爆発したら、転生してた~元○○の転生記~

鑑定漢

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1章 最初の街まではチュートリアル

街への定住、あるいは再生への始まり

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「はい?もう一度お願いできますか?」

朝一番、街に入り、ギルドで仕事を探していた自分にシャルロット殿の受付席に呼び出され、聞いた言葉が訳が分からなかった。思わず、丁寧語で返したほどである、何故なら……

「はい、王から追加報酬が来ています」

「いや、十分貰った気がするんだが、その報酬が?」

「家です。都合悪くなければすぐにご案内せよとの事です」

家……だからである。もちろん、元茶器と言えど、家その物の価値は知っている。勿論ではあるが事前の調査も欠かしてない。冒険者が中位~最高ランクになって、初めて家が持てるレベルらしい。信用は勿論だが、そのランクに上がるまでの原因が、土地の価格、家の建築代、人の雇用代である。要するに、ものすごく身も蓋も無い事を言ってしまうと、金の問題である。人間の世の中、ホントに世知辛いな……

「それって良いのか?」

