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第二章
28話 お祭り騒ぎ
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街へと戻るとお祭りの準備で忙しそうだった。
「すいません、これと~これ下さい」
「はいよっ、君らは観光かい?もうすぐ春の大祭があるから楽しんで
行ってよ」
「お祭りですか?どんなお祭りなんですか?」
「ありゃ、知らないのかい?海の幸をふんだんに使う祭りでね、一年
に一回海へ向けて大砲を何発も打つんだよ。そしたらクラーケンが
怒って陸に上がってくるから冒険者達がそれを仕留めるのさ」
「…」
なんとも過激なものだ。
誰が考えたんだか…
「それって危険じゃないんですか?」
「危ないに決まってるだろ?毎年何人かは犠牲になるからね」
「えぇーーーー!」
「観光者は安全な場所にいればいいさね。こう言うことは冒険者に依
頼するからね。昔に大魔法使いがこうやって食料がない時に使った
とされててね、その偉大な魔法使いの真似をして毎年開かれている
のさ」
「へ~、すごいデンジャラスな人がいるんですね…」
「あぁ、ほらあそこを見てみるといい。崖の上に屋敷があるだろう?
今は使われていないが、彼が住んでいた家だよ。大魔法使い様が使
っていた屋敷は今も見晴らしのいい場所に立っているんだよ」
視線を巡らすと、さっき来た方角。そして、さっきまで目の前で見て
いた屋敷を眺めていた。
あーなるほど。
有名人の屋敷なのね。あれは…
「イリア、ちょっといいか?あそこで暮らしてたんだっけ?」
「う…うん。そうだね…」
「魔法使いは男なんだよね?」
「う…うん、そう言うことになってるね…はははっ」
「…」
「…」
沈黙のあと、すぐに耐えられなくなったのはイリアの方だった。
「だって~、こんなお祭りになってるなんて知らなかったんだもん。」
「やっぱりお前か!」
「この街って結構錆びれてて食料もなかったんだよ?だから~クラー
ケンって魔物だけど、なんか美味しそうじゃん?だから師匠と一緒
に…ね?」
そこで初めて師匠という名を聞いた気がする。
「師匠とはここで会ったのか?」
「うん、まぁ~そうだね」
食糧難で食べ物が手に入らない時代。
この海を生かして何かできないかと考えたらしい。
海の生物を食べる事を考えたのは師匠という人らしい。
「師匠はね、名前をタニスって言って…貴族の末娘だったの。」
「娘?ってことは…女?」
「そうよ。でもね…見た目厳つい男の姿で生活していたの。なんでか
わかるでしょ?この世界は女だと危険なのよ。男は追い剥ぎにはあ
ってもだれかれ構わず狙われはしないでしょ?」
「確かにな…」
厳つい男を襲うメリットはない。
この世界に転生してから勇者として魔王を倒したあとは平和そのもの
だったらしい。
各国で小競り合いはあるものの、そこまで大きな規模ではなかったら
しい。
街からは常に食糧を徴収されて食糧難に陥っていた。
そこで出会った、タニスは魔物を食べる事を広めた。
しかも、ここでしか取れない大型の魔物。クラーケンに目をつけたのだ。
海を思いっきり荒らせば、住処から出てきて街で暴れようとする。それ
を捕まえると街の売りにしたのだ。
結構それが好調でいろんな街の商人が買い付ける為に訪れたらしい。
その時はまだイリア達がいたのだが、師匠だけになると倒すのも大変で冒
検者達を雇う事になったらしい。
「師匠って死んだって言ってたよな?それって魔物退治でか?」
「違う…私にここに残ってくれって言ってきたの。二度目の旅から戻って
来た時にね。タニスは片腕を無くしていたの。それで…」
「辛いか?」
ケイルがそっとイリアを撫でると、自然と抱きついてきた。
腰に回した手が暖かくて、そのままにさせておいた。
最初は色々な魔法を教えてくれて、仲が良かったらしい。
タニスは貴族の令嬢ならではの知識を存分にイリアに教えてくれたらしい。
細かい魔法や、他人と一緒に戦う為のバフや強化魔法もそこで知ったらしい。
ただ、ずっと同じ生活に飽きたイリアが突然出ていったらしい。
再び帰ってきた時には50年くらい経っていたらしい。
タニスも年を取っていて、それでも見た目の変わらない弟子に驚きはしたが
受け入れてくれたらしい。
「もう、それだけ経つとわからないんじゃないか?」
「そんな事はないよ。いつも、あそこに住んでいたし…それに私がプレゼント
したネックレスしててくれたから…すぐに分かったんだ」
「そっか…」
「まぁ、驚かれたけどね。だから同じ場所に止まれないんだけど」
確かに、見た目が変わらないと言うのは恐怖だろう。
老いる事がない不老不死だと思ってしまうだろう。
「別に私、不老不死じゃないからね?ただ成長が止まってるだけで、刺されれ
ば痛いし、血は出るし、死ぬ事だってあるんだもん。でも…タニスはそうは
思わなかった見たい」
必死に自分も不老不死の身体にして欲しいと言い出したのだ。
昔人魚の肉を食べて不老不死になったという伝説があるのを出してきて、不死の
人間の肉を食べればあるいは…
そう考える人も出たらしい。
イリアがタニスと会うもっと前だったらしい。
同じ村にとどまり過ぎて不審に思われたのだ。
そしてその村は跡形もなく焼け落ちる運命になったらしい。
イリアが村ごと焼いたのだ。
「すいません、これと~これ下さい」
「はいよっ、君らは観光かい?もうすぐ春の大祭があるから楽しんで
行ってよ」
「お祭りですか?どんなお祭りなんですか?」
「ありゃ、知らないのかい?海の幸をふんだんに使う祭りでね、一年
に一回海へ向けて大砲を何発も打つんだよ。そしたらクラーケンが
怒って陸に上がってくるから冒険者達がそれを仕留めるのさ」
「…」
なんとも過激なものだ。
誰が考えたんだか…
「それって危険じゃないんですか?」
「危ないに決まってるだろ?毎年何人かは犠牲になるからね」
「えぇーーーー!」
「観光者は安全な場所にいればいいさね。こう言うことは冒険者に依
頼するからね。昔に大魔法使いがこうやって食料がない時に使った
とされててね、その偉大な魔法使いの真似をして毎年開かれている
のさ」
「へ~、すごいデンジャラスな人がいるんですね…」
「あぁ、ほらあそこを見てみるといい。崖の上に屋敷があるだろう?
