78 / 92
第三章
14話 魔族の未来の為に
しおりを挟む
ブライブはネフェリーに魔力の塊を託した。
「これは…中は人間ですか?」
「あぁ、さっき門を壊した犯人の大事にしている人間だ。だが、
少し手違いで瀕死になってしまってね。それが、今回襲撃され
た原因なんだよ。だから私が解決してくるよ。おとなしく待っ
ててくれるかい?」
「それは分かりましたが…その…襲撃者は大丈夫なのですか?城の
城門は魔力では壊れない作りになっていて、勝手に修復される用
に魔法がかけられているはずです。それが、あんな簡単に…」
ネフェリーはそんな強度の高い城門を壊せるほどの人間など勇者以
外に知らないという。
それもそのはず、イリアは過去の勇者なのだから。
そんな事はいくら調べても分からないだろう。
魔族より長く生きている人間など、聞いたこともないのだから…
「まぁ、大丈夫。私に任せておきなさい」
そう言って出て行った。
そう、そのはずなのだが。
ついた先は、もう城ではなかった。
ただの瓦礫の山とかしている。
「これは…一体、どうしたものかね~」
ただ一人そこで立ち尽くしている少女。
天を仰ぎ、つぶやくように一言つぶやいていた。
「もう、どうでもいい」
「それならここまで壊すのはやめて欲しいものだな?」
つい、出てしまった本音。
彼女の視線はゆっくりとこちらを捉えた。
ブライブでさえ、こんなプレッシャーは初めてだった。
人間にここまで寒気がするなど、ありえない。
目の前に勇者が現れた時だって、こんなに身震いなんてしなかった。
静かに、そして冷ややかな声が聞こえてくる。
「ケイルは…どこ?」
「それを言うと思うのかね?」
「それも…そうね…死んでから後悔させてあげるわ」
「君にできるかな?勇者でもない、君に…」
これは恐怖か?
私が?この私が怖がっていると言うのか?
初めてだった。
ここまで、得体の知れないものに出会ったのは…
「最後に聞くけど…ケイルはどこ?私のモノよ?どこへやったの?」
「それがものを尋ねる態度かい?今時の子は口の聞き方がなってない
ようだね…」
挑発するのがやっとだった。
空一面に魔力が覆い尽くした。
「これは…」
まだ燃えている、城の残骸の頭上にはいくつもの炎の魔力が充満して
いた。
そして、目の前にいる少女の合図で一斉にブライブへと向かって来て
いた。
「これは…無理そうだね…」
攻撃に合わせて、大きな障壁の岩が地面から突き出る。それはブライブ
の姿を隠すと、そのうちに転移で別の場所へと飛んだ。
全部は避けきれなかったのだろう。
手足に痛みと焼けた跡が残る。
血が滲むが、今はそんな事はどうでもいい。
土煙りが消えて、何も無くなった場所へと戻って来たと同時に魔族の
禁呪を使う。
もう後戻りはできない。
これは、後世の為。
次の世代の為なのだ。
大事な孫娘を守る為。
そう、決意して使ったのだ。
そこにいる全てのモノを闇の中に封じ込める魔法。
一度発動すると、自分でも解けない。
自分と共に、封印してしまう魔法なのだ。
中では上も下も分からない。
ただ、闇が精神を蝕む。
そして、いつか発狂する。
これの一番困った事は、術者本人も一緒に同じ空間に閉じ込める事
だった。
このまま命が尽きるのもいい。
平和な世の中が、来ればそれでいい。
この化け物みたいな少女さえ、排除できるなら安いものだ。
その考えは、多分間違っていないと思う。
この闇の空間でお互いの位置など分かるはずもない。
だから攻撃して来ても当たるはずはないと思っていた。
が、そうではなかったらしい。
今、身体の感覚すらないはずの心臓に痛みが走ったのだ。
ぼたぼたっと溢れる液体。
誰の?
いや、これは…私のなのか?
「ここにいたのね?早く解いてくれる?」
この魔術でも…殺せないのか…
「君は…本当の化け物…だね~、私は…」
呼吸は荒くなり、言葉は競り上げて来る血で言葉にならない。
もし言えたとしても、お互い声は聞こえないはず…
「ふふふ…ありえない事だが…ここは無限牢獄…出る事は…叶わない」
紡ぐ言葉が次第に苦しくなっていく。
「彼は…生きている…もうじき…目を覚ます…ゴホッ…」
今、立っているのか?
それとももう、倒れているのだろうか?
