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第三章
18話 嫌味と皮肉
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ただ真っ白い空間。
遺跡のようで、どこかわからないこの場所を見た事があった。
「よう来たのう~」
「また、お前かよっ…」
初めて死んだあの日、初めてこの空間に来たのだ。
そして出会ったのが、この自称神と名乗る幼女だった。
「どうじゃった?妹には会えたかの?」
「会えたっつーか!なんだよあれ!俺、全然チート能力ねーじゃん!」
「言葉には困らんかったじゃろ?」
「それはそうだけど、なんか違うだろ?魔力も少ないし、殺されかけ
るし…」
「魔力?そんなもんいらんじゃろ?お主には…あ、そうじゃった忘れ
ておったわ。使えんように封印したんじゃった…あははっはっ…」
何か使える力があったのだが、この自称神によって使えないようにさ
れていたと、そういうわけらしい。
「で?俺は死んだのか?」
「そうじゃのう~…仕方がない、もう一回転生からやるかの!」
「やるかの!じゃねーよ!イリアは俺が死んだとおもうじゃねーか!」
「別にまた会えばいいじゃろ?」
「よくねーよ!あいつ…自分で殺したって思っちまうだろ?」
そんな事させたくない。
人に殺されるのと自分で殺すのでは、重みが違う。
「まぁ、彼女は永遠の時を生きておるから平気じゃろ?」
「平気じゃねーよ!心が…平気じゃ…」
「そんなに心配する事はないと思うんじゃがな~。あやつは強いのでな」
「強いとは違うだろ?」
「…佐野遼馬よ、お主はあの世界で生きていてどう思った?人生がつま
らなかったか?わしには分からんのじゃ。お主が何にこだわっている
のか…わしとここで暮らすのはそんなに嫌か?」
幼女は何を言い出すかと思えば、この何もない世界で暮らすだと?
そんなのありえない。
「またお得意の冗談か?俺があいつと一緒に生きていたい。それだけだ」
「また、あの娘を選ぶんじゃな…まぁ、よい。せっかく来たのじゃから
茶でも飲んでいけ。後で帰してやるわ」
なぜだろう?
すごく寂しそうに見えた。
この幼女は何がしたかったのだろう?
自分でこの世界にいるくせに…
まるでここで誰かと居たかのような感じがする。
いや、そんなわけはない。
ただ、見覚えはないはずなのに。
少し懐かしい。
出てきたテーブルにはお茶と菓子が並んでいた。
「お前は座らないのか?」
「なんじゃ?一緒に話でもしたくなったか?」
「別に…一人でいるのも退屈だろ?」
「ふふふ…そうじゃな!お主が一緒に居たいというのならわしはいつ
までだって居てくれてかまわんぞ~~~」
ニヤニヤと嬉しそうに言ってきた。
この幼女は…話しかけるんじゃなかった。
「別に…早く帰してくれよ」
「まだじゃ。身体が回復したらすぐに届けてやるわい。あんまり焦る
んじゃない。それと…次はしっかり生きよ」
「分かってるって…それと、イリアと一緒に同じ時を生きて死にたい」
一瞬、幼女の手が止まった。
「それは…お主が永遠を生きるのではなくか?」
「あぁ。普通に成長して、一緒に老いて生きたいんだ」
「まぁ、それもよかろう。彼女にはわしから選ばせてやろう。じゃが、
今ならわしの力で不死の肉体を手にできるぞ?どうじゃ?」
「いらない…俺は普通がいい」
「本当に変わらんのうー頑固者じゃ!」
「は?何を…」
「おっと、時間じゃ。行ってこい!達者でなー」
その幼女が感慨深い表情で手を振ると一気に意識が遠のいて行った。
『私は地上に降りる!よし、普通の人生を歩んでみるな!』
『はぁ~~~?何を考えておるのじゃ!わしら神が人間の世界など…』
『毎回見送るだけじゃつまらねーんだよ。私は人間になってみたいんだ』
『それは…一回降りたら神の力を失ってしまうんじゃよ?それでも…』
『あぁ、行ってくる。短くてもいい、何もないこんなみてるだけの世界
よりはマシだと思わないか?リベルタス。君も来ないか?』
『わしは…行かぬ…わしは神じゃ!この世界の神なのじゃ…』
『そうか…なら、私の力を封印してくれ。記憶も頼む』
『それは…残酷じゃな…』
『なら、一緒に…』
『行かぬわ、愚か者!神の座を降りる不届きものなど、どこへでも行って
しまえばいいんじゃ!』
光が降り注ぎ、地上の夫婦の元へと降りていく。
生まれてくる赤子の魂と結びつき、新たな生を誕生させた。
記憶をなくした神の誕生だった。
「オギャーオギャーオギャー」
「はーい、可愛い男の子ですよ~」
夫婦の元に手渡されると両親が嬉しそうに眺めてきた。
「今日からお前は佐野遼馬だ。生まれてくれてありがとう…遼馬」
その映像を見ながら幼女はただ唇を噛み締めていたのだった。
「大馬鹿者が………」
決して言えないが、一緒に行きたかった。
そんな思いを込めていった皮肉だった。
遺跡のようで、どこかわからないこの場所を見た事があった。
「よう来たのう~」
「また、お前かよっ…」
