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46話 二人の距離感
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結果、カウパーは出るが精液は出なかった。
それもそのはず、睾丸がないのだから精液を作るところがないのだ。
「これが唾液で、こっちはカウパーのみかな…出ないから」
「あ~そうでしたね。もうできないんでした。もしかしたらもう、精液を取らなく
ても生きていけるかもしれませんけどね?また連絡します」
すぐに鞄にしまうと出て行こうとした。
そして立ち止まるとニヤッと笑って言ってきた。
「あぁ、さっき部屋でセックスしてたでしょ?それを見てた奴がいたのでこっちで
処理しておきましたよ?いい実験材料になりそうですよ。本当にいい囮で助かり
ましたよ。」
青山が帰った後で疑問を口にする。
「外で見てたって…見られてたのか?」
「あぁ、多分…彼女でしょう。ほら、あの時山で丸焦げになってた奴。あの人の本体
だと思いますよ。青山が欲しがってましたからね~実験体として。恵くんを最初は
狙ってたみたいですけど、もう、こうなっては大丈夫そうですね?」
「そうなのか?もしかしたら…俺も実験とやらにするつもりだったのか?嫌だな~」
「そんな事俺がさせませんよ!」
いつしか生徒会室には畑野がよく出入りする様になっていた。
会長は前にも増して笑顔が増えて、周りの男子を含め女子にさえも人気になって行く。
「はぁ~、恵くんを好きな人が増えるのってなんか嫌だな~」
「そんな事言うなよ?俺は裕也だけのものだって言っただろ?土曜日どこ行く?ついでに
夜は泊まって行くだろ?」
「それって誘ってる?」
「別に、誘ってない。ただくっついて寝た方が…気持ちいいから」
最後の方は声が小さく掠れて聞こえてきた。
お互い想いは伝えたものの、やっぱり学校ではよそよそしくなるし、近くに女子がいると
もやもやした気持ちになる。
廊下の先に畑野がいたので手を振ると一瞬、固まる。
横に女子生徒がいたのだ。
手を下ろすと向きを変えて逃げるように離れようとした。
「恵!」
大声で呼び止められると肩をつかまれると振り向くしか選択はない。
「あぁ、別に用事はないし…またな…」
「勘違いすんなって、部活の女子だよ。最近勉強教えてるんだよ。まぁ、恵が教えた方が
成績は上がると思うけどな?ほれっ、こっちのメガネの三つ編みの子が井上清華。そし
て、こっちの茶髪の子が高島彩だ。」
「先輩!磯部会長と知り合いなんですね~すごーい!」
「磯部先輩、よろしくお願いします。先輩も勉強教えてくれませんか?」
高島彩の方は図々しく恵の腕に飛びつこうとして畑野に首根っこを掴まれていた。
「いや~ん。そんなところ持たないでくださいよ~」
「お前はどこを触ろうとしてるんだ?どこを?」
「それは、こう言う機会がないと話せないじゃないですかぁ~、だったら覚えて貰おうと
こうやって~」
そう言うと、畑野の腕に絡ませ、胸を押し付けてきた。
恵がその光景をじっと見ているのに気づくとすぐに引っ剥がした。
「違うからな!これはこいつが勝手に…」
「いいよ、仲いいんだな?」
「それは誤解だって~」
慌てる畑野に恵はそのまま睨むようにして踵を返すと行ってしまった。
「おい!あんまりふざけんなよ!」
「あれ?確か、磯部先輩には絶対に告白しないって暗黙のルールあったよね?」
「うん、彩ちゃんの言う通りだよ。でも、さっきの反応って…まさか…」
二人が見つめる先で困ったような顔をする畑野が頭を掻きながら愚痴をこぼす。
「まさか…畑野先輩ってホモなんですか?」
「磯部会長と付き合ってます?」
二人が同時に聞いてくるので、それには困ってしまう。
