48 / 92
第二章
15話 入団試験
しおりを挟む
朝から列を作っているのが、今回騎士団採用試験の会場前だった。
まさにお祭り騒ぎになっていた。
「うわぁ~屋台出てるじゃん」
「そうね、ケイルは本当にいいのね?」
「イリアは嫌だったか?一カ月だけだし、自分の実力が分かるかなって
思ったんだけど…イリア?」
「ケイルがそうしたいならいいよ。待ってるね!」
「おう!すぐに帰って来るからな!」
ケイルは早く強くなりたいと思っている。
イリアにだってそれは分かる。
いつまでもイリアの側にいては実感が湧かないのだろう。
イリアの強さは桁が違うのだ。
ケイルが必死になって戦っていた相手を、お腹すいたから食事にしよう。
の一言で全滅させて食事にするなど、さっきまでの苦労はイリアには一瞬
で終わる程度なのだと何度も思い知らされた。
魔法の使えないケイルにはちまちまと一匹ずつ倒すしか無い。
イリアに頼めば、業火で一瞬で吹き飛ぶような雑魚でもケイルには攻撃を
くらえばただでは済まない相手なのだ。
今ままで、常に強化バフをかけ続けたイリアにはケイルを一人送る事は心
配でならない。
「危ないと思ったら逃げるのよ?別に逃げる事は恥じゃないわ」
「分かってるって、イリア、俺を信じて?」
「うん、分かったわ」
ちょっと買い物でも行くかのように手を振って会場に向かった。
試験会場は関係者以外は入れないようになっていた。
ケイルはそのまま受験番号を受け取ると入っていく。
会場は結構広い場所だった。
人数も結構いる。
「こんなに多くの人が入れるんだ~」
「そんな訳ないだろ?今からふるいにかけられるんだよっ」
後ろからかかった声に振り向くと二人の青年が立っていた。
「俺はノック、こっちはナシスだ。」
「俺は、ケイル。昨日この街に来たんだ」
「なら俺らが教えてやるよ。初めてだろ?」
「そうだけど…君たちは…」
慣れていると言いたげな言い方に不思議に思うと、ノックが自慢げに言い
出す。
「ナシスの兄ちゃんが騎士団にいるんだよ。今年17になったから俺らもこ
の試験に挑むんだよ」
「17?年齢制限があるのか?」
「ん?まさか知らなかったのか?」
「あぁ、そうか…どうしよう」
ケイルはまだ15だった。
「まだ幼いと思ったが年下かよ…落ちるの確定じゃん」
「落ちるのか?」
「そりゃ~な~、大人相手に戦えるかよっ。怪我する前に帰っとけ」
さっきまでの態度がいきなりそっけないものになった。
「待ってくれ、説明だけ頼む…」
頭を下げるケイルに少し考えてから渋々話だした。
「ここにいる人数はまずは資格を受ける人間なんだ。まずここで半数になる。
ふるいにかける方法はさっき渡された番号あっただろ?あれの奪い合いだ。
何をしてもいい。相手をダウンさせて奪ってもいいし、怖ければ番号を差
し出せば何もされねーよ。そして、番号を失った奴はあの場所、あそこか
ら退場って訳だ」
「なるほどね。なら、全員気絶させれば終わるんじゃないか?」
ノックはケイルのその考えに爆笑した。
顔に傷があるノックは何度も危険な場所へと行ったのだろう。
防具も使い込まれており、新品同然のケイルとは全然違う。
「お前、貴族のボンボンか何かか?そんな甘くね~んだよ。まずは生き残って
みろよ。話はそれからだ」
「ありがとう」
笑顔でお礼を言うケイルに調子が狂ったのか、何か思惑があるのかケイルの横
に座って来た。
「仕方ねーから、一緒に戦ってやるよ」
「え…別にいいよ?僕だけでも戦えるし?」
「僕たちね、コンビで戦うつもりなんだ。僕はノックほど体力もないし、力も
強くないから。だから一緒に戦えば足りないところをカバーできると思うよ」
多分善意でいてくれるのだろう。
この二人はあえて協力し合うようだった。
イリアに鍛えられたケイルは一人で戦う事のが多かったので、人を気遣って戦っ
た事などなかった。
