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第二章

6話 教会の役割

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街の中央には必ずと言っていいほど教会が立っていた。

怪我や病気はお金さえ払えば教会の神官が治してくれる。これが
この世界の常識だった。

だからこそ、ヒールが使える人はすぐに教会の人間が迎えに来る。
そして、いい生活ができるのだ。

そして、子供は皆7歳になると教会で祝福を受ける。
そこでどんな加護を受けるかを知る。

それ次第で全ての人生がひっくり変える事だってあるのだ。

「なぁ~イリア~あの銅像ってどこかで見た事ある気がするんだけ
 どな~」
「あれは女神の像でしょ?自由を意味する女神で、名をリベルタス。
 まぁ~悪趣味な幼女趣味のおばあさんよね?」
「悪趣味な幼女?」
「だって、あの女神のせいでこの世界に来たんだもの。それもお兄
 ちゃんを探してるって…あっ」
「俺を探してる?それって…」
「あ~もう、それは~」

圭子が来る事になった理由が、たまたま佐野遼馬を探していた女神が
その妹に可能性を見出したという事らしい。
イリアがこの世界に来て勇者として魔王を倒して帰って来た時には、
兄は死んだ後で、再び呼び戻されたらしい。

これは圭子の方が呼んだらしいが。
それで、再びこの世界で生きる事にしたらしい。

チート能力を貰ったせいで、最強になったまま自由気ままな生活をし
ていた。

ただ、女神と一つだけ取引きがあったらしい。
それは、もし勇者が呼ばれた時、その勇者の進路を妨げてはならない。

これだけ守ってほしいと言われたそうだ。

「勇者って、アル兄だろ?」
「そうらしいわね。なんか特別っぽいしね」
「鑑定したら出てたぜ?」

ケイルは前に会った時にラニとアルフレッドを鑑定していた。

森の中にいきなり現れた人を怪しまない人などいない。
そこで鑑定して知っていたのだった。

「まぁーケイルに言われなかったら速攻で殺してたかもね~」
「イリアって気が短い時あるもんな~」
「当たり前でしょ!ケイルとの時間を邪魔したのよ!」
「いや、邪魔って…俺結構際どい綱渡りしてたと思うけど?」

いつもギリギリの戦いを強いられていた気がする。
少し間違えれば、死との隣り合わせでもあったのだ。

支援魔法も常にかかってはいたが、なにぶんまだ成長途中だったから
だ。
腕力もない、子供にいくら強力な支援魔法をかけてもたかが知れてい
るのだ。

今も、よく続いていると自分でも思ってしまう。
しかし、着実に強くなっている気はする。

討伐数もだが、やっぱり剣技、いわゆるスキルを覚えた事が大きい気が
する。

攻撃魔法が使えない分、剣で戦う事を強いられてしまう。
それなら、剣でとことん戦えるようになるしかない。

「今度、B級への昇格試験があるらしいわね」
「そうだな~、絶対に二人でB級冒険者になろうな!」
「私は大丈夫だけど…しっかりしてよ?ケイルちゃん…」

不安はケイルの実力だけだった。

試験中は人の目があるので、支援魔法はバレるのでかけられない。
自力でクリアしてもらうしかない。

Cランクの昇格試験は魔物討伐だったから勝手に支援魔法もかけまくりの
討伐だったから簡単だった。
しかし、今度は試験管との一騎打ちなのだ。

殺してもいいなら毒の盾の能力を使うのだが、イリアがヒールが使える事
を隠したいのでそれも使えなかった。

「いっそ、ラニ姉さんに見届けてもらって盾使うか…」
「あの女、好きになれないわ」

イリアにとって、ケイルに寄って来る虫は全部が漏れなく害虫にしか見えな
かった。

「そうかな~、いい人そうだけど」
「まだ女を見る目がないわね~」
「う~ん」
「今のケイルなら大丈夫よ。自信持ちなさいよ」

まだ幼さの残る顔でイリアを見つめ返した。

「まぁ~私が修行つけてるのよ?自信持ってくれないと師匠としては…」
「分かってる、分かってるけど…不安なんだ…」

それもそうだろう。
年はも行かない子供が、もうB級冒険者になろうとしているのだ。
普通なら笑われてもおかしくない。

いつしか日が暮れるのが早くなった気がする。
もう時期寒い季節がやって来る証拠だった。

「今度は常夏の国に行こっか?」
「そうだな…進級したらすぐに出発しようぜ」

ケイルも楽しみにしているのか少し元気になったようだった。
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