インキュバス君は困ってます!

秋元智也

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36話 人に戻れるとしたら?

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夢中になっていて気づかなかったが、畑野の目にはしっかり映っていた。
恵の真後ろに立つ青山の姿が…。

『お取り込み中悪いんだけど~そんなにいいの?』

「えっ…!?」
「青山…」

真後ろから聞こえた声に恵はハッとして、正気に戻っていた。
さっきまで朦朧としていた意識が鮮明になり、今の自分の姿を思い出す。
咄嗟に退こうとすると後ろから牽制され両乳首を掴まれた。
ぎゅっと思いっきり握られると悲鳴が漏れる。

「い゛ィィィッぅんっーーーー!」
「感じてるの?気持ちいい?」

耳元で言われるがそれを睨みつけると言い返すしかない。

「よく、ない…触るなっ…」
「自分の立場がわかってない様ですね?ならこっちはどうでしょう?」

離すと下へと滑っていくと、目の前でぶらぶらとしていた性器を掴まれて
いた。そしてその下の睾丸を強く握られていた。

「ああぁぁっぁぁーー!」
「気持ちよさそうな声ですね?いっそ握り潰したらどうなりますかね?また
 生えて来るんですかね?」
「いやあっ…やめて…助けて…」
「知ってますか?貴方が人間と交わると化け物が生まれるんですよ?なら
 いっそ、去勢してしまえば貴方は無力だ。インキュバスの力も無くなっ
 て普通の暮らしができるかもしれませんよ?どうですか?」
「普通に…暮らせる?…もう、精液飲まなくても…いい?」

「…!?」

涙目で答える恵に畑野は目を剥いた。
いつも美味しそうに飲んでるこの行動が実はやりたくない事だったら?
生きる為に仕方なくしている事で、その手段の一環だとしたら?

そこには愛情も何もないのではないか?

「どうしますか?ここで切り取ってあげましょうか?」
「…」

再びぎゅっと握ると身悶えると畑野自身を締め付けていた。

「考えさせてぇ~あぁっ!」
「いいでしょう。またしっかり答えを聞きに来ますよ?」

テントを出ると、向こうの方から池下が帰ってきていた。

「そろそろお仲間が帰ってきましたよ?」

テントの中に声をかけるとたっぷりとナカに出された恵が身体を起こし、
立ち上がった。
ぬぽんッと中から抜けると動ける様に回復した様だった。

「ありがと、もう大丈夫だから…」
「恵くん…本当は…いや、いい。」

そのまま下山するはずが、予想外の展開に一応予定通りのコースでゴール
を目指したのだった。

血に染まった審査員の基準表を持って、後で事の荒回しを簡単に説明した。
熊に襲われた。
そして逃げろと言われた審査員の男性を置いて逃げてきたと説明した。

もちろん審査員の男性のそばには熊の死体もあるし、嘘ではなかった。
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