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14話 飲精

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畑野も心ここに在らずといった感じだった。
朝早くに登校し、磯部にあったが結局放課後まで待つ事になった。

彼は何を話すのだろう?
いや、そんな事より昨日してしまった過ちを謝るのが先ではないか?

畑野は部員の募集を色んなところですると、今日も一人も集まらなか
ったのだった。
放課後、磯部の教室を覗くとちょうど帰るところだったらしい。
そのまま生徒会室に立ち寄ってから、畑野の元へと来た。

すると後ろから何故か所澤までついてきていた。

「だから、今日は無理だと…」
「そこをなんとか頼むよ!会長にしか頼めないんだよ~l
「それはっ…この話はなかった事で…」

話の糸が全く見えなかった。
しかし畑野の前まで来ると強引に所澤が磯部に掴みかかった。
壁に押しやるのそ見るといてもたっても居られず出て行こうとして足を
止めた。

力技に出た所澤を力でねじ伏せたのだ。
しかも、あの細い身体であの巨体を締め上げるのは流石に驚きでしかな
かった。

「悪いけど、それは聞けないと言っただろう?」
「あででででっ!分かった、分かったからっ!離してくれ~」

情けない声をあげて所澤が根を上げたのだった。

「今日は用事があるから帰るけど、人を巻き込まないように!」
「はい…」

大きな巨体が今は小さく見える。
本当にあの柔道部の部長を力で制したというのは本当だったらしい。

まるで大型犬がきゅんと喉を鳴らしているかのように見えた。
すると、畑野に気づいた磯部がこっちに歩いてきていた。

畑野は何を話していいか迷いながらも一緒に学校を出た。
歩きながら話す言葉も見つからず少し歩くと昨日後をつけた時に見た
アパートに来ていた。

「ここは…?」
「俺の家だ。他の場所だと話しにくいだろ?」
「あぁ、そうだよな…」
「お茶か、コーヒーどちがいい?」
「お茶で…あのさ、昨日に事なんだけど…」

畑野は謝ろうと声をかけたが、磯部は平然としていて、余計に言いづら
くなった。

「えーっと、あの…」
「昨日は悪かった。」

一瞬、目を丸くした。
まさか磯部から謝ってくるとは思っても見なかったからだ。

「昨日の事は…覚えて?」
「あぁ、思い出したから言っている。」
「俺の方こそ、あんな…いや、あれは俺がしたようなものだし…中に出し
 ちゃったけど大丈夫だったか?」
「問題ない…」
「そうか…なら、いいんだけど…」

よくはないけど、どっちも誤ったのならそれで手打ちでいいのだろうか?

「あのさっ、俺とつきあっ…」
「すまないが、少しの間付き合ってくれないか?」

お互いの言葉が重なると、お互い聞き返した。

「えっ…」
「畑野くんにはすまないが…一ヶ月でいい、俺に精液を飲ませて欲しい」
「ふぇっ…!せ、精液を…飲ませるって…」
「フェラさせてくれないだろうか?俺は体質上、精液を飲まないと死んで
 しまうらしいんだ。」
「そ、そんな話…」
「信じられないかもしれないが、事実だ。普通の食事ではお腹が空いてど
 うしようもないんだ。だから…頼めないだろうか?別に男にフェラされ
 るのが嫌なら容器に取ってくれてもいい。」
「そんな事はない!磯部くんなら…えっと、フェラしてほしい…です」

畑野はこれ以上ない提案にすぐに飛びついたのだった。
もし、本当に精液を摂取しないと死んでしまうと言うのが本当でも、嘘でも
どちらでもいい。

他の人にするくらいなら、自分にしてほしい。
どうしても、それだけは譲れない気がしたからだった。
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