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デス・ゲーム2日目 図書館探索
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鍵が開いている事を確認し、五人は素早く図書館に入る。
「まず鍵を閉めておきましょう」
あの騒ぎで林から誰か逃げてくるかもしれない。
五人の意見は一致した。
外観からして大きさはさほど広くない。
教室2つ分くらいだろうか。一階は本棚と閲覧席とカウンター。
カウンターの裏には部屋が一つあった。
そしてトイレ。
一つしかない階段を上がり二階まで慎重に見回る。
二階には畳の敷いてある幼児用のコーナーと鍵のかかった部屋があった。
中に人のいる気配はない……。
しかし全員で慎重に見回り、やっと図書館内に五人の他には誰もいない事がわかった。
「はぁ……」
緊張から解かれた五人は一気に脱力した。
見回る際に、絹枝の提案でカーテンはすべて閉じた。
誰か近づいても中の様子もわからず鍵がかかっていれば入ろうとはしないだろう。
「誰もいなかったけれど、一人にはならないこと」
「はい。じゃあ私は……吸血鬼の資料がないか探したいと思います」
優笑が言う。
「では私も……」
「会長! 会長は私と一緒に島の資料を探した方が効率が良いですよね?」
「ルルさん……え、えぇそうね」
絹枝は優笑と一緒に……と言いかけたがルルの提案を聞くことにしたようだった。
「私はもちろん優笑ちゃんと一緒~スズメちゃんも一緒に行こう」
「うん」
郷土資料は一階と書いてあるので絹枝とルルは一階で島の情報を探す事になった。
とりあえず優笑達は二階の鍵のかかった部屋を見に行くことにする。
「……あ、私トイレ」
スズメが優笑と優楽に言う。
「一緒に行こうか?」
「ううん、一階だしすぐ近くに会長達いるし、大丈夫。すぐ行くから」
「……わかった。何かあれば叫んでね」
双子は階段を登っていく。
スズメは一階のトイレへ……。
すると、なにやら会話が聞こえてきた。
絹枝とルルだろう。
「何を言うの……」
戸惑う絹枝の声。
スズメは足音を立てぬように二人の声が聞こえる場所まで移動した。
本棚の影に座る。
「会長、こんなのやっぱり人数が多すぎますよ」
「そんな……ルルさんも、納得して皆で行動することにしたんでしょう」
二人の距離は近い。
「だって、あの場で反対すれば三人に殺されていたかもしれないし……会長が突然声をかけるから……」
「……それは、私も突然に三人を小屋に入れて申し訳なかったけど……」
「どういう状況か、わかってますよね? 最後の一人になるまで殺し合いをしなきゃいけないんですよ」
「わかっているわ、でもそれなら貴女と私だって同じ事……」
「違います……違います! 私とあの子達は全然違う。私の気持ち知っているじゃないですか」
近かった距離をルルはもっと詰め寄る。
「ル……ルルさん……」
「ルルって呼んでください、私は生徒会長のためならなんでもしますから」
「そんなこと……」
「ずっと、ずっと好きだってお伝えしているのに……会長があの子を見る目がなんだかイヤなんです」
ぎゅうっとルルは絹枝の手を両手で握りしめた。
「あの子? ……誰?」
「優笑さん……あの子は、なんだか……イヤ……お願い会長、私だけを見てください……愛してます、会長……」
「ルル……んっ……」
そう言うとルルは自分より背の高い絹枝の顔を両手で引き寄せて口付けた。
ルルの一方的な情熱的なキス。
しかし絹枝も突き飛ばしたりはしない……。
二人の行為をしばし見続け、スズメはそっとその場を去る。
二階にスズメが戻ると、二人は鍵を探しているようだった。
「鍵……?」
「うん。やっぱり鍵のかかった部屋が怪しいなと思って。関係者以外立ち入り禁止って」