まさにお祭り騒ぎになっていた。
「うわぁ~屋台出てるじゃん」
「そうね、ケイルは本当にいいのね?」
「イリアは嫌だったか?一カ月だけだし、自分の実力が分かるかなって
思ったんだけど…イリア?」
「ケイルがそうしたいならいいよ。待ってるね!」
「おう!すぐに帰って来るからな!」
ケイルは早く強くなりたいと思っている。
イリアにだってそれは分かる。
いつまでもイリアの側にいては実感が湧かないのだろう。
イリアの強さは桁が違うのだ。
ケイルが必死になって戦っていた相手を、お腹すいたから食事にしよう。
の一言で全滅させて食事にするなど、さっきまでの苦労はイリアには一瞬
で終わる程度なのだと何度も思い知らされた。
魔法の使えないケイルにはちまちまと一匹ずつ倒すしか無い。
イリアに頼めば、業火で一瞬で吹き飛ぶような雑魚でもケイルには攻撃を
くらえばただでは済まない相手なのだ。
今ままで、常に強化バフをかけ続けたイリアにはケイルを一人送る事は心
配でならない。
「危ないと思ったら逃げるのよ?別に逃げる事は恥じゃないわ」
「分かってるって、イリア、俺を信じて?」
「うん、分かったわ」
ちょっと買い物でも行くかのように手を振って会場に向かった。
試験会場は関係者以外は入れないようになっていた。
ケイルはそのまま受験番号を受け取ると入っていく。
会場は結構広い場所だった。
人数も結構いる。
「こんなに多くの人が入れるんだ~」
「そんな訳ないだろ?今からふるいにかけられるんだよっ」
後ろからかかった声に振り向くと二人の青年が立っていた。
「俺はノック、こっちはナシスだ。」
「俺は、ケイル。昨日この街に来たんだ」
「なら俺らが教えてやるよ。初めてだろ?」
「そうだけど…君たちは…」
慣れていると言いたげな言い方に不思議に思うと、ノックが自慢げに言い
出す。
「ナシスの兄ちゃんが騎士団にいるんだよ。今年17になったから俺らもこ
の試験に挑むんだよ」
「17?年齢制限があるのか?」
「ん?まさか知らなかったのか?」
「あぁ、そうか…どうしよう」
ケイルはまだ15だった。
「まだ幼いと思ったが年下かよ…落ちるの確定じゃん」
「落ちるのか?」
「そりゃ~な~、大人相手に戦えるかよっ。怪我する前に帰っとけ」
さっきまでの態度がいきなりそっけないものになった。
「待ってくれ、説明だけ頼む…」
頭を下げるケイルに少し考えてから渋々話だした。
「ここにいる人数はまずは資格を受ける人間なんだ。まずここで半数になる。
ふるいにかける方法はさっき渡された番号あっただろ?あれの奪い合いだ。
何をしてもいい。相手をダウンさせて奪ってもいいし、怖ければ番号を差
し出せば何もされねーよ。そして、番号を失った奴はあの場所、あそこか
ら退場って訳だ」
「なるほどね。なら、全員気絶させれば終わるんじゃないか?」
ノックはケイルのその考えに爆笑した。
顔に傷があるノックは何度も危険な場所へと行ったのだろう。
防具も使い込まれており、新品同然のケイルとは全然違う。
「お前、貴族のボンボンか何かか?そんな甘くね~んだよ。まずは生き残って
みろよ。話はそれからだ」
「ありがとう」
笑顔でお礼を言うケイルに調子が狂ったのか、何か思惑があるのかケイルの横
に座って来た。
「仕方ねーから、一緒に戦ってやるよ」
「え…別にいいよ?僕だけでも戦えるし?」
「僕たちね、コンビで戦うつもりなんだ。僕はノックほど体力もないし、力も
強くないから。だから一緒に戦えば足りないところをカバーできると思うよ」
多分善意でいてくれるのだろう。
この二人はあえて協力し合うようだった。
イリアに鍛えられたケイルは一人で戦う事のが多かったので、人を気遣って戦っ
た事などなかった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる