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第三章
3話 依頼完了
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イリアが買っておいてくれた種のおかげで、快適な旅になった。
肉は向かってくるブラックベアや、オオカミで調達できるし、余った
分は異空間収納の袋へとしまった。
イリアお手製の袋の中は自分の魔力分だけ広がる。
ケイルにも渡してもらったが、なかなかに便利だった。
本人しか取り出せない為、盗まれても中身は無事なのだ。
「よし、余った肉はしまっておくな!」
「うん、もう、お腹いっぱい~」
「そろそろ出発するか?」
「そうだね~ふわぁ~眠くなっちゃった~」
馬車を出発させると、横でもたれかかるようにイリアがうとうととし始
めた。
もちろん、警戒を怠っているわけではない。
馬車には結界を、そして周りには阻害魔法がかかっている。
側から見たら、何も見えないという事だった。
その為、中から景色を見ようとしても歪んで見えてしまう。
「そんな便利なものがあるなら先に言えよ」
「違うんだってば~、景色堪能したいでしょ?これ使うとね…歪んで見
えちゃう…のよ、ね…」
そう言いながら、もたれかかるイリアに呆れながら、ゆっくり走らせる
事にしたのだった。
それからは狙われる事もなく無事に目的地まで辿り着いた。
「これで、もう安全だろ?」
「はい、ありがとうございます。このまま父に会って行って下さい」
「いや、俺らは代金もらえればそれで…」
「その代金を受け取る為に会って行って下さい。こちらですよ」
お嬢様は嬉しそうに屋敷を案内してきた。
イリアと視線が交わすと肩をすくめながら後についていく事にした。
後ろから侍女と執事が付いてくる。
「依頼料もらったら帰るからな?」
「分かっております。お嬢様があんなに嬉しそうにするのはいつぶりで
しょうか」
思い出に浸っているのを無視して進むと豪華なドアが見えてきた。
そこは父親の執務室らしい。
中に入ると、さっきまでの廊下以上に置いてあるものが豪華で貴重な物
であると分かる。
「あぁ、君たちが我が娘を助けてくれた冒険者だね。本当に感謝してい
るよ。よかったらうちに泊まって行くといい。もう日も暮れてきたし、
どうだろうか?」
「残念ですが、私達先を急ぐので…」
「そうか、それは残念だ。これはわずかだが、貰ってくれ」
渡されたのは金貨が何枚も入っている麻の袋だった。
「うわぁ。すごっ…」
「貰うものも貰ったし帰るわ。行くわよ」
「あぁ、わかった」
ぺこりと頭を下げるとケイルはイリアの後を追うように出ていく。
残念そうにするお嬢様を横目で見ながら前だけを見るようにする。
「野宿するのか?イリアは嫌じゃなかったのか?いっそ、宿屋にでも行く
か?」
「そうね、金貨もいっぱいもらったし…でも、ここの物価高いのよね…」
夜の鐘が鳴ってからもうだいぶ経つ。
外への門は閉められ出ることはできない。
まぁ、イリアなら簡単に飛び越えられるのだが。
「あの屋敷に泊まりたかった?」
「まぁ、そりゃな…食事も豪華そうじゃん?」
「そうね。でも、それと引き換えにうるさいくらいに引き止められるわよ?」
「そうなのか?」
「えぇ。昔助けた息子のお礼にって泊まったら、その日以降なんだかんだと
理由をつけては止まらせ良うとしてきて、挙句には結婚も視野に入れるって
言われたのよ!冗談じゃないわ!愛人の座が空いてるって!馬鹿にされた気
分よ!」
「それは、許せん!うちのイリアになんて不貞な!」
「私、ケイルになら初めてをあげても…いいよ?」
上目遣いに言ってくるイリアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「はいはい。さぁー宿屋探すぞ~」
「ちょっと、私は本気なのに~~~」
まだまだこう言うところが子供だなーと思いながら微笑ましく思えた。
肉は向かってくるブラックベアや、オオカミで調達できるし、余った
分は異空間収納の袋へとしまった。
イリアお手製の袋の中は自分の魔力分だけ広がる。
ケイルにも渡してもらったが、なかなかに便利だった。
本人しか取り出せない為、盗まれても中身は無事なのだ。
「よし、余った肉はしまっておくな!」
「うん、もう、お腹いっぱい~」
「そろそろ出発するか?」
「そうだね~ふわぁ~眠くなっちゃった~」
馬車を出発させると、横でもたれかかるようにイリアがうとうととし始
めた。
もちろん、警戒を怠っているわけではない。
馬車には結界を、そして周りには阻害魔法がかかっている。
側から見たら、何も見えないという事だった。
その為、中から景色を見ようとしても歪んで見えてしまう。
「そんな便利なものがあるなら先に言えよ」
「違うんだってば~、景色堪能したいでしょ?これ使うとね…歪んで見
えちゃう…のよ、ね…」
そう言いながら、もたれかかるイリアに呆れながら、ゆっくり走らせる
事にしたのだった。
それからは狙われる事もなく無事に目的地まで辿り着いた。
「これで、もう安全だろ?」
「はい、ありがとうございます。このまま父に会って行って下さい」
「いや、俺らは代金もらえればそれで…」
「その代金を受け取る為に会って行って下さい。こちらですよ」
お嬢様は嬉しそうに屋敷を案内してきた。
イリアと視線が交わすと肩をすくめながら後についていく事にした。
後ろから侍女と執事が付いてくる。
「依頼料もらったら帰るからな?」
「分かっております。お嬢様があんなに嬉しそうにするのはいつぶりで
しょうか」
思い出に浸っているのを無視して進むと豪華なドアが見えてきた。
そこは父親の執務室らしい。
中に入ると、さっきまでの廊下以上に置いてあるものが豪華で貴重な物
であると分かる。
「あぁ、君たちが我が娘を助けてくれた冒険者だね。本当に感謝してい
るよ。よかったらうちに泊まって行くといい。もう日も暮れてきたし、
どうだろうか?」
「残念ですが、私達先を急ぐので…」
「そうか、それは残念だ。これはわずかだが、貰ってくれ」
渡されたのは金貨が何枚も入っている麻の袋だった。
「うわぁ。すごっ…」
「貰うものも貰ったし帰るわ。行くわよ」
「あぁ、わかった」
ぺこりと頭を下げるとケイルはイリアの後を追うように出ていく。
残念そうにするお嬢様を横目で見ながら前だけを見るようにする。
「野宿するのか?イリアは嫌じゃなかったのか?いっそ、宿屋にでも行く
か?」
「そうね、金貨もいっぱいもらったし…でも、ここの物価高いのよね…」
夜の鐘が鳴ってからもうだいぶ経つ。
外への門は閉められ出ることはできない。
まぁ、イリアなら簡単に飛び越えられるのだが。
「あの屋敷に泊まりたかった?」
「まぁ、そりゃな…食事も豪華そうじゃん?」
「そうね。でも、それと引き換えにうるさいくらいに引き止められるわよ?」
「そうなのか?」
「えぇ。昔助けた息子のお礼にって泊まったら、その日以降なんだかんだと
理由をつけては止まらせ良うとしてきて、挙句には結婚も視野に入れるって
言われたのよ!冗談じゃないわ!愛人の座が空いてるって!馬鹿にされた気
分よ!」
「それは、許せん!うちのイリアになんて不貞な!」
「私、ケイルになら初めてをあげても…いいよ?」
上目遣いに言ってくるイリアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「はいはい。さぁー宿屋探すぞ~」
「ちょっと、私は本気なのに~~~」
まだまだこう言うところが子供だなーと思いながら微笑ましく思えた。
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