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デス・ゲーム6日目 終わるバーサーカーの夜
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「優楽ぁああああ!」
首元に噛みついた優楽は優笑の目の前で一気にバーサーカーを喰い殺した。
二人の間でザァアア……と灰になっていくバーサーカー。
呆然とする優笑の手から注射器が落ちて、音を立てて割れた。
「優笑ちゃん!」
優楽はにっこりと笑って、優笑に抱きつこうと手を伸ばした。
しかし優笑はその手を払う。
「なんで……! 殺したの……っ」
「えっ……」
「もう少しで注射できたのにっ……!!」
優笑にも理屈はわかっていた。
バーサーカーへの同情など不要だし、自分は戦えない無力の存在。
文句を言えるはずもない。
それでも自分だけが知っているバーサーカーの心の叫びがどうしても心をえぐって、無念から涙が出る。
ポロポロと涙を流し、優笑は優楽に背を向けた。
「優笑ちゃ……」
【バーサーカー撃破・バーサーカーによる力の増大幅は未知数のため天乃優楽レベル6とする】
全員の脳内にテレパシーが響く。
そして武装した兵士達が優楽の周りを取り囲んだ。
安堵する者、悔しがる者……。
恐ろしい夜が終わった。
検査のために連れて行かれる優楽を見て、拒絶してしまった事を激しく後悔するがもう話もできない。
熱いシャワーを浴びる。
夕飯に優楽はいなかった。
シスター聖奈がお祈りの言葉を捧げる。
目を瞑った彼女達は全員涙を流していた。
バーサーカーに喰われた仲間を思い出しているんだろう……残酷な死に方だった。
いや、残酷な死に方ではなかった少女など一人もいない。
『ゴキゲンヨウ・吸血鬼ノ姫ニナル幼虫達ヨ~今日はバーサーカー狩りお疲れ様でした。勇猛果敢な天乃優楽さんはバーサーカー捕食後の検査の後、豪華ディナーとスパ・エステをご堪能中ですよぉ~もっと綺麗になって吸血鬼姫を目指してもらいましょう』
ケッと真莉愛が夕食の酢豚に箸をぶっ刺す。
もう彼女の手下はいない。
蝶子は適当に食べ散らかしてゲームマスターの話も聞かないようにして爪をいじっていた。
ココアはいつも通りニコニコと美味しそうに酢豚を頬張り中華スープに口をつける。
周りを見渡しているとショウと目が合った。
ショウにもスズメにも優楽に背を向けた事を見られている。
役立たずのくせに……と思われているだろうか、優笑は下を向いた。
残っているのは、優笑、優楽、スズメ、ショウ。
ココア。
真莉愛。
蝶子とグループの二人。
シスター聖奈と信者二人
単独行動らしい二人。
『それでは今日の結果発表~~!! 本日の死亡者バーサーカー内藤華・森下舞子 合計死亡者16人 レベルアップ 鬼頭真莉愛レベル4 天乃優楽レベル6 今日もお疲れサマンサ~明日も元気にホッ食ホッ食~~☆』
あのバーサーカーは内藤華というのか……。
優笑を襲撃した時の顔、バーサーカーになった時の顔を思い出す。
結局、食欲もなくいちごみるくだけを飲んで夕食は終わった。
ゲームマスターがもう話し終えて画面も消えるか、と思ったその時……。
『えっと速報だよぉ~今日のバーサーカー退治の報酬に天乃優楽さんが希望した事……それはぁドカドカドカドカドカドカバァアア~~ン! 明日1日だけ天乃優笑さんを捕食対象から外す事でしたぁ』
「えっ……!?」
『もうみーんな顔見知りだと思うけど、一応、手をあっげて~優笑さぁあああん』
「は……はい」
ゲームマスターに名を呼ばれるおぞましさ。
優笑は恐る恐る手を挙げた。
全員の視線が集まる。
『はぁい。明日1日はこの子殺さないでねぇ~天乃優楽への攻撃は可能です』
「え……」
ゲームマスターからの話は終わり……優楽の事を思い、優笑は動揺したまま部屋へ戻った。
玄関前での待ち伏せは、また禁止だという。
明日はどうしたらいいのだろうか。
自分の意地のせいで明日の計画も話す事もできなかった。
優楽はどんな時でも自分の事を考えてくれているのに……。
