異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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第二章

29話 不死になる覚悟

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イリアにもなんで成長が止まっているのか分からなかったらしい。
そして、タニスに頼まれて血を分けてやったという。

タニスは研究熱心だった。
そして、研究は行き詰まった。

もちろん、わかるわけはないのだ。
そしてイリアの血を自分の体内に入れる事を考えた。

もちろん、動物で実験もした。
一番安全に取り得れる方法を取ったはずだった。

そして、魔物になったらしい。

「はぁ?それってどう言う事だよ…」
「なんかね、私の血肉って生物を魔物に変えるらしいの。だから…タニス
 は魔物になって、私が退治したの」

なんともあっけない最後だったらしい。
街で暴れられるよりはいいが、それでも悲しい結果だった。

「鑑定!イリアって前は詳しく見えなかったんだよな~」
「それはケイルがまだ幼かったからでしょ?今なら何か見えるの?」

ケイルを覗き込むとケイルが書いてあることを読み上げてきた。

「イリア…性別女、異世界転移者。レベルMAX!?マジか…」
「あぁ、なるほどね~魔力が尽きないわけだわ」
「えーっと、魔王討伐の折に勇者の称号と見た目年齢維持のスキルを付与
 される!?これって…勇者はみんな不死なのか?」

読んでいて、驚いた。
言われてみれば勇者が死んだというのを聞いた事がない。

「そういえば勇者って魔王を倒すと好きな願いが叶うって言ってたっけ」
「それだ!イリアは何を願ったんだ?」
「元の世界に帰る事…かな。でも、結局は戻ってきちゃったけど。」
「それで代わりに年を止めたって事か…それなら納得がいくかも」
「え~~~好きでこの年で止まったわけじゃないのに~、もっと成長すれ
 ば胸だって…」

ハッとなってケイルを見上げると真っ赤になった。

「俺も魔王討伐すれば年を止めれるのかな?」
「一緒に生きてくれるの?」
「まぁーこのままだと確実に俺だけ年を取ってくしな~。それに今回の勇者
 ってアルフレッドじゃん?あいつに任せてたら、いつになっても無理だろ」

確かにアルフレッドは勇者の称号を持ってはいるは弱かった。
聖女のラニがいても、いくら回復出来ても倒せなければ意味がない。

「先に倒すのもアリなのか?」
「う~ん、どうだろう?アリなんじゃない?知らないけど…勇者さえ殺さなけ
 れば何をしてもいいって神は言ってた気がするんだよね~」

買い物を終えて屋敷に帰るとその日はゆっくりと休む事にした。

ベッドに入ると目を閉じる。
しばらくしてひたひたと足音がして、ドアがゆっくりと開いた。
布団に潜り込んでくるのを感じるライトをつけた。

魔法は便利でいい。
魔力を込めればすぐに明かりさえもついてしまう。

「どこに入り込んでるんだ?」
「えへへ…ばれちゃった?」

誤魔化そうと笑うイリアを見下ろすと、ため息をついた。

「イリア、男の部屋に勝手に入るもんじゃない。女の子ならもっと慎みを持っ
 てだな~」
「家族なんだしいいじゃん!ね?今日はここで寝たいの」

じっと見つめられるとケイルは弱いのだ。

家族…その言葉は恋愛に発展しない一番最悪な関係だった。
『家族になろう』ならいいが、『家族』と言うのはどうしてもその先に進めな
いのだ。

ケイルにとってはイリアが大事な妹であり、姉であり、大事な存在なのだ。
汚すような事は絶対にない。

しかしイリアにとっては違っていた。
やっとこの世界で他人になれたのだ。
血が繋がっていないのなら、本当の家族になるために自分の気持ちに素直にな
りたいと思っていた。

だからこそ、こうやって毎回夜這いをかける。
いつもやんわりとかわされてきたが、今日は一緒に寝る事を認めてくれた。

これはケイルなりの気遣いなのだろうと分かってはいたが、それに便乗するよ
うに布団の中へと潜り込んだ。

小さいケイルをなん度も抱きしめながら寝た時を思い出す。

「昔もよく一緒に寝たよね~やっぱりあったかいな~」
「そうか?覚えてねーよ…//////」

耳まで真っ赤になっているのが見えた。
明日は祭りを見に行こう。
そして、今度は魔族領にも行ってみよう。
まだ勇者が王都でウロウロしているうちに手柄を横取りしてみようか?

そしたら再び神に会えるのだろうか?
この世界でずっと一緒に生きる為に…大事な人を守り続ける為に…
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