「でも、そんなうまく置いてないか……優笑ちゃん、一階にも探しに行く?」
優楽の提案にスズメが少し慌てる。
あの二人はまだキスしているかもしれない……邪魔をされればルルは一層不信感を抱くだろう。
「あ、これでなんとかできないかやってみる?」
スズメがふと思いついたように言った。
「これ……あ!! これね」
スズメと優楽の手には、自分の力で出した血の長針。
「スズメちゃん、針にもできるんだね」
「うん。どっちにもできるよ」
スズメの手のひらで血の針が瞬時にナイフの大きさになる。
「……やっぱり私は武器にできないよお~……」
「優笑ちゃんは優しいんだもん。だからだよ」
優楽は嫌味でもなく、本心でそう言っているように見えた。
「これを鍵穴に差し込んでぐちゃぐちゃしたら、開くかもしれない」
「じゃあ試してみようか」
鍵のかかったドア。
立ち入り禁止と書いてあり金属でできているんだろう重い扉だ。
鍵はドアノブに付いている鍵とその上の扉に付いている二つ。
一体何を守っている扉なのか……。
「じゃあ私はドアノブやるから、優楽は上やって」
「うん、わかった」
「二人とも、頑張って」
二人は血の長針を鍵穴に差し込んだ。
「シリンダーが一直線になる凹凸を探せばいいはず……」
「そうは言っても……難しい……」
一体どんな感覚なのか、感触があるのか優笑には想像もつかない。
スズメは無造作にガリガリと突っ込み、優楽は慎重に探っているようだった。
「あ、できたかな?」
「え? 優楽すごい」
優楽のスゴ技に優笑は驚く。
「スズメちゃん、そっちもやらせて」
「う、うん。本当にできたの?」
「えっと……なんとなく……感触でね」
そう言うと優楽は二つの鍵を開けてしまった。
ガチャ……と重い扉は確かに開く。
「双子なのに、どうしてこんなに違うんだろう~~」
「優笑ちゃんは、優笑ちゃんだからいいんだよ」
血の長針を出すこともできない優笑に優楽は笑ってドアを開け放つ。
古い本の香りが流れてきた……。
「まず鍵を閉めておきましょう」
あの騒ぎで林から誰か逃げてくるかもしれない。
五人の意見は一致した。
外観からして大きさはさほど広くない。
教室2つ分くらいだろうか。一階は本棚と閲覧席とカウンター。
カウンターの裏には部屋が一つあった。
そしてトイレ。
一つしかない階段を上がり二階まで慎重に見回る。
二階には畳の敷いてある幼児用のコーナーと鍵のかかった部屋があった。
中に人のいる気配はない……。
しかし全員で慎重に見回り、やっと図書館内に五人の他には誰もいない事がわかった。
「はぁ……」
緊張から解かれた五人は一気に脱力した。
見回る際に、絹枝の提案でカーテンはすべて閉じた。
誰か近づいても中の様子もわからず鍵がかかっていれば入ろうとはしないだろう。
「誰もいなかったけれど、一人にはならないこと」
「はい。じゃあ私は……吸血鬼の資料がないか探したいと思います」
優笑が言う。
「では私も……」
「会長! 会長は私と一緒に島の資料を探した方が効率が良いですよね?」
「ルルさん……え、えぇそうね」
絹枝は優笑と一緒に……と言いかけたがルルの提案を聞くことにしたようだった。
「私はもちろん優笑ちゃんと一緒~スズメちゃんも一緒に行こう」
「うん」
郷土資料は一階と書いてあるので絹枝とルルは一階で島の情報を探す事になった。
とりあえず優笑達は二階の鍵のかかった部屋を見に行くことにする。
「……あ、私トイレ」
スズメが優笑と優楽に言う。
「一緒に行こうか?」
「ううん、一階だしすぐ近くに会長達いるし、大丈夫。すぐ行くから」
「……わかった。何かあれば叫んでね」
双子は階段を登っていく。
スズメは一階のトイレへ……。
すると、なにやら会話が聞こえてきた。
絹枝とルルだろう。
「何を言うの……」
