サバイバルゲーム

秋元智也

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突撃隊

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部屋の中を通りすぎてそのまま、廊下へと出ると指示を出していたと思われる人間を先に始末しようとSKSに持ち変えると一気に連射した。
反動と銃口が上に上がることを計算に入れて足元から撃ち始める。
敵がこちらに銃口を向ける前に部屋へと逃げ込んだ。
ピンを抜く音が後ろで聞こえた。
美弥はそのまま、二階のベランダから一階に飛び降りていた。
それと同時に先程までいた部屋から爆発がおきた。
悔しがる声が微かに聞こえてくる。
「澪、そっちに行くわ、仕留めておいて」
「分かった。任せて」
階段下のトラップの近くで待機する。
上で爆発がおきてから程なくして、降りてくる足音が近づいてきた。
「2人?いや、一人と重傷者が担がれているのか?どちらでもいい。仕留めれば一緒だ!」
小声で愚痴を溢しながら降りてきた敵はトラップの存在に気づいていない。
あと少し・・もっと、そこだっ! 
ピンっ。と軽井音がして張ってあった糸が引っ張られるとそのまま、ピンが抜けた。
眩い閃光が走り、キィィィーーーーーン。と音がなる。
敵は慌てて飛び退こうとするが全くのお門違いだった。
きっと手榴弾だと思うだろう。しかし、これはただの足止めだったのだ。
光が収まった頃に陰から飛び出してきた事にも気づけない。
動くことも敵を認識することすらままならない二人を殺すのは容易だった。
「前に食らったが、意外とキツイだろう?」
目の前に行くと話しかけてから、額に直接銃口を当てて引き金を引いた。
その頃、四輪駆動の車が澪と美弥の戦っていた家を迂回して裏の崖を無理矢理登ろうとしていた。
「ちょっとやだ。車が突っ込んでくるわ。香奈、大丈夫かしらね?アイツ?」
「心配だわ。行ってくる。優、あんたの方に車が突っ込んできてる。タイヤを撃ち抜きなさい!」
崖の上からひょこっと顔を出すと確かに車が突っ込んできていた。
「嘘だろ?タイヤを?どーやって狙うんだよ!」
SCAR_Lに弾を装填すると、一気に連射した。
カンッ。カンッ。カンッ。カンッ。カンッ。 
車の車体に弾かれてタイヤに当たらない。
「あたんねーよ。」
「後ろに、退避しなさい。私が殺るわ」
香奈はそのまま、優のいる崖を目指して走る。
「くっそーそんなカッコ悪いことできっかよ!」
手榴弾のピンを抜くと何個も投げた。
しかし、跳ね返ってしまい崖下で爆発してしまう。
それでも諦めずに転がしたりしているといつの間にか手榴弾ではなくスタングレネードを投げてしまった。
一瞬、閃光が走り、ドーン。と、大きな音が聞こえてきた。
やったか?と思たが閃光をまともに見てしまったせいで今は視界が効かない。
「車は破壊したと思う。」
「優!無事なの?」
「わりぃ、聞こえづらくてさ。ちょっと頼んでいいかな?」
「全く、バカなんだから」
香奈はそのまま、崖の方に来ると下に落下した車を確認した。中には運転手が一人。
優はというとスタングレネードをまともに食らったのか岩に寄りかかっていた。
「世話が焼けるんだから・・・」
溜め息混じりに近づこうとして下から上がってくる人影を見つけた。
このままではヤバイ。優は気づいてないし、あの状態だと逃げることも出来ない。
「これは愚策なんだけどな」
一人ごちると上がってくる3人のうち前を警戒している一人に照準を合わせる。
「AK47の8倍スコープは伊達じゃないのよ!」
ドゥン。ガチャン。
一人に命中。そのまま薬莢を排出すると、次の標的に照準を合わせる。
ドゥン。ガチャン。
「ちっ、外したか。次こそは・・・」
敵もこちらに気づいて反撃してくる。そのお陰で今はまだ、優の方には気づいていない。
よし。と香奈は思いながらまた銃を構える。
香奈はヘルメットを被っていない。その為、頭を撃ち抜かれれば終わりだ。
しかし、結構な距離があるためかそこまで敵に正確に撃ち抜く事が出来ないらしい。
それに比べてこちらはスナイパーライフル。8倍のスコープ付きは心強い。
残り2人。狙いを澄ますと再び構える。
狙うは即アウトの頭のみ。
レンズを覗き込む、そして引き金を引いた。
ドゥン。ガチャン。
残り一人という所で肩に痛みが走る。見ると被弾したのか。血が出ていた。
痛みを堪えて撃とうとするが銃口がぶれてまともに撃てない。
UZIに持ち変え、接近戦闘に移るためその場を離れ、駆け出した。
「優、聞こえる?そこから逃げて!」
「わりぃ、ふらふらしててさ。敵が来たのかよ。さっきから銃声がしてただろう?」
「仕方ないわね、私が行くまで銃を前に向けて待機。分かった?」
「おぉう。」
香奈は極力ゴツゴツした岩を盾に使いつつ、たまに頭を出しては牽制をしていた。
勿論、敵を引き付けるためだった。
あのまま進まれると優の潜んでいる岩か陰に行ってしまう。
それだけは防がなくてはならなかった。
肩の痛みは、段々と銃の正確率を格段に下げていた。
だが、回復している暇はない。回復すればまだ、戦えるが1分間全く動けなくなるのだ。
銃を持つこと出来ても撃つことは出来なかった。
それがこのゲームの制約なのだろう。よっぽど安全が確保されない限り回復を使う訳にはいかない。
まだ、左肩だったのが幸いした。コレが利き手だったらとおもうとゾッとする。
「まだ、あと一人。もう少しだけ・・・」
その頃、優は自分の失態のせいで仲間が危ない目にあっているのでは、と理解はしているが思い通りにならない体に苛立っていた。
「くっそー。動けよ。なんで聞こえないんだよ」
耳は幕が張ったように聞き取りづらくて敵の距離も掴めない。
三半規管がおかしいのかまともに立ち上がれない。
前が歪んで見えてきて立ってさえいられなかった。
しかし、香奈が言ったように岩を背にして前に銃を向けることなら出来る。
後はタイミングだった。これでは絶好の的だ。しかし、今出来るのはこれくらいだった。
「俺ってバカだからこれくらいしか出来ねーんだよな?」
「優、撃ちなさい!」
今ははっきりと聞こえた。さっきまでずっと幕が出来たようになって聞き取りづらかったのに、香奈の言葉がはっきりと届いたのだ。
敵は見えない。でも、香奈が言うんだから信じるしかない。
とにかく撃ちまくればいい。そう思うとふらつく足にナイフを突き立てた。
「ぐっ・・・ぃたくねー。動けよ!」
痛みで多少感覚が戻ったのか動けるようになった。
そのまま一気に連射した。
香奈は一か八かの賭けだった。
まだ、回復しきっていないとわかっていたが、敵が行ってしまったのは止められない。
無線を通さず大声で叫んだのだ。
悲鳴にも似た大声で。それが聞こえてか、いきなり立ち上がって撃ち出した優に多少安堵した。
ヘッドショットとまではいかないが意外と当たっていたのだ。
香奈も近づくと急所を狙おうとして気づいた。
敵の手に握られている物に。
急いで優に飛び付くとそのまま地面に転がった。
ドォーン。
と盛大な土埃りを巻き上げて辺りに爆風が吹き荒れた。
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