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デス・ゲーム8日目 朝方・優笑の夢

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 聖奈の話が終わった後、優楽が『あの小屋に』とだけ言った。
 もうそれだけ話す時間しか残っていない。
 ショウの苛立ちが伝わってきた。

『それではおやすみ~幼虫達よ……』

 画面が消えて、片付けを行い猫型配膳ロボットに退室を促される。
 ゾロゾロと部屋に戻った女生徒達。

 優笑はシャワーを浴びて、ドレッサーの前に座る。
 今日も生き延びる事ができた……。
 もう7日も経ったのだ。
 それでも慣れることのできない恐怖。

「ソフィア……」
 
 印刷してもらったソフィアの写真。
 古めかしい写真だが、自分を救ってくれた女性は確かにこの人だ。

 名前を伝えあった事しか思い出せない……。
 
「お願いソフィア教えて……私は貴女と何を話したんだろう……」

 とても大事な手がかりがあるかもしれないのに……。
 聖奈を頼れば、思い出す事ができるのだろうか。
 彼女とも協力して、ゲームマスターに対抗する事ができるのだろうか。

「お前も外に出たいよね」

 いつも部屋で待っていてくれるネズミ。
 窓から逃してあげようとしても出ていかない。

「明日は一緒に小屋に行こうね」

 夢に出てきてくれないかと……優笑はソフィアの写真を抱いて眠った。

 カラスの鳴き声が響いている……。
 優笑は夢のなかにいた。
 
 あの誘拐された小屋でソフィアに抱かれて二人で地面に横になっている。

 血が流れて冷えた身体を後ろからソフィアが抱きしめてくれていた……。

 ぼんやりと天井を眺める。
 
 屋根はところどころ穴の開いたボロボロのトタン屋根。
 誰も来ることのない廃倉庫だった。

 沢山のカラスが空を舞っているのが見える。
 恐ろしかった。
 何羽か優笑とソフィアのまわりにカラスは降りてきた。
 血だらけの姿を見て食べられてしまうのではと『怖い怖い』と泣いた。

 でも、ソフィアは言ったのだ。

『これで見つけてもらえるわ……』と。

 ギャアギャアと鳴く恐ろしいカラス。
 食べられてしまう、と恐怖しかなかった。

『どうやってやるのかって? ……ふふ……それはね……』

 会話の先の言葉が聞こえない。

 そして気付けば一人だった。
 まだ動けない優笑は泣いた。
 泣いているうちに開いた倉庫から沢山の大人が入ってきて優笑は救助されたのだ。

 ソフィアの事は忘れてしまったのにカラスに対する恐怖だけは覚えていた。

「ん……」

 ふと……優笑は目覚める。
 
 誰も来る事のない山奥の廃倉庫。
 捜索はされていただろうが、不自然に集まるカラスが優笑発見につながったのだろう。
 まだ幼い優笑にはソフィアの言葉が理解できなかったのだ。

 あれだけのカラスを集められた……やはりソフィアの力は凄まじい。
 何か方法を教えてもらったようだけど、思い出せない。

「……でも私は役立たず……もっとソフィアと何を話したのか思い出したい……」

 ここで落ち込んでいても仕方がない。
 優笑は制服を着て、食堂へ向かった。

 
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