戸惑う絹枝の声。
スズメは足音を立てぬように二人の声が聞こえる場所まで移動した。
本棚の影に座る。
「会長、こんなのやっぱり人数が多すぎますよ」
「そんな……ルルさんも、納得して皆で行動することにしたんでしょう」
二人の距離は近い。
「だって、あの場で反対すれば三人に殺されていたかもしれないし……会長が突然声をかけるから……」
「……それは、私も突然に三人を小屋に入れて申し訳なかったけど……」
「どういう状況か、わかってますよね? 最後の一人になるまで殺し合いをしなきゃいけないんですよ」
「わかっているわ、でもそれなら貴女と私だって同じ事……」
「違います……違います! 私とあの子達は全然違う。私の気持ち知っているじゃないですか」
近かった距離をルルはもっと詰め寄る。
「ル……ルルさん……」
「ルルって呼んでください、私は生徒会長のためならなんでもしますから」
「そんなこと……」
「ずっと、ずっと好きだってお伝えしているのに……会長があの子を見る目がなんだかイヤなんです」
ぎゅうっとルルは絹枝の手を両手で握りしめた。
「あの子? ……誰?」
「優笑さん……あの子は、なんだか……イヤ……お願い会長、私だけを見てください……愛してます、会長……」
「ルル……んっ……」
そう言うとルルは自分より背の高い絹枝の顔を両手で引き寄せて口付けた。
ルルの一方的な情熱的なキス。
しかし絹枝も突き飛ばしたりはしない……。
二人の行為をしばし見続け、スズメはそっとその場を去る。
二階にスズメが戻ると、二人は鍵を探しているようだった。
「鍵……?」
「うん。やっぱり鍵のかかった部屋が怪しいなと思って。関係者以外立ち入り禁止って」
「でも、そんなうまく置いてないか……優笑ちゃん、一階にも探しに行く?」
優楽の提案にスズメが少し慌てる。
あの二人はまだキスしているかもしれない……邪魔をされればルルは一層不信感を抱くだろう。
「あ、これでなんとかできないかやってみる?」
スズメがふと思いついたように言った。
「これ……あ!! これね」
スズメと優楽の手には、自分の力で出した血の長針。
「スズメちゃん、針にもできるんだね」
「うん。どっちにもできるよ」
スズメの手のひらで血の針が瞬時にナイフの大きさになる。
「……やっぱり私は武器にできないよお~……」
「優笑ちゃんは優しいんだもん。だからだよ」
優楽は嫌味でもなく、本心でそう言っているように見えた。
「これを鍵穴に差し込んでぐちゃぐちゃしたら、開くかもしれない」
「じゃあ試してみようか」
鍵のかかったドア。
立ち入り禁止と書いてあり金属でできているんだろう重い扉だ。
鍵はドアノブに付いている鍵とその上の扉に付いている二つ。
一体何を守っている扉なのか……。
「じゃあ私はドアノブやるから、優楽は上やって」
「うん、わかった」
「二人とも、頑張って」
二人は血の長針を鍵穴に差し込んだ。
「シリンダーが一直線になる凹凸を探せばいいはず……」
「そうは言っても……難しい……」
一体どんな感覚なのか、感触があるのか優笑には想像もつかない。
スズメは無造作にガリガリと突っ込み、優楽は慎重に探っているようだった。
「あ、できたかな?」
「え? 優楽すごい」
優楽のスゴ技に優笑は驚く。
「スズメちゃん、そっちもやらせて」
「う、うん。本当にできたの?」
「えっと……なんとなく……感触でね」
そう言うと優楽は二つの鍵を開けてしまった。
ガチャ……と重い扉は確かに開く。
「双子なのに、どうしてこんなに違うんだろう~~」
「優笑ちゃんは、優笑ちゃんだからいいんだよ」
血の長針を出すこともできない優笑に優楽は笑ってドアを開け放つ。
古い本の香りが流れてきた……。
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