喧嘩なんかした事なかったのに……。
心がズキズキと痛む。
優笑は心が沈む思いで一人ベッドで眠った。
首元に噛みついた優楽は優笑の目の前で一気にバーサーカーを喰い殺した。
二人の間でザァアア……と灰になっていくバーサーカー。
呆然とする優笑の手から注射器が落ちて、音を立てて割れた。
「優笑ちゃん!」
優楽はにっこりと笑って、優笑に抱きつこうと手を伸ばした。
しかし優笑はその手を払う。
「なんで……! 殺したの……っ」
「えっ……」
「もう少しで注射できたのにっ……!!」
優笑にも理屈はわかっていた。
バーサーカーへの同情など不要だし、自分は戦えない無力の存在。
文句を言えるはずもない。
それでも自分だけが知っているバーサーカーの心の叫びがどうしても心をえぐって、無念から涙が出る。
ポロポロと涙を流し、優笑は優楽に背を向けた。
「優笑ちゃ……」
【バーサーカー撃破・バーサーカーによる力の増大幅は未知数のため天乃優楽レベル6とする】
全員の脳内にテレパシーが響く。
そして武装した兵士達が優楽の周りを取り囲んだ。
安堵する者、悔しがる者……。
恐ろしい夜が終わった。
検査のために連れて行かれる優楽を見て、拒絶してしまった事を激しく後悔するがもう話もできない。
熱いシャワーを浴びる。
夕飯に優楽はいなかった。
シスター聖奈がお祈りの言葉を捧げる。
目を瞑った彼女達は全員涙を流していた。
バーサーカーに喰われた仲間を思い出しているんだろう……残酷な死に方だった。
いや、残酷な死に方ではなかった少女など一人もいない。
『ゴキゲンヨウ・吸血鬼ノ姫ニナル幼虫達ヨ~今日はバーサーカー狩りお疲れ様でした。勇猛果敢な天乃優楽さんはバーサーカー捕食後の検査の後、豪華ディナーとスパ・エステをご堪能中ですよぉ~もっと綺麗になって吸血鬼姫を目指してもらいましょう』
ケッと真莉愛が夕食の酢豚に箸をぶっ刺す。
もう彼女の手下はいない。
蝶子は適当に食べ散らかしてゲームマスターの話も聞かないようにして爪をいじっていた。
ココアはいつも通りニコニコと美味しそうに酢豚を頬張り中華スープに口をつける。
周りを見渡しているとショウと目が合った。
ショウにもスズメにも優楽に背を向けた事を見られている。
役立たずのくせに……と思われているだろうか、優笑は下を向いた。
残っているのは、優笑、優楽、スズメ、ショウ。
ココア。
真莉愛。
蝶子とグループの二人。
シスター聖奈と信者二人
単独行動らしい二人。
『それでは今日の結果発表~~!! 本日の死亡者バーサーカー内藤華・森下舞子 合計死亡者16人 レベルアップ 鬼頭真莉愛レベル4 天乃優楽レベル6 今日もお疲れサマンサ~明日も元気にホッ食ホッ食~~☆』
あのバーサーカーは内藤華というのか……。
優笑を襲撃した時の顔、バーサーカーになった時の顔を思い出す。
結局、食欲もなくいちごみるくだけを飲んで夕食は終わった。
ゲームマスターがもう話し終えて画面も消えるか、と思ったその時……。
『えっと速報だよぉ~今日のバーサーカー退治の報酬に天乃優楽さんが希望した事……それはぁドカドカドカドカドカドカバァアア~~ン! 明日1日だけ天乃優笑さんを捕食対象から外す事でしたぁ』
「えっ……!?」
『もうみーんな顔見知りだと思うけど、一応、手をあっげて~優笑さぁあああん』
「は……はい」
ゲームマスターに名を呼ばれるおぞましさ。
優笑は恐る恐る手を挙げた。
全員の視線が集まる。
『はぁい。明日1日はこの子殺さないでねぇ~天乃優楽への攻撃は可能です』
「え……」
ゲームマスターからの話は終わり……優楽の事を思い、優笑は動揺したまま部屋へ戻った。
玄関前での待ち伏せは、また禁止だという。
明日はどうしたらいいのだろうか。
自分の意地のせいで明日の計画も話す事もできなかった。
優楽はどんな時でも自分の事を考えてくれているのに……。
喧嘩なんかした事なかったのに……。
心がズキズキと痛む。
優笑は心が沈む思いで一人ベッドで眠った。
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