こんなところで言える事ではないし、本人の許可も取らずに話すわけにもいかな
かった。
それもそのはず、睾丸がないのだから精液を作るところがないのだ。
「これが唾液で、こっちはカウパーのみかな…出ないから」
「あ~そうでしたね。もうできないんでした。もしかしたらもう、精液を取らなく
ても生きていけるかもしれませんけどね?また連絡します」
すぐに鞄にしまうと出て行こうとした。
そして立ち止まるとニヤッと笑って言ってきた。
「あぁ、さっき部屋でセックスしてたでしょ?それを見てた奴がいたのでこっちで
処理しておきましたよ?いい実験材料になりそうですよ。本当にいい囮で助かり
ましたよ。」
青山が帰った後で疑問を口にする。
「外で見てたって…見られてたのか?」
「あぁ、多分…彼女でしょう。ほら、あの時山で丸焦げになってた奴。あの人の本体
だと思いますよ。青山が欲しがってましたからね~実験体として。恵くんを最初は
狙ってたみたいですけど、もう、こうなっては大丈夫そうですね?」
「そうなのか?もしかしたら…俺も実験とやらにするつもりだったのか?嫌だな~」
「そんな事俺がさせませんよ!」
いつしか生徒会室には畑野がよく出入りする様になっていた。
会長は前にも増して笑顔が増えて、周りの男子を含め女子にさえも人気になって行く。
「はぁ~、恵くんを好きな人が増えるのってなんか嫌だな~」
「そんな事言うなよ?俺は裕也だけのものだって言っただろ?土曜日どこ行く?ついでに
夜は泊まって行くだろ?」
「それって誘ってる?」
「別に、誘ってない。ただくっついて寝た方が…気持ちいいから」
最後の方は声が小さく掠れて聞こえてきた。
お互い想いは伝えたものの、やっぱり学校ではよそよそしくなるし、近くに女子がいると
もやもやした気持ちになる。
廊下の先に畑野がいたので手を振ると一瞬、固まる。
横に女子生徒がいたのだ。
手を下ろすと向きを変えて逃げるように離れようとした。
「恵!」
大声で呼び止められると肩をつかまれると振り向くしか選択はない。
「あぁ、別に用事はないし…またな…」
「勘違いすんなって、部活の女子だよ。最近勉強教えてるんだよ。まぁ、恵が教えた方が
成績は上がると思うけどな?ほれっ、こっちのメガネの三つ編みの子が井上清華。そし
て、こっちの茶髪の子が高島彩だ。」
「先輩!磯部会長と知り合いなんですね~すごーい!」
「磯部先輩、よろしくお願いします。先輩も勉強教えてくれませんか?」
高島彩の方は図々しく恵の腕に飛びつこうとして畑野に首根っこを掴まれていた。
「いや~ん。そんなところ持たないでくださいよ~」
「お前はどこを触ろうとしてるんだ?どこを?」
「それは、こう言う機会がないと話せないじゃないですかぁ~、だったら覚えて貰おうと
こうやって~」
そう言うと、畑野の腕に絡ませ、胸を押し付けてきた。
恵がその光景をじっと見ているのに気づくとすぐに引っ剥がした。
「違うからな!これはこいつが勝手に…」
「いいよ、仲いいんだな?」
「それは誤解だって~」
慌てる畑野に恵はそのまま睨むようにして踵を返すと行ってしまった。
「おい!あんまりふざけんなよ!」
「あれ?確か、磯部先輩には絶対に告白しないって暗黙のルールあったよね?」
「うん、彩ちゃんの言う通りだよ。でも、さっきの反応って…まさか…」
二人が見つめる先で困ったような顔をする畑野が頭を掻きながら愚痴をこぼす。
「まさか…畑野先輩ってホモなんですか?」
「磯部会長と付き合ってます?」
二人が同時に聞いてくるので、それには困ってしまう。
こんなところで言える事ではないし、本人の許可も取らずに話すわけにもいかな
かった。
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