俺が恋をした相手は

秋元智也

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09 どうして?

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朝、送ってもらって家に帰ると母親が先に帰っていた。

「あらっ、どこ行ってたの?」
「あぁ、ちょっと眠れなくて走ってきてたんだ…」
「そう、朝食できてるわよ。」
「うん…ありがと」

まだ腰が痛い…がそんな素振りを見せない様にしながら部屋へと入った。
スマホを見ると大輔から何件も着信が入っていた。

「なんだろ?…ま、いっか」

少し休むと制服に着替えて学校へと向かった。
大輔に会うと何か言いたげだったが、何も聞いてこなかった。

「昼さ、屋上で食おうぜ!待ってるからな!」

それだけ言うと友達の輪の中に入っていく。
俺もそれ以上詮索はしなかった。
昼休み、屋上へ行くとたわいもない話をして普通弁当を食べた。

「そういえばさ…昨日の事なんだけど…」
「悪かったな…ちょっと用事が入ってさ…」
「あ、あぁ。家の前で車に乗ってっただろ?あれ、知り合いなのか?」
「え…う、うん。年は結構上なんだけど、友達なんだ~」

俺は誤魔化すように笑って答えた。
だけど、大輔は真剣な顔で俺の肩を掴むと壁に押し付けた。

「痛いって…なんなんだよ~今日おかしいぞ?」
「本当にただの友達なのか?親と同い年くらいだったぞ?最近お金欲
 しさにパパ活やってる奴がいるって話が多いけど稔もなんじゃない
 かって心配でさ…」

俺は真剣な大輔を見て笑うと手を退けさせようとポンポンと叩く。

「そんな訳ないだろう?俺の事そんな目で見てたのかよ~、ないない
 、マジでないから~」

肩を掴むと手に力が入る。

「痛いって…離せよっ!」
「なら、聞くけど…友達と抱き合ったり、キスしたりするのか?」
「っ…あ~帰国子女だって、仕事柄海外行くこと多いって言ってたし、
 だからじゃないかな?」
「誤魔かすなよっ…俺は…っ…」

唇を噛み締めると、いつのまにか唇に暖かいものがあてがわれていた。
俺は驚いてしまって抵抗しないでいるとそのまま床に押し倒された。
馬乗りになった大輔は真っ赤になりながら俺の上に乗っかっている。

腹の上に硬いモノが触れている。
これは…言わなくても分かる。なんでこんなところで勃起している?

「だいすけ…?」
「…/////」

振り払わないのをいい事に俺のシャツに手をかけた。
流石にこれ以上はやばい。
昨日の事情の痕が無数に残っているし、大輔とはそんな関係になるつ
もりもない。

「やめてっ!嫌だよ…やめて…」
「ご、ごめん。俺…どうしたんだろ…ほんとにごめん…」

大輔自身が動揺したように声を上ずらせ出て行ってしまった。
立ち去ったあと、俺の股間が膨れているのに気づいた。

嘘っ…だって大輔だぞ…。

その日以来、大輔の態度が少しよそよそしくなった。

いや、多分意識し始めたのだろう。
しかし、これもただの気の迷い。女子が大好きな大輔はすぐに気付
くだろう。不毛な想いだったと…。
それから一ヶ月がたったある日、校門の前に他校の生徒が待っていた。
それは見覚えがあった。
あきらさんと一緒にいた男子生徒だ。と、言う事はあきらさんの息子
と言う事になる。

俺を見つけるとこっちに近づいてきた。

「ちょっと話があるんだけど、いいか?」
「えーっと…」

これってどうしたらいいんだろう?あきらさんに相談すべきだよな…。

迷っていると後ろから大輔が来て仲に割って入ってきた。

「稔の知り合い?」
「えっ…いや…知らない?」
「知り合いだ!あんた俺の親父の事知ってるだろう?話があるって言っ
 てんだよ。」
「そうかそうか、なら俺も一緒に行ってやろう!大輔ってんだ、よろし
 くな!」

息子さんは少し嫌そうな顔をしたが、俺が来るならと付け加えた。

はっきり言って行きたくない。
何を言われるかとビクビクするし、大輔の前で下手な事を言われるかと
思うとゾッとするからだ。

「俺が行く理由ないですよね?」
「はぁ?あんたに話があんだよ。それとも親父の事ここで大声で話して
 やろうか?」

俺の方を見ると口元を緩める。
何か知っているのか?聞きたかったが、大輔の前では聞くことも出来な
い。

「…っ…あんた最低だな…」
「そうか?お前に言われたくねーよ。」

大輔だけが何を言っているかわからずにいた。

「大輔、もういいから帰れよ…」
「何言ってんだよ?変な奴とお前を二人っきりにできるかよ!なんか奴は
 気に入らないからさぁ~嫌なら行かなきゃいだろ?」
「それは…」

大輔は普通に心配してくれてる。
それはそうだろう、知らない奴について来いなんて言われて行くのもおか
しな話だ。俺も行きたくない…行きたくないけど…。

「早くしてくれよ。こっちも暇じゃないんだ。その友達は知ってるのか?」
「…」
「何言ってんだよ!お前が稔の何を知ってるっていうんだよ!」
「そうだな…ただの友達ごっこしてる奴よりは知ってると思うぜ?」

喧嘩ごしに迫るのを制しておとなしくついて行くことにした。
電車で1時間。そこはいつもあきらさんと待ち合わせする駅の側だった。

「毎回きてるからこの辺は慣れてるだろ?こっちだ」
「おい、なんなんだよその言い方は!稔も反論しろよ。」
「そうだな…」
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