インキュバス君は困ってます!

秋元智也

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38話 嫉妬

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畑野の様子がおかしい。
いつもに増して暗い気がする。
それに気づいたのは同じクラスの池下だった。

「部長~部長ってば~!」
「ん!!…な、なんだ?何か用事か?」
「さっきから呼んでるけど…あのさ~競技の後からずっとおかしいだろ?一体
 何があったんだ?相談にくらいは乗るぞ?」
「いや、何もないよ?平気だし…」
「平気じゃないだろ?今日はいかないのか?生徒会室…」

池下に言われてハッとなったが、唇を噛むとすぐに険しい顔になって俯く。

「行くわけないだろ?行く理由がないじゃないか…」
「会長に会いに行けばいいだろ?会うのに理由がいるのか?」
「何で会いに行くんだよ…別に行く理由なんて…」
「好きだからだろ?」
「…!?」

池下の言葉に一瞬ドキッとなる。

「そんな事は…大体恵くんは男だぞ?俺がそんな…」
「いいよ、別に。性別なんて関係ないんじゃないか?なんか青山が最近会い
 に行ってるらしいぞ?いいのか?」
「よくない!」
「なら…会いに行けばいいだろ?」
「それは…」

本気で好きなのだ。
だからこそ、この関係から抜け出したかった。
一方的に身体だけの関係…そんな虚しい行為は嫌なのだ。

自分の事を好きになってほしい。
そんな気持ちが抑え切れなくなってきていた。

池下に見抜かれても、それでも変わることができない。
今日は昨日行けなかったから、部屋へと先に行ってみた。
まだ、恵は帰ってきていなかった。

最近は自分で抜く事も無くなってしまったせいか、シャワーを浴びるついでに
自分で扱いてみる。

恵の口の中や、体内を思い出すと勃起はするが、なかなかイケない。
あの気持ちのいい締め付けや、絞る取る様なヒダの感覚が忘れられない。

「んんっ…くっそ…何で上手くいかねーんだよ…」

一人愚痴ると時間をかけて一回出すとそのまま出てきた。
食事の準備だけして、テレビでもみて待っていると、玄関の鍵が開く音がした。

「おかえり~」
「あぁ、裕也…あのさ…俺っ…ッ!」

すぐに口を塞ぐ様にキスをすると長い時間、呼吸が苦しくなるくらいに貪った。
畑野からするのは珍しい事だった。

「昨日はごめん。今日はいっぱい飲んでいいから…」
「…う、うん」

何か言いたげな顔で見上げて来る。
まさか別の人に乗り換えると言うのだろうか?そんなの嫌だ。
誰にもこの役は渡したくない!
もし、ただの食事だとしても、それでもいい。
他の誰かに取られるのなんて嫌だ。

畑野の想いを知ってか、知らずか?

恵は自ら鞄を落とすと自然と服が床に落ちて行く。
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