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21話 監視
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その日もいつもの様に、生徒会室を出るとバイトに向かった。
客の入りも多く、繁盛していた。
「あ!会長~接客なんですね~、僕の事覚えてます?」
「いや、悪いが待ってる人がいるからお喋りは遠慮してくれるかな?」
「つれないな~、だったらバイト終わるの何時ですか?」
「それも言えない。人と約束してるんだ。」
客に混ざって買ってくれるのは嬉しいが、こうやって質問責めをされるのは
不愉快で仕方がない。
畑野と同じ部活の人だとは見てすぐに分かったが、名乗った覚えもないので
知らないに等しい。
しかも、畑野が多分嫌がりそうだと思うとそれ以上は話す気にはなれなかっ
た。
バイトを終えて店を出ると、目の前に立ち塞がる様に待っていた。
「やっと終わったんですねー、会長ってすごいですよね~、学校側からバイト
の申請をもぎ取るのって結構大変でしたよね?」
「学年順位10位以内だろ?」
「それです!それ、マジで僕は無理~って感じで~」
「いいかな?急いでいるので明日にしてくれないか?」
「明日ならデートしてくれるんですか?」
「誰がそんな事をいったんだ?話があるのだろう?部室に行くからそこで聞く
と言ったんだ」
残念がるが、こっちは早く食事にありつきたいので帰って貰いたい。
家まで付いてこられても迷惑だし、今からやることを考えると困る。
袋いっぱいに詰められた唐揚げを見るとじっと見つめてきた。
「それ全部会長が一人で食べるんですか?」
「あぁ、そうだが?」
「多くないですか?一緒に食べてあげましょうか?」
「結構だ。早く帰りなさい、もう遅いだろう?」
「はーい」
返事はするが一向に帰る気がない様だった。
恵は帰ろうとすると後ろをついてくるので振り向くと、睨みつけた。
「本当にいい加減にしてくれ。なんでついてくるんだ?」
「あぁ。帰りの方面が一緒なだけだから心配しなくていいですよ?」
「…なら先に行ってくれ。」
「会長って、実はついてきて欲しかったんですか?」
こんなにしつこいとは思わなかった。
人が少ない通りなので余計に後ろを歩かれると不安になる。
なんだか彼を見ていると胸騒ぎを感じる。
何がというのは、分からないがただ、何かが違うのだ。
「仕方ないかな~今日のところは帰ってあげます。また明日ね?会長!」
「…」
振り返りもせず反対方面へと歩いていった。
恵もやっと帰れると視線を逸らしたが、すぐに気になって振り向いた。
真っ直ぐの一本道のはずだが、さっきまでいたはずの彼の姿は忽然と消えて
いたのだった。
急ぎ家に帰ると、待っていた畑野が家でくつろいでいた。
「おかえり~恵くん?何かあったのか?」
「いや…なんでもないよ。お腹すいたぁ~、ちょっとシャワー浴びてくるから
これ。」
そう言って唐揚げを机に置いた。
最近は夜食も一緒に食べる様になっていた。
「今日もいっぱいくれたな~、お!春巻きもあるじゃん」
「揚げ物ばっかだけどな?そうだ、バイトのおばちゃんから漬物もらったんだ
よ!後で切るから待ってな!」
「俺がきっとくよ!先にシャワー浴びにいってこいよ」
「うん、ありがと」
袋に一緒に詰め込まれたものを出すと皿に盛り付ける。
米は炊けているのでご飯をよそうと、恵が出てきていた。
客の入りも多く、繁盛していた。
「あ!会長~接客なんですね~、僕の事覚えてます?」
「いや、悪いが待ってる人がいるからお喋りは遠慮してくれるかな?」
「つれないな~、だったらバイト終わるの何時ですか?」
「それも言えない。人と約束してるんだ。」
客に混ざって買ってくれるのは嬉しいが、こうやって質問責めをされるのは
不愉快で仕方がない。
畑野と同じ部活の人だとは見てすぐに分かったが、名乗った覚えもないので
知らないに等しい。
しかも、畑野が多分嫌がりそうだと思うとそれ以上は話す気にはなれなかっ
た。
バイトを終えて店を出ると、目の前に立ち塞がる様に待っていた。
「やっと終わったんですねー、会長ってすごいですよね~、学校側からバイト
の申請をもぎ取るのって結構大変でしたよね?」
「学年順位10位以内だろ?」
「それです!それ、マジで僕は無理~って感じで~」
「いいかな?急いでいるので明日にしてくれないか?」
「明日ならデートしてくれるんですか?」
「誰がそんな事をいったんだ?話があるのだろう?部室に行くからそこで聞く
と言ったんだ」
残念がるが、こっちは早く食事にありつきたいので帰って貰いたい。
家まで付いてこられても迷惑だし、今からやることを考えると困る。
袋いっぱいに詰められた唐揚げを見るとじっと見つめてきた。
「それ全部会長が一人で食べるんですか?」
「あぁ、そうだが?」
「多くないですか?一緒に食べてあげましょうか?」
「結構だ。早く帰りなさい、もう遅いだろう?」
「はーい」
返事はするが一向に帰る気がない様だった。
恵は帰ろうとすると後ろをついてくるので振り向くと、睨みつけた。
「本当にいい加減にしてくれ。なんでついてくるんだ?」
「あぁ。帰りの方面が一緒なだけだから心配しなくていいですよ?」
「…なら先に行ってくれ。」
「会長って、実はついてきて欲しかったんですか?」
こんなにしつこいとは思わなかった。
人が少ない通りなので余計に後ろを歩かれると不安になる。
なんだか彼を見ていると胸騒ぎを感じる。
何がというのは、分からないがただ、何かが違うのだ。
「仕方ないかな~今日のところは帰ってあげます。また明日ね?会長!」
「…」
振り返りもせず反対方面へと歩いていった。
恵もやっと帰れると視線を逸らしたが、すぐに気になって振り向いた。
真っ直ぐの一本道のはずだが、さっきまでいたはずの彼の姿は忽然と消えて
いたのだった。
急ぎ家に帰ると、待っていた畑野が家でくつろいでいた。
「おかえり~恵くん?何かあったのか?」
「いや…なんでもないよ。お腹すいたぁ~、ちょっとシャワー浴びてくるから
これ。」
そう言って唐揚げを机に置いた。
最近は夜食も一緒に食べる様になっていた。
「今日もいっぱいくれたな~、お!春巻きもあるじゃん」
「揚げ物ばっかだけどな?そうだ、バイトのおばちゃんから漬物もらったんだ
よ!後で切るから待ってな!」
「俺がきっとくよ!先にシャワー浴びにいってこいよ」
「うん、ありがと」
袋に一緒に詰め込まれたものを出すと皿に盛り付ける。
米は炊けているのでご飯をよそうと、恵が出てきていた。
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