異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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第二章

13話 及第点

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二週間が経過した。

一瞬で怪我を治すほどの力は身に付かなかった。
だが、ゆっくりとならある程度治療が可能にはなった。
一日に数回が限度にはなるけど、それでもここまで出来たのには自分
でも驚きだった。

「まぁ~及第点かしらね」
「よーし!やったぁ~もう魔力使い過ぎて頭痛て~」
「だから根を詰めすぎるとそうなるって言ったじゃない?まぁ~倒れ
 ないだけマシかしらね」

流石に倒れるまで使い切る事はしなかった。
少しやってみたい気はするけど、その前の頭痛で断念してしまう。
イリアはやった事があるのだろうか?
気にはなったが、口には出さなかった。

やっと、ギルドへこの前に事で向かうとちょうど人員募集の試験日が
明日であると言っていた。

「あら?ケイルくん、来てくれたの?」
「はい、やっとイリアからも了解も得たんで」
「そう、それはよかったわ。どうしても人員が足りなくてねー、やっ
 ぱり冒険者が騎士団の入団試験に行くって無理があるのよね~、ど
 うしても冒険者のが稼げるしね~」
「あははは…そうですよね~」

冒険者とは騎士団のように甘くは無い。
少しの判断の遅れで、死と隣り合わせなのだ。
だからこそ、騎士団のような甘い考えを嫌う人が多い。

「こちらが、申請書です。遠征が終わったら抜けていいように条件に加えて
 あります。騎士団内では受かってから話すと思うけど団長以外はこの事を
 知りません。全員が普通に騎士団に入りたくて入団志願していますので…」
「はい、わかりました。」

前に誰かが国の依頼のベノニウム鉱石を大量に取ってきたおかげで武器も多
く生産されて騎士団にも潤沢に行き届いたらしい。
そして、今回新調した武器と新しい人員を交えて未到の地の開拓遠征を決行
すると言うのだ。

それ、絶対イリアと一緒にこなした依頼だった。
あんな場所から鉱石を取ってこれるのは早々いないからだ。

割のいい仕事ではあると思ったが、まさかこんなカラクリがあるとは…。

「それで、僕はどこに行けばいいですか?」
「明日の昼にはレブナンの街で入隊試験があるからそれに一般参加して欲
 しいのよ。ここからだと丸一日かかるから、もう出発をして欲しいわ。
 馬車はこっちで用意するわ」

テキパキと受付けをこなすと用意してある馬車へと案内してくれた。

「馬車は必要ないわ。行くわよ、ケイル」
「あ…うん。ごめんなさい。多分馬車より早い方法があるから…」

そう言ってケイルは受付嬢にぺこりと頭を下げた。

馬車より早いもの。
それは誰にも言えない方法だ。

イリアだからこそ出来る事なのだから。

「レブナンだったわね?今からいこうか?」
「ちょっ、ちょっと待って!それって僕にも出来ない?」
「それって空をかけるやつ?無理よ、ケイルは魔力少ないじゃない?いい
 から任せなさいって!」
「えっ…ちょっと…」

ケイルの腰に手を回して来ると抱きつかれているようでドキドキしてしま
う。
が、今日はそんな事言っていられなかった。

グイッと一気に引き寄せられると肩に担がれる。
そして一気に空へと舞い上がった。

「ぅわぁぁっぁあああぁあっぁあぁーーーー!」
「舌噛まないように閉じてなよ?」

そんな事を言われても、この姿勢で一気に加速されては目が回るし、恐怖で
しかない。
この移動方法は早いが、胃がおかしくなる。
そして何より1時間もしないうちにレブナンへとついてしまっていた。
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