この少女は規格外過ぎる。
私にはこれがやっとだった。
生きてくれ…ネフェリー…
言葉は紡がれる事はなかったけれど…風乗って、意思だけは遠く離れ
たネフェリーへ小さな変化をもたらすのだった。
「これは…中は人間ですか?」
「あぁ、さっき門を壊した犯人の大事にしている人間だ。だが、
少し手違いで瀕死になってしまってね。それが、今回襲撃され
た原因なんだよ。だから私が解決してくるよ。おとなしく待っ
ててくれるかい?」
「それは分かりましたが…その…襲撃者は大丈夫なのですか?城の
城門は魔力では壊れない作りになっていて、勝手に修復される用
に魔法がかけられているはずです。それが、あんな簡単に…」
ネフェリーはそんな強度の高い城門を壊せるほどの人間など勇者以
外に知らないという。
それもそのはず、イリアは過去の勇者なのだから。
そんな事はいくら調べても分からないだろう。
魔族より長く生きている人間など、聞いたこともないのだから…
「まぁ、大丈夫。私に任せておきなさい」
そう言って出て行った。
そう、そのはずなのだが。
ついた先は、もう城ではなかった。
ただの瓦礫の山とかしている。
「これは…一体、どうしたものかね~」
ただ一人そこで立ち尽くしている少女。
天を仰ぎ、つぶやくように一言つぶやいていた。
「もう、どうでもいい」
「それならここまで壊すのはやめて欲しいものだな?」
つい、出てしまった本音。
彼女の視線はゆっくりとこちらを捉えた。
ブライブでさえ、こんなプレッシャーは初めてだった。
人間にここまで寒気がするなど、ありえない。
目の前に勇者が現れた時だって、こんなに身震いなんてしなかった。
静かに、そして冷ややかな声が聞こえてくる。
「ケイルは…どこ?」
「それを言うと思うのかね?」
「それも…そうね…死んでから後悔させてあげるわ」
「君にできるかな?勇者でもない、君に…」
これは恐怖か?
私が?この私が怖がっていると言うのか?
初めてだった。
ここまで、得体の知れないものに出会ったのは…
「最後に聞くけど…ケイルはどこ?私のモノよ?どこへやったの?」
「それがものを尋ねる態度かい?今時の子は口の聞き方がなってない
ようだね…」
挑発するのがやっとだった。
空一面に魔力が覆い尽くした。
「これは…」
まだ燃えている、城の残骸の頭上にはいくつもの炎の魔力が充満して
いた。
そして、目の前にいる少女の合図で一斉にブライブへと向かって来て
いた。
「これは…無理そうだね…」
攻撃に合わせて、大きな障壁の岩が地面から突き出る。それはブライブ
の姿を隠すと、そのうちに転移で別の場所へと飛んだ。
全部は避けきれなかったのだろう。
手足に痛みと焼けた跡が残る。
血が滲むが、今はそんな事はどうでもいい。
土煙りが消えて、何も無くなった場所へと戻って来たと同時に魔族の
禁呪を使う。
もう後戻りはできない。
これは、後世の為。
次の世代の為なのだ。
大事な孫娘を守る為。
そう、決意して使ったのだ。
そこにいる全てのモノを闇の中に封じ込める魔法。
一度発動すると、自分でも解けない。
自分と共に、封印してしまう魔法なのだ。
中では上も下も分からない。
ただ、闇が精神を蝕む。
そして、いつか発狂する。
これの一番困った事は、術者本人も一緒に同じ空間に閉じ込める事
だった。
このまま命が尽きるのもいい。
平和な世の中が、来ればそれでいい。
この化け物みたいな少女さえ、排除できるなら安いものだ。
その考えは、多分間違っていないと思う。
この闇の空間でお互いの位置など分かるはずもない。
だから攻撃して来ても当たるはずはないと思っていた。
が、そうではなかったらしい。
今、身体の感覚すらないはずの心臓に痛みが走ったのだ。
ぼたぼたっと溢れる液体。
誰の?
いや、これは…私のなのか?
「ここにいたのね?早く解いてくれる?」
この魔術でも…殺せないのか…
「君は…本当の化け物…だね~、私は…」
呼吸は荒くなり、言葉は競り上げて来る血で言葉にならない。
もし言えたとしても、お互い声は聞こえないはず…
「ふふふ…ありえない事だが…ここは無限牢獄…出る事は…叶わない」
紡ぐ言葉が次第に苦しくなっていく。
「彼は…生きている…もうじき…目を覚ます…ゴホッ…」
今、立っているのか?
それとももう、倒れているのだろうか?
この少女は規格外過ぎる。
私にはこれがやっとだった。
生きてくれ…ネフェリー…
言葉は紡がれる事はなかったけれど…風乗って、意思だけは遠く離れ
たネフェリーへ小さな変化をもたらすのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる