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27話 便利スキル
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物の鑑定は結構簡単だった。
一度鑑定した物を検索かければ、同じものが近くにあれば勝手に反応
した。
簡単に言えば、一個見つければ同じものを検索できるのだ。
そして今、ケイルは黙々と薬草を採取している。
今回の依頼は群生地ではないので自力で取るしかないのだが、まさか
のケイルのスキルが役にたったと言うわけだった。
「意外となんとかなりそうね~」
「まさか、適当に選んできたの?」
「まぁ~ね!お金が高いやつ取ってたら全部取った方が早いなってね!」
「いやいや、少しは考えようよ!」
「うん…これからはそうしようかな。前だったらさ~暗殺依頼ってどれ
を取っても一緒だったし?裏ギルドだったから多く暗殺した方が偉いっ
て感じだったし?それと、ランクなんて関係なかったのよね~殺った者
勝ちみたいな?」
ケイルと出会う前の事を聞くと、少し心が痛む。
「これからは普通に生きようよ?」
「うん、そうだね!もう私は漆黒の魔女ではなく、イリアで生きてくからね」
ちょっと基準がどこかズレてる気がするけど、最強の妹と共にこの異世界を
生きていくんだと思うと、少しの不安と、ドキドキが混在していた。
採取依頼が完了すると、その日はそのまま家に帰った。
「もうそろそろこの家ともお別れかぁ~。」
「何言ってるの?持ってくわよ~」
イリアの一言に一瞬、目を疑った。
持っていく?
家を?どうやって…?
言いたそうな事を察したのかイリアは小さな麻の袋をひらひらとさせた。
「この中にいれてくのよ?」
「この家を?」
「そう!」
「…なら、もっと掃除しようよ?使ってない部屋とか汚すぎでしょ?」
「えーー、だって、必要なかったもん。」
妹らしい考えだ。
やっぱり掃除は苦手らしい。
この世界ではクリーンの魔法があるので洗濯はよっぽどいらない。
魔法がつかえない人は手で洗っている様だが、俺たちには必要なかった。
「ほら。ほら~。今度はこの家にお風呂つけよっか~」
「別に生活魔法でなんとかなるだろ?」
「だーめ!私は入りたいし…そうだ、温泉のある街に行こう!」
「どーせ男女別だろ?」
「何言ってるの?お兄ちゃん…ケイルちゃんは女湯に決まってるじゃない?」
「…?」
「知らないの?子供は保護者のいる方に入るんだよ?むっさい男どもと一緒
に入らせるわけないでしょ?」
いやいや、おかしいだろ?
俺、中身は大学生だって…
今の見た目に騙されてないか?
最近は確かにワザと子供っぽく振る舞ってはいるが、実際は違うから。
「俺、これでも大学生だったから…」
「今は子供じゃない?それに私も1000歳だよ?忘れたの?」
見た目のギャップは二人ともだった。
妹なのに、おばあちゃん…考えたくなかった。
「もういいでしょ。早く寝よ!」
ずるずると引きずられる様に寝室へと連れて行かれた。
服の上からクリーンの魔法をかけると汗も引いて爽やかな肌触りになる。
「よし!じゃ~心置きなく~」
「ちょっと、イリア!!」
服を目の前で脱ぐ妹に慌てるが、すぐに自分も脱がされると毛布に包まっ
た。
にっこりと嬉しそうにすると毛布事抱きしめてくる。
今は暖かいので、別に毛布はいらないのだが、気持ち的に何か被って眠り
たい気分だった。
「もうっ…」
「いいじゃん。いいじゃん。」
胸の柔らかい感触が背中に当たる。
これでも思春期の男子なのだ。妹といえど、興奮はしてしまう。
おさまれ!俺。絶対に妹に変な事を考えるな!
