吸血姫デスゲーム×バトルロワイヤル～突然吸血鬼にされた女生徒３２名が一人になるまで殺し合う……蠱毒な戦い～

デス・ゲーム１１日目 バーサーカー真莉愛！！！

「優笑ちゃん！　逃げて！」

　ネグリジェワンピースだった優楽は太ももまでスカート部分を切り裂く。

「アソぼうぜぇえええ！　双子さんよぉおおおおおおおお！！」

　そして真莉愛が三人に突っ込んでくる前に、優楽は血の刀を構えて真莉愛に斬り込む。

「優楽っ！」

「逃げるぞ天乃！」

「でも！」

「寮内での戦闘は禁止だ！　こんなイレギュラーな事、すぐに対応するだろう！？」

　館内の階段は今すぐ近くにある。
　今のうちに降りなければ崩れてしまうかもしれない。

【バーサーカー出現・バーサーカー出現・今回のイレギュラーな行動は研究所は関与しません】

「え！？」

【夜明けの５時まで・捕食に関して関与しません】

「なに！？　真莉愛の好き勝手にさせるの！？」

　後ろから一緒に階段を降りてきたスズメがテレパシーを聞いて叫ぶ。

【安全に考慮し・寮への火災や建物の崩壊状況の確認のために作業員を派遣します】

「建物を見に来るのに僕達は放置ってことか……」

「酷い……！　じゃあ優楽を助けに行かなきゃ！！」

「あんたに何ができるのさ！」

　スズメの叫びが優笑の胸に突き刺さる。
　一階も崩れている部分がある。
　ここでゴネていては皆が危険だ。
　真莉愛はどんな暴れ方をしたのか……。
　
「まずは寮から離れるぞ！」

　優笑、ショウ、スズメは寮の玄関から飛び出た。
　裏のある非常階段から降りた生徒もいるようだ。

　暗闇のなか寮を見ると、煙が出ている。
　壁をぶち抜いたのか、扉をぶち抜いたのか……。
　電線や水道管を巻き込んだりしたんだろうか。

　真莉愛の叫び声は２階からまだ聞こえてくる。
　優楽が闘っているんだ！

　優笑は玄関から自分の部屋がある方向へ走る。
　ショウもスズメも止めはしなかった。

「さっき殺されたのは誰なんだ！？」

「あの蝶子のグループの一人だったと思います！」

　崩れていない二階の窓からプラプラとぶら下がっている女生徒が見えた。

「あ、ココアちゃん！！」

「ユエ～～」

「鳴宮か！　飛び降りれるか！？　何か受け止めるもの……」

「だいじょ～～うぶ」

　ココアは壁を蹴って近くにあった木の枝を両手で握り、素早く地面に折りたった。
　猫耳パーカーのもこもこパジャマのココアは崩れた寮を見上げる。

「良かったココアちゃん！」
　
「君は猫なのか……」

「ユエ～～誰がバーサーカーになったの？」

「真莉愛だよ」

「マリア……あ。ユラだ」

「えっ」

　どれだけの力なのか、壁が吹っ飛んで部屋が丸見えになっていた。
　ココアが指差した先に、二階で闘う優楽の姿が見える。

「優楽！」

　優楽は優笑の声に気付くと、持っていた何かを噴出させた。
　消火器を真莉愛にぶちまけたのか！？
　優楽は血の武器をロープのように引っ掛けて、すぐに一階に降り立った。

「あいつヤバイ！　とりあえず逃げよう！」

「ぐあぁあああああ！　どこ行ったぁあああああああああああ！！」

　真莉愛の声が聞こえる。
　優楽は優笑の手を引いて、林の中へ逃げ込んだ。
　真っ暗な林の中。

　そして誰も地図端末を持っていなかった。

　だが……。
　
「ぐうぅ……ふふ……誰がどこにいるかぁ……わかるじゃねぇか……ふふバトル・デスモード……いいねぇ」

　バーサーカーモードになっても、半分正気を保っている真莉愛は自分の持っている端末で全員のGPS位置を把握した。

「ソフィアソフィアってうるせぇ頭に響く声……あいつらぶっ殺したら消えるかぁ？」

　獣のようにまた吠えた真莉愛は、二階から飛び降りた。

「はっはっっは！　お前らのくせぇニオイがするぞぉ～～～～～～～！！」