異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

文字の大きさ
37 / 92
第二章

4話 久しぶりの再会

しおりを挟む
ケイルは始め見た目も麗しく可愛かったのだが、今では男っぽくなっ
てきていた。

最近では逞しくもある。
が…少し困った事もあった。

昔はただ可愛いという視線だったので良かったのだが、最近では男と
してみている女の視線がやけに多い気がする。

いつも隣にいるイリアに目もくれず、わざと誘って来る輩まで出て来
る始末。
これではいつ童貞が奪われれるか分かったもんじゃない。

ウブな態度を見る限りは大丈夫だとは思うが、それも奪われるのは一瞬
だ。

ケイルの心をしっかり繋ぎ止めておかないと…
しかし兄妹というのはなんとも不便な物で。
ケイルがイリアにエロい視線を向けてこないというのが何とももどかし
かった。

これには、小さい時から大っぴらに見せていたのが悪かったのだろうか?
小さいながらに、照れていた気はしたのだが…

難しい問題だ。

わざと、身体に触れるようにしているし、意識させ易くしている。
が、一向に手を出して来る気配もない。
この前、精通が来たのも知っている。

もう、子供ではないのだ。

悩ましい事だった。

夜中に一緒の混浴のお風呂に入る約束を取り付けるのは成功した。

あとは、押し倒すか!
それとも、いっその事…魔法で魅了でもかけて…

これは後で困った事になりそうなのでやめておこう。

魅了は使うのはいいが、そのあと記憶が残ってしまう。
消してもいいが、廃人にしたくない相手にはそれはできない。

ケイルに使って、もし二度と一緒に居たくないとでも言われたら生きてい
けない。

ずっと大好きだったお兄ちゃんをやっと自分だけのものにしたのに、ここ
で手放すなんて絶対に嫌だったのだ。

お金も結構余裕がある。
最近ではお財布も分ける事にした。

ケイルの為に異次元収納を魔法で作ると防具以外の荷物を入れている。

イリアほど魔力がないので家一軒入れる事はできないが、それでも収納容量
は結構あると思う。

今はお金と少しの食料を入れているらしい。

食事を終えると夜まで部屋でのんびりと過ごした。
真夜中になると寝転がっているケイルの横に潜り込んだ。

ピッタリとくっついてやると飛び起きて真っ赤な顔でため息をつく。

「イリア~、普通に起こしてくれ…」
「いいじゃん。昔はよく一緒に寝たでしょ?」
「あれは…もう年頃の女の子なんだから~」
「違うよ?私はずっとこのまま…ケイルが青年になって来たの。そうだ!こ
 こ触ってあげようか?」

ズボンの上から触れようとすると、すぐに腕を掴まれひっくり返された。
押し倒されるのは新鮮だった。
目を輝かせて期待するが、すぐに退いてしまう。

「年頃の男の部屋に来るなって…」
「いいじゃん!ほらっ、お風呂行こっ!」

少しでも意識してもらわないとこっちとしては困るのだ。

水着は任意で着用してもいいが、こんな夜中に来る人間は早々いないだろ
うと考え、素っ裸になるとそのまま入って行った。

すると、ちゃっかりケイルは下にタオルを巻いて来ていた。

「ちょっと~私は隠してないのに、なんでケイルだけ隠してるのよぉ~不
 公平でしょ~」
「ちょっ、待てって!マジでそれだけはダメだって!」

タオルを剥ぎ取ろうとすると、後ろから声がかかった。

「あれ?イリアちゃんとケイルくんじゃん!」
「ん?」

振り返ると、昔に一回あった事がある顔が並んでいた。
アルフレッドと隣にいるのがラニだった。
ラニは神官で、回復専門で巷では聖女とも言われていた。

「アル兄?って、こっち見るなっ!」

慌てるようにイリアの前に立って裸を見えないように隠した。

「イリアも堂々としてるな~。さすが俺の女だ!」
「ちょっと、いい加減その考えやめてくれる?私はケイル以外興味ない
 から!」

はっきりというイリアにアルフレッドは笑いながらラニを抱き寄せる。
しかし、いきなりお湯をかけられていた。

「ラニもよくアル兄についていくな~」
「仕方ないのよ。これも神託だし…そうじゃなかったら、こんなタラシは
 願い下げよ!」

ラニはアルフレッドと同年齢のせいか、いうこともしっかりしている。
昔に一回出会っていたのだ。

冒険者の依頼を遂行中にイリアとケイルが魔物狩りをしていた時、丁度通
りかかったのだ。

ケイルが一人で何匹もの魔物を切り倒しているのをみて助太刀ちしたのだ
が、実際はイリアの監視のもと、戦いの基本を教え込まれていた最中だっ
たのだ。

「あの時は邪魔して悪かったな?」
「いや…あの時はまだ幼かったし、襲われているように見えたんですよね?」
「まぁ~な。まさか、わざと囲まれなら戦っているとは思わないだろ?」
「はははっ…」

イリアの教えは結構的を射てはいるが、それを実行するには結構危険が伴う。

ましてや、子供がする事じゃない。
だが、それをやってのけていたのだ。

「また強くなったんだろ?いっそ、俺について来るか?」
「アル兄に?いや…いいよ」
「なんでだよ?俺らは最近復活したっていう魔王を倒して世界の平和をもた
 らすんだぞ?」
「僕たちは僕たちなりに強くなって、S級冒険者になるって夢があるからね」

目指すはS級とケイルはよく言っていた。
イリアだけなら簡単なのだが、ケイルの実力を上げるとなると結構骨が折れ
るのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

処理中です...