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5話 空腹の本能
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それでも食い下がるわけにはいかないのだろう。
立ったまま帰らない畑野を見ると悔しそうだが、まだ諦めていないようだった。
「今日のところはこの辺で終わらないか?時間も遅いし…」
「そうですね!これ以上何を言っても変わりませんし。それに書記も戻ってきた
ようですし」
いつの間にか所澤も帰って来ていた。
今日の決議をまとめたものを提出し終わり、帰りの支度をしていた。
「畑野~もう、いい加減諦めたらどうだ?俺たちのように結果で全てが決まるんだ」
そう言ったのはさっき帰ってきたばかりの書記の所澤だった。
柔道部の部長も兼任しているせいか体格がよくて、誰も逆らわない。
そして、去年全国大会で惜しくも優勝を逃したが今年こそはと意気込んでいる。
「そうですね。もう、無駄な足掻きはやめてください。僕の仕事が増えるんで!」
厳しい言い方だが、犬飼の言葉も間違ってはいなかった。
しかし、このままだと本当に廃部になって続けるなら部費の出ない同好会になって
しまうだろう。
そうなれば記録など残せるはずもなく、消えていく。
「まだ、決定じゃないし…少し考えてみよう?」
恵が言うと、犬飼は鼻を鳴らしながら頷いた。
畑野も少し考えてそのまま帰って行った。
会長の恵に言われれば渋々でも聞いてくれるのが犬飼のいい所だった。
が、それに甘えてなんでも押し通す訳にはいかない。
恵だって、記録を残せない部活動に関しては思うところはあるし、甘んじて誰にでも
優しくするつもりなどない。
しかし、やれる事があるならそれをやってから、足掻いてそれでもダメだったのなら
考える余地もあると言うものだった。
下駄箱で待っていたかのように立っていた畑野が近づいてくると少しドキッとした。
「さっきはすまない…だが本当に先輩から受け継いだこの部をなくす訳にはいかないん
だ、だから…」
「必死なのはわかるよ。だから…ちゃんと考えて犬飼を説得しよう?」
「あぁ。ありがと。磯部っていいやつだな!」
「まぁ…やる事だけやってくれればな…」
ぎゅるるるるるぅ~~~。
大きなお腹の音がして恥ずかしくなった。
流石にこれは聴こえていたのか首を傾げると笑われた。
「すげ~音だな?さっきも何度も鳴ってたけど、それって磯部だったんだな?」
「これは…」
「いいよ。俺もお腹すいたし。じゃーな!」
「あぁ。」
恥ずかしいところを見られてしまったと思うと早足で家に帰った。
コンビニで買った弁当を食べても空腹は満たされなかった。
『人間の精液を体内に取り入れないと一週間も持たずに倒れるぞ』
父親の言葉が頭をよぎる。
(嘘だろ…ふらふらするし、精液ってどうやって…)
食事をすましたが、空腹はだんだん酷くなる一方だった。
歓楽街へと足を運ぶと、いい匂いがそこらじゅうから漂ってくる。
ふらふらっと歩けばラブホテルが所狭しと並んでいる。
相手も居ないのに入るわけにもいかず彷徨うと空腹が限界まできて歩くのも辛く
なってきていた。
(ダメだ…お腹すいた…どこかに落ちてないかな…)
座り込むと目眩がし始めていた。
すると暗がりの奥に酔い潰れている男が放置されていた。
ゆっくり近づいても動く気配もないしぐっすりと眠っていた。
ごっくん…。
唾を飲み込むと気づいた時にはズボンのチャックを外し中のモノを取り出していた。
舌でぺろりと舐めると甘い香りがして舌が痺れるほど美味しく感じた。
必死になってしゃぶり着くと吸い上げる。
トロッと出てくる液体を喉の奥まで吸い込むと後から後から湧いてくる。
一心不乱にごくごくと嚥下するとやっとお腹が膨れて来ていたのだった。
立ったまま帰らない畑野を見ると悔しそうだが、まだ諦めていないようだった。
「今日のところはこの辺で終わらないか?時間も遅いし…」
「そうですね!これ以上何を言っても変わりませんし。それに書記も戻ってきた
ようですし」
いつの間にか所澤も帰って来ていた。
今日の決議をまとめたものを提出し終わり、帰りの支度をしていた。
「畑野~もう、いい加減諦めたらどうだ?俺たちのように結果で全てが決まるんだ」
そう言ったのはさっき帰ってきたばかりの書記の所澤だった。
柔道部の部長も兼任しているせいか体格がよくて、誰も逆らわない。
そして、去年全国大会で惜しくも優勝を逃したが今年こそはと意気込んでいる。
「そうですね。もう、無駄な足掻きはやめてください。僕の仕事が増えるんで!」
厳しい言い方だが、犬飼の言葉も間違ってはいなかった。
しかし、このままだと本当に廃部になって続けるなら部費の出ない同好会になって
しまうだろう。
そうなれば記録など残せるはずもなく、消えていく。
「まだ、決定じゃないし…少し考えてみよう?」
恵が言うと、犬飼は鼻を鳴らしながら頷いた。
畑野も少し考えてそのまま帰って行った。
会長の恵に言われれば渋々でも聞いてくれるのが犬飼のいい所だった。
が、それに甘えてなんでも押し通す訳にはいかない。
恵だって、記録を残せない部活動に関しては思うところはあるし、甘んじて誰にでも
優しくするつもりなどない。
しかし、やれる事があるならそれをやってから、足掻いてそれでもダメだったのなら
考える余地もあると言うものだった。
下駄箱で待っていたかのように立っていた畑野が近づいてくると少しドキッとした。
「さっきはすまない…だが本当に先輩から受け継いだこの部をなくす訳にはいかないん
だ、だから…」
「必死なのはわかるよ。だから…ちゃんと考えて犬飼を説得しよう?」
「あぁ。ありがと。磯部っていいやつだな!」
「まぁ…やる事だけやってくれればな…」
ぎゅるるるるるぅ~~~。
大きなお腹の音がして恥ずかしくなった。
流石にこれは聴こえていたのか首を傾げると笑われた。
「すげ~音だな?さっきも何度も鳴ってたけど、それって磯部だったんだな?」
「これは…」
「いいよ。俺もお腹すいたし。じゃーな!」
「あぁ。」
恥ずかしいところを見られてしまったと思うと早足で家に帰った。
コンビニで買った弁当を食べても空腹は満たされなかった。
『人間の精液を体内に取り入れないと一週間も持たずに倒れるぞ』
父親の言葉が頭をよぎる。
(嘘だろ…ふらふらするし、精液ってどうやって…)
食事をすましたが、空腹はだんだん酷くなる一方だった。
歓楽街へと足を運ぶと、いい匂いがそこらじゅうから漂ってくる。
ふらふらっと歩けばラブホテルが所狭しと並んでいる。
相手も居ないのに入るわけにもいかず彷徨うと空腹が限界まできて歩くのも辛く
なってきていた。
(ダメだ…お腹すいた…どこかに落ちてないかな…)
座り込むと目眩がし始めていた。
すると暗がりの奥に酔い潰れている男が放置されていた。
ゆっくり近づいても動く気配もないしぐっすりと眠っていた。
ごっくん…。
唾を飲み込むと気づいた時にはズボンのチャックを外し中のモノを取り出していた。
舌でぺろりと舐めると甘い香りがして舌が痺れるほど美味しく感じた。
必死になってしゃぶり着くと吸い上げる。
トロッと出てくる液体を喉の奥まで吸い込むと後から後から湧いてくる。
一心不乱にごくごくと嚥下するとやっとお腹が膨れて来ていたのだった。
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