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19話 身内殺し
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リーさんの遺体から流れ出た血液は床に染みを作っていた。
「おい、それを片付けろ。それと掃除もちゃんとしておけよ」
「はっ…はい!」
「綺麗にしておかないと、僕が疑われるからな~もし、染みが残って
いたら…今度はお前がそのシミになるんだからな?」
使用人は身震いすると、急いで片付け始める。
麻袋に遺体を詰めてマットのシミの上には白い粉を被せておく。
その間に大きな麻袋を担ぐと出て行った。
「すべては順調だ…はっははは…傑作だな、主人の元に旅立つとは…」
ハイドは一人ごとの様に呟いていた。
「あ~ぁ、やっぱり殺っちゃったかぁ~」
「誰だ!」
いきなりの声に窓の方を振り向くと今まで閉まっていたはずの窓が開いた。
そこには真っ黒な衣装に身を包み、真っ黒な髪に真っ黒な瞳の女性が立っ
ていた。
「ま、まさか…お前が…」
「想像はついたかな?私の事…依頼書はちゃんとサインして返してくれな
いとダメだよ?完了にならないでしょ?」
「何を言って…朝にちゃんと…」
「いーや、鳩は届いてないよ?なぜなら…君の父親が撃ち殺してしまった
からね~そっか、10歳の君じゃ、想像もつかなかったかな?」
「…!?」
予想外の言葉にハイドは焦った。
まさか、あの契約書を父が見ている?
そんなはずは…では、さっき聞いてきたのは、事情を知っていてワザとだと?
混乱していた。
そして一番混乱したのは、魔女の後ろから現れたケイルそっくりな子供だった。
「お、お前は…どうして生きて…」
「あぁ、そうだ!可愛かったので、殺してからもう一度生き返らせたのよ?ど
うかしら?私の可愛いお人形さんよ?」
「生き返られた…だと?」
「そうよ?だって、殺さないと依頼が達成できないじゃない?殺したあとは何
をしてもいいでしょ?」
ただ、眺めているだけで話さないケイルに、一瞬焦ったものの、人形と思えば
安心できるらしい。
「気色悪い趣味だな?そんな出来損ないのクズのどこがいいんだか…」
「今…クズって言った?お兄ちゃんをクズって言ったわよね?」
殺気が部屋を覆うとハイドはそのまま立って居られず、足元の床にはちびったで
あろう水が溢れていた。
「やだ~、漏らしたの?まさか10歳にもなって~?情けないわね?」
「もういいだろ?」
「うん、お兄ちゃんが言うなら仕方ないなぁ~」
「はぁ~、ハイド兄様僕を殺して、今度はロイド兄様や、アンネ姉様まで手にか
ける気でいたんですか?」
突然話し出したケイルに驚きを隠せなかった。
「に…人形のはずだろ…なんで話して…」
「もういいですよ。芝居は…、どうなんですか?」
「そんなっ…そんな事をするわけないだろ?実の兄弟だぞ?」
「僕も実の兄弟ですけど?」
「それは…お前を兄弟と認めるわけが…ひぃっ!!」
いきなり床にナイフが刺さると怯える様に蹲った。
「お兄ちゃんに対して口の聞き方がなってないわね?」
「な、な…なんでこんな奴が…貴方は漆黒の魔女じゃないんですか!」
「そうよ!昔はそう呼ばれていたわね。でも…今はこの子の妹になったの!」
実に嬉しそうに言うので、呆気に取られてしまう。
そして、さっきまでにこやかに笑っていたはずがすぐに殺気だつ。
「だから~君、一回死んでみよっか!」
「ま、まて!待ってくれ!僕を殺したら大変な事に…」
「いいわよ~、もう一人殺した事になってるし~?二人に増えたって構わないわ」
「僕は君の依頼者だぞ!」
「そうね~、でも、依頼は終わったじゃない?」
「終わってない!なぜ、こいつが生きているんだ!目の前で殺すべきだろ!」
ハイドの言葉に圭子から殺気が漏れる。
「もういいよ。圭子待って、俺がやるから…」
そう言うとハイドの前へ進んでいく。
「悪いけど、人を殺そうとしたんだから、逆に殺されても仕方ないよね?」
「ケイルお前…兄を殺すつもりか?」
「そう、兄だったね?この世界では…でもね、俺はもう死んでるんだよ?」
サクッと持っていた剣を抜くと心臓目掛けて貫いた。
骨に当たって止まるかと思ったが、意外とすんなり入った。
「こ…この身内殺しが…がはっ…」
「うん、そうだね。でも、リーさんには生きててほしかったな…」
引き抜くと剣を振ってその辺に散らばった紙で血を拭いた。
「行こっか?」
「そうだね!少しは気分が晴れた?お兄ちゃん!」
「どうだろう…」
苦笑いを浮かべると来た窓から出て、そのまま空へと舞い上がった。
部屋にはちょうど人が帰ってきたのか、騒がしくなった。
これからもっと騒がしくなるだろう。
二人は一旦家へと戻る事にしたのだった。
「おい、それを片付けろ。それと掃除もちゃんとしておけよ」
「はっ…はい!」
「綺麗にしておかないと、僕が疑われるからな~もし、染みが残って
いたら…今度はお前がそのシミになるんだからな?」
使用人は身震いすると、急いで片付け始める。
麻袋に遺体を詰めてマットのシミの上には白い粉を被せておく。
その間に大きな麻袋を担ぐと出て行った。
「すべては順調だ…はっははは…傑作だな、主人の元に旅立つとは…」
ハイドは一人ごとの様に呟いていた。
「あ~ぁ、やっぱり殺っちゃったかぁ~」
「誰だ!」
いきなりの声に窓の方を振り向くと今まで閉まっていたはずの窓が開いた。
そこには真っ黒な衣装に身を包み、真っ黒な髪に真っ黒な瞳の女性が立っ
ていた。
「ま、まさか…お前が…」
「想像はついたかな?私の事…依頼書はちゃんとサインして返してくれな
いとダメだよ?完了にならないでしょ?」
「何を言って…朝にちゃんと…」
「いーや、鳩は届いてないよ?なぜなら…君の父親が撃ち殺してしまった
からね~そっか、10歳の君じゃ、想像もつかなかったかな?」
「…!?」
予想外の言葉にハイドは焦った。
まさか、あの契約書を父が見ている?