子供身体でよかったと思う。
いくら興奮してもまだ精通もきていない上にすぐに眠気に負けて寝てしま
うからだった。
残念そうにする妹をよそに、すやすやと寝息を立てていた。
「もう…お兄ちゃんの…バカ」
恥ずかしそうに頬を染めて抱きしめる手をそっと緩めたのだった。
一度鑑定した物を検索かければ、同じものが近くにあれば勝手に反応
した。
簡単に言えば、一個見つければ同じものを検索できるのだ。
そして今、ケイルは黙々と薬草を採取している。
今回の依頼は群生地ではないので自力で取るしかないのだが、まさか
のケイルのスキルが役にたったと言うわけだった。
「意外となんとかなりそうね~」
「まさか、適当に選んできたの?」
「まぁ~ね!お金が高いやつ取ってたら全部取った方が早いなってね!」
「いやいや、少しは考えようよ!」
「うん…これからはそうしようかな。前だったらさ~暗殺依頼ってどれ
を取っても一緒だったし?裏ギルドだったから多く暗殺した方が偉いっ
て感じだったし?それと、ランクなんて関係なかったのよね~殺った者
勝ちみたいな?」
ケイルと出会う前の事を聞くと、少し心が痛む。
「これからは普通に生きようよ?」
「うん、そうだね!もう私は漆黒の魔女ではなく、イリアで生きてくからね」
ちょっと基準がどこかズレてる気がするけど、最強の妹と共にこの異世界を
生きていくんだと思うと、少しの不安と、ドキドキが混在していた。
採取依頼が完了すると、その日はそのまま家に帰った。
「もうそろそろこの家ともお別れかぁ~。」
「何言ってるの?持ってくわよ~」
イリアの一言に一瞬、目を疑った。
持っていく?
家を?どうやって…?
言いたそうな事を察したのかイリアは小さな麻の袋をひらひらとさせた。
「この中にいれてくのよ?」
「この家を?」
「そう!」
「…なら、もっと掃除しようよ?使ってない部屋とか汚すぎでしょ?」
「えーー、だって、必要なかったもん。」
妹らしい考えだ。
やっぱり掃除は苦手らしい。
この世界ではクリーンの魔法があるので洗濯はよっぽどいらない。
魔法がつかえない人は手で洗っている様だが、俺たちには必要なかった。
「ほら。ほら~。今度はこの家にお風呂つけよっか~」
「別に生活魔法でなんとかなるだろ?」
「だーめ!私は入りたいし…そうだ、温泉のある街に行こう!」
「どーせ男女別だろ?」
「何言ってるの?お兄ちゃん…ケイルちゃんは女湯に決まってるじゃない?」
「…?」
「知らないの?子供は保護者のいる方に入るんだよ?むっさい男どもと一緒
に入らせるわけないでしょ?」
いやいや、おかしいだろ?
俺、中身は大学生だって…
今の見た目に騙されてないか?
最近は確かにワザと子供っぽく振る舞ってはいるが、実際は違うから。
「俺、これでも大学生だったから…」
「今は子供じゃない?それに私も1000歳だよ?忘れたの?」
見た目のギャップは二人ともだった。
妹なのに、おばあちゃん…考えたくなかった。
「もういいでしょ。早く寝よ!」
ずるずると引きずられる様に寝室へと連れて行かれた。
服の上からクリーンの魔法をかけると汗も引いて爽やかな肌触りになる。
「よし!じゃ~心置きなく~」
「ちょっと、イリア!!」
服を目の前で脱ぐ妹に慌てるが、すぐに自分も脱がされると毛布に包まっ
た。
にっこりと嬉しそうにすると毛布事抱きしめてくる。
今は暖かいので、別に毛布はいらないのだが、気持ち的に何か被って眠り
たい気分だった。
「もうっ…」
「いいじゃん。いいじゃん。」
胸の柔らかい感触が背中に当たる。
これでも思春期の男子なのだ。妹といえど、興奮はしてしまう。
おさまれ!俺。絶対に妹に変な事を考えるな!
子供身体でよかったと思う。
いくら興奮してもまだ精通もきていない上にすぐに眠気に負けて寝てしま
うからだった。
残念そうにする妹をよそに、すやすやと寝息を立てていた。
「もう…お兄ちゃんの…バカ」
恥ずかしそうに頬を染めて抱きしめる手をそっと緩めたのだった。
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