今は使われていないが、彼が住んでいた家だよ。大魔法使い様が使
っていた屋敷は今も見晴らしのいい場所に立っているんだよ」
視線を巡らすと、さっき来た方角。そして、さっきまで目の前で見て
いた屋敷を眺めていた。
あーなるほど。
有名人の屋敷なのね。あれは…
「イリア、ちょっといいか?あそこで暮らしてたんだっけ?」
「う…うん。そうだね…」
「魔法使いは男なんだよね?」
「う…うん、そう言うことになってるね…はははっ」
「…」
「…」
沈黙のあと、すぐに耐えられなくなったのはイリアの方だった。
「だって~、こんなお祭りになってるなんて知らなかったんだもん。」
「やっぱりお前か!」
「この街って結構錆びれてて食料もなかったんだよ?だから~クラー
ケンって魔物だけど、なんか美味しそうじゃん?だから師匠と一緒
に…ね?」
そこで初めて師匠という名を聞いた気がする。
「師匠とはここで会ったのか?」
「うん、まぁ~そうだね」
食糧難で食べ物が手に入らない時代。
この海を生かして何かできないかと考えたらしい。
海の生物を食べる事を考えたのは師匠という人らしい。
「師匠はね、名前をタニスって言って…貴族の末娘だったの。」
「娘?ってことは…女?」
「そうよ。でもね…見た目厳つい男の姿で生活していたの。なんでか
わかるでしょ?この世界は女だと危険なのよ。男は追い剥ぎにはあ
ってもだれかれ構わず狙われはしないでしょ?」
「確かにな…」
厳つい男を襲うメリットはない。
この世界に転生してから勇者として魔王を倒したあとは平和そのもの
だったらしい。
各国で小競り合いはあるものの、そこまで大きな規模ではなかったら
しい。
街からは常に食糧を徴収されて食糧難に陥っていた。
そこで出会った、タニスは魔物を食べる事を広めた。
しかも、ここでしか取れない大型の魔物。クラーケンに目をつけたのだ。
海を思いっきり荒らせば、住処から出てきて街で暴れようとする。それ
を捕まえると街の売りにしたのだ。
結構それが好調でいろんな街の商人が買い付ける為に訪れたらしい。
その時はまだイリア達がいたのだが、師匠だけになると倒すのも大変で冒
検者達を雇う事になったらしい。
「師匠って死んだって言ってたよな?それって魔物退治でか?」
「違う…私にここに残ってくれって言ってきたの。二度目の旅から戻って
来た時にね。タニスは片腕を無くしていたの。それで…」
「辛いか?」
ケイルがそっとイリアを撫でると、自然と抱きついてきた。
腰に回した手が暖かくて、そのままにさせておいた。
最初は色々な魔法を教えてくれて、仲が良かったらしい。
タニスは貴族の令嬢ならではの知識を存分にイリアに教えてくれたらしい。
細かい魔法や、他人と一緒に戦う為のバフや強化魔法もそこで知ったらしい。
ただ、ずっと同じ生活に飽きたイリアが突然出ていったらしい。
再び帰ってきた時には50年くらい経っていたらしい。
タニスも年を取っていて、それでも見た目の変わらない弟子に驚きはしたが
受け入れてくれたらしい。
「もう、それだけ経つとわからないんじゃないか?」
「そんな事はないよ。いつも、あそこに住んでいたし…それに私がプレゼント
したネックレスしててくれたから…すぐに分かったんだ」
「そっか…」
「まぁ、驚かれたけどね。だから同じ場所に止まれないんだけど」
確かに、見た目が変わらないと言うのは恐怖だろう。
老いる事がない不老不死だと思ってしまうだろう。
「別に私、不老不死じゃないからね?ただ成長が止まってるだけで、刺されれ
ば痛いし、血は出るし、死ぬ事だってあるんだもん。でも…タニスはそうは
思わなかった見たい」
必死に自分も不老不死の身体にして欲しいと言い出したのだ。
昔人魚の肉を食べて不老不死になったという伝説があるのを出してきて、不死の
人間の肉を食べればあるいは…
そう考える人も出たらしい。
イリアがタニスと会うもっと前だったらしい。
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