そんなはずは…では、さっき聞いてきたのは、事情を知っていてワザとだと?
混乱していた。
そして一番混乱したのは、魔女の後ろから現れたケイルそっくりな子供だった。
「お、お前は…どうして生きて…」
「あぁ、そうだ!可愛かったので、殺してからもう一度生き返らせたのよ?ど
うかしら?私の可愛いお人形さんよ?」
「生き返られた…だと?」
「そうよ?だって、殺さないと依頼が達成できないじゃない?殺したあとは何
をしてもいいでしょ?」
ただ、眺めているだけで話さないケイルに、一瞬焦ったものの、人形と思えば
安心できるらしい。
「気色悪い趣味だな?そんな出来損ないのクズのどこがいいんだか…」
「今…クズって言った?お兄ちゃんをクズって言ったわよね?」
殺気が部屋を覆うとハイドはそのまま立って居られず、足元の床にはちびったで
あろう水が溢れていた。
「やだ~、漏らしたの?まさか10歳にもなって~?情けないわね?」
「もういいだろ?」
「うん、お兄ちゃんが言うなら仕方ないなぁ~」
「はぁ~、ハイド兄様僕を殺して、今度はロイド兄様や、アンネ姉様まで手にか
ける気でいたんですか?」
突然話し出したケイルに驚きを隠せなかった。
「に…人形のはずだろ…なんで話して…」
「もういいですよ。芝居は…、どうなんですか?」
「そんなっ…そんな事をするわけないだろ?実の兄弟だぞ?」
「僕も実の兄弟ですけど?」
「それは…お前を兄弟と認めるわけが…ひぃっ!!」
いきなり床にナイフが刺さると怯える様に蹲った。
「お兄ちゃんに対して口の聞き方がなってないわね?」
「な、な…なんでこんな奴が…貴方は漆黒の魔女じゃないんですか!」
「そうよ!昔はそう呼ばれていたわね。でも…今はこの子の妹になったの!」
実に嬉しそうに言うので、呆気に取られてしまう。
そして、さっきまでにこやかに笑っていたはずがすぐに殺気だつ。
「だから~君、一回死んでみよっか!」
「ま、まて!待ってくれ!僕を殺したら大変な事に…」
「いいわよ~、もう一人殺した事になってるし~?二人に増えたって構わないわ」
「僕は君の依頼者だぞ!」
「そうね~、でも、依頼は終わったじゃない?」
「終わってない!なぜ、こいつが生きているんだ!目の前で殺すべきだろ!」
ハイドの言葉に圭子から殺気が漏れる。
「もういいよ。圭子待って、俺がやるから…」
そう言うとハイドの前へ進んでいく。
「悪いけど、人を殺そうとしたんだから、逆に殺されても仕方ないよね?」
「ケイルお前…兄を殺すつもりか?」
「そう、兄だったね?この世界では…でもね、俺はもう死んでるんだよ?」
サクッと持っていた剣を抜くと心臓目掛けて貫いた。
骨に当たって止まるかと思ったが、意外とすんなり入った。
「こ…この身内殺しが…がはっ…」
「うん、そうだね。でも、リーさんには生きててほしかったな…」
引き抜くと剣を振ってその辺に散らばった紙で血を拭いた。
「行こっか?」
「そうだね!少しは気分が晴れた?お兄ちゃん!」
「どうだろう…」
苦笑いを浮かべると来た窓から出て、そのまま空へと舞い上がった。
部屋にはちょうど人が帰ってきたのか、騒がしくなった。
これからもっと騒がしくなるだろう。
二人は一旦家へと戻る事にしたのだった。
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