと切りつける前にジャンプして距離を取られてしまった。
「厄介だな~」
ゼムはミナから離れた衛兵に向けて弓を構える。
狙われてさえいなければ弓で当てることは出来る。
ヘッドショットが当たると今度はゼムの方へと回転しながら向かっていく。
ゼムは転がって逃れると多少は当たったのかHPが少し減っていた。
弓に矢をつがえいつでも打てる体制で構える。
完全にゼムを狙いだした衛兵にミナが後ろから突っ込んでいく。
「私を無視するなーーーー」
ジャンプすると、一気に叩き切る。
走りながらの強攻撃は当たればダメージは大きい。衛兵は前につんのめると後ろを振り向く。
そのままからだの向きを変える前に、前から矢が飛んでくる。
金槌をおお振りに振り回し始めた。
後ろを魔法で出来た大きな矢が通過する。
白霊の攻撃だった。順調にHPを削っているようだった。
ゼムは一旦距離を取ると、その間にミナは距離を詰めた。
ターゲットを常に前衛のミナに集中させる為だった。しかし、それも思い通りにはいかず、ジャンプをすると、ゼムの方へと向かっていってしまう。
「なんか、今回わしが狙われておるような気がするんじゃが~」
スレスレで避けると壁際を走る。
近すぎるのは後衛にとっては余り好ましくない。
その後ろをミナが追いかける。
「ちょっとー待ちなさいよ~」
回転をかけるとゼムの方へと向かっていく。
ゼムは避けるタイミングを計りながらゆっくりと見極めていると反対側からもう一体が突っ込んできていた。
気付いたときにはもう、遅かった。突っ込んできた方に逃げる予定でいたため逃げ出せなくなり、回転をまともに食らってしまった。
「なにっ、ぐはっ・・・」
HPが一気にレッドゾーンに入ると消えた。
つけていた犠牲の指輪が砕け落ちると、HPが僅かに回復した。
体を薄い膜が覆い、少し発光している。ミナの時と同じだった。
この間はダメージが一切通らない無敵状態なのだ。
ゼムは鈍器を出すと一気に殴りかかった。
体力も今だけは疲れ知らずである。
白霊はいつの間にか消え去っていた。
ミナは舌打ちをすると、ゼムとは反対側にいる敵に向かって突っ込んだ。
振りかぶっているのを下からすり抜けると横から切りつけた。
またもやおお振りに振ってきた所を避けては切りつける。
その時「危ない!」っと、声が聞こえて振り向くとゼムの方へと行っていた衛兵がミナの方へと向かってきていた。
「二体は卑怯なんじゃないの?」
避けるか、盾で受け止めるか迷っていると上から人が降ってきていた。
それもこちらに向かっている衛兵の真上からである。
「任せろー」
巨体にとっては上からの攻撃には滅法弱いものである。
上から落下しながら切りつけると一発でダウン状態に持っていくことができた。
「一気に方をつける」
ゼムに言うと鈍器を構え、シリと共にタコ殴りにし始めた。
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