初めて死んだあの日、初めてこの空間に来たのだ。
そして出会ったのが、この自称神と名乗る幼女だった。
「どうじゃった?妹には会えたかの?」
「会えたっつーか!なんだよあれ!俺、全然チート能力ねーじゃん!」
「言葉には困らんかったじゃろ?」
「それはそうだけど、なんか違うだろ?魔力も少ないし、殺されかけ
るし…」
「魔力?そんなもんいらんじゃろ?お主には…あ、そうじゃった忘れ
ておったわ。使えんように封印したんじゃった…あははっはっ…」
何か使える力があったのだが、この自称神によって使えないようにさ
れていたと、そういうわけらしい。
「で?俺は死んだのか?」
「そうじゃのう~…仕方がない、もう一回転生からやるかの!」
「やるかの!じゃねーよ!イリアは俺が死んだとおもうじゃねーか!」
「別にまた会えばいいじゃろ?」
「よくねーよ!あいつ…自分で殺したって思っちまうだろ?」
そんな事させたくない。
人に殺されるのと自分で殺すのでは、重みが違う。
「まぁ、彼女は永遠の時を生きておるから平気じゃろ?」
「平気じゃねーよ!心が…平気じゃ…」
「そんなに心配する事はないと思うんじゃがな~。あやつは強いのでな」
「強いとは違うだろ?」
「…佐野遼馬よ、お主はあの世界で生きていてどう思った?人生がつま
らなかったか?わしには分からんのじゃ。お主が何にこだわっている
のか…わしとここで暮らすのはそんなに嫌か?」
幼女は何を言い出すかと思えば、この何もない世界で暮らすだと?
そんなのありえない。
「またお得意の冗談か?俺があいつと一緒に生きていたい。それだけだ」
「また、あの娘を選ぶんじゃな…まぁ、よい。せっかく来たのじゃから
茶でも飲んでいけ。後で帰してやるわ」
なぜだろう?
すごく寂しそうに見えた。
この幼女は何がしたかったのだろう?
自分でこの世界にいるくせに…
まるでここで誰かと居たかのような感じがする。
いや、そんなわけはない。
ただ、見覚えはないはずなのに。
少し懐かしい。
出てきたテーブルにはお茶と菓子が並んでいた。
「お前は座らないのか?」
「なんじゃ?一緒に話でもしたくなったか?」
「別に…一人でいるのも退屈だろ?」
「ふふふ…そうじゃな!お主が一緒に居たいというのならわしはいつ
までだって居てくれてかまわんぞ~~~」
ニヤニヤと嬉しそうに言ってきた。
この幼女は…話しかけるんじゃなかった。
「別に…早く帰してくれよ」
「まだじゃ。身体が回復したらすぐに届けてやるわい。あんまり焦る
んじゃない。それと…次はしっかり生きよ」
「分かってるって…それと、イリアと一緒に同じ時を生きて死にたい」
一瞬、幼女の手が止まった。
「それは…お主が永遠を生きるのではなくか?」
「あぁ。普通に成長して、一緒に老いて生きたいんだ」
「まぁ、それもよかろう。彼女にはわしから選ばせてやろう。じゃが、
今ならわしの力で不死の肉体を手にできるぞ?どうじゃ?」
「いらない…俺は普通がいい」
「本当に変わらんのうー頑固者じゃ!」
「は?何を…」
「おっと、時間じゃ。行ってこい!達者でなー」
その幼女が感慨深い表情で手を振ると一気に意識が遠のいて行った。
『私は地上に降りる!よし、普通の人生を歩んでみるな!』
『はぁ~~~?何を考えておるのじゃ!わしら神が人間の世界など…』
『毎回見送るだけじゃつまらねーんだよ。私は人間になってみたいんだ』
『それは…一回降りたら神の力を失ってしまうんじゃよ?それでも…』
『あぁ、行ってくる。短くてもいい、何もないこんなみてるだけの世界
よりはマシだと思わないか?リベルタス。君も来ないか?』
『わしは…行かぬ…わしは神じゃ!この世界の神なのじゃ…』
『そうか…なら、私の力を封印してくれ。記憶も頼む』
『それは…残酷じゃな…』
『なら、一緒に…』
『行かぬわ、愚か者!神の座を降りる不届きものなど、どこへでも行って
しまえばいいんじゃ!』
光が降り注ぎ、地上の夫婦の元へと降りていく。
生まれてくる赤子の魂と結びつき、新たな生を誕生させた。
記憶をなくした神の誕生だった。
「オギャーオギャーオギャー」
「はーい、可愛い男の子ですよ~」
夫婦の元に手渡されると両親が嬉しそうに眺めてきた。
「今日からお前は佐野遼馬だ。生まれてくれてありがとう…遼馬」
その映像を見ながら幼女はただ唇を噛み締めていたのだった。
「大馬鹿者が………」
決して言えないが、一緒に行きたかった。
そんな思いを込めていった皮肉だった。
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楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
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本当に、ありがとうございます。
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