サバイバルゲーム

秋元智也

文字の大きさ
3 / 61

襲撃

しおりを挟む
「それから、これは仮定だがこの島には人は俺たちのような外から連れてこられたプレーヤーしかいないんじゃないか?そして生き残りをかけて戦わされると」
「そんなっ」
江崎希美子は口許を押さえて震え出す。
「ほんとのサバイバルゲームをやれっていうのか?」
服部雅臣は眉を歪め疑問符をともす。
「冗談じゃないのか?」
「冗談だと思うのならこの拳銃が本物かどうかを検証した方がよさそうだな」
落ち着き払っていう松岡信治に対して、山本祐司が撃ってみたいと好奇心を露にしている。
「そうだな。一回外で試し撃ちをするか」
「そうだな、祐司大きい方の銃を持ってこい」
外に出ると的になりそうな十字架のかかれた缶を塀の上に乗せた。
まずは服部雅臣がハンドガンを手に取る。小さく手で握れるくらいの大きさなので当てるのもそう難しくないだろうとリボルバーに弾を詰めて引き金を引く。
ダンッという大きな音と反動が手を痺れさせた。狙ったはずの的は未だに無傷である。
「小さいが当たりにくいのか?」
「ここは俺に任せろよ」
山本祐司が持ってきたのはM16サブマシンガンである。本人はあまり詳しくないためストックを装着してオートで撃ち始めた。
ダダダダダダダーーーーー。
大音量が響いてどこに撃っているのだか分からない程、滅茶苦茶に撃ちまくった。あったいう間にストックの弾薬が空になり的は未だに健在であった。
「あれ?おっかしいなぁ?」
「あれだけハチャメチャに打てばどれかは当たりそうだが、無駄うちが多いな」
山本祐司の肩に手を置くと松岡信治はショットガンを構えた。
S686ダブルバレルと呼ばれる方だ。12ゲージの太い弾薬を3発入れる事が出来る。
ショットガンの特徴は周りに弾が散らばる、散弾銃と呼ばれるものだ。
敵のいる辺りに撃ち込めば当たりやすいという特徴がある。短所としては致命傷を与えられないのと、射程範囲が短いことだ。おおよそ50mから20mが限度だ。
ドウンッ、ドウンッ、ドウンッ。
反動も大きいが的である缶は幾つかの散弾にさらされて穴だらけになっていた。
「すげー。俺もそれがいい」
山本祐司はM16を松岡信治に渡すとS686を受け取り射撃練習をしだした。
「こんなところですかね、祐司ほどほどにしないと弾薬がなくなるぞ」
「分かってるってーー」
「俺達は一旦家に入るか?」
「そうだな江崎さん、大丈夫?」
服部雅臣の申し出で家に入ることにした。銃声にびくびくしている江崎希美子を気遣って松岡信治が声をかけるが顔を真っ青にして震えていた。
「私帰れるのかな?」
不安げに聞いてくる江崎希美子に服部雅臣はそっと肩を抱き締めた。
「絶対俺達が勝って元の生活に戻すから・・・」
「そうだぞ、俺達を信じろよ、祐司はバカだがセンスはある。今は練習をして上手くなればきっと生き残れるさ」
松岡信治は励まそうと必死に言葉を選んで勇気づけようとする。
いつの間にか震えは止まり打ち解けた時、外で撃っていた銃声が止んだ。
「そろそろ疲れたんじゃないか?」
「そうだな、結構反動がキツかったもんな」
「私、呼んでくるね」
「俺も行くよ」
江崎希美子に続いて服部雅臣が後に続く。
「お二人さん。お似合いだぜ」
茶化す松岡信治に服部雅臣の苦笑いと江崎希美子の頬が赤く染まった。
「いいねー。俺も美弥ちゃんと一緒が良かったなー」
「生き残ればいいだろ?」
服部雅臣がそう言ってからルールを思い出して渋い顔をした。
「すまない。そういうつもりじゃなかったんだ」
「わかってるよ。告白しとけば良かったなーって後悔だよ」
「・・・」
「早く呼んでこいよ」
「あぁ。」
一人になると少ししんみりと感じた。ここでは同じチームでないと生き残れない。
思い人は一体誰と組んでいるんだろう?
もう、会えないのだろうか?

外は静かになっていた。
「山本君~そろそろ休憩しよう?」
「祐司ーいつまで拗ねてるんだ?」
二人は裏手の先程試し撃ちををしていた場所へ向かった。
すると山本祐司が寝転んでいるのが見えた。
「こんなところで寝てると風邪引くよー」
近づいても全く反応がない。側に寄ってみて初めて気づいた。頭に小さな穴が開いている事に。
そして山本祐司が練習で持っていったS686が無くなっていることに。
「きゃーーー」
「戻るぞ!」
江崎希美子が山本祐司が死んでいる事に悲鳴をあげると服部雅臣は直ぐ様口を押さえてその場を離れようと江崎希美子の腕を引っ張った。
パッシュッ。
と僅かな音がしたかと思うと彼女の体は地面に倒れ込んだ。
山本祐司と同じく額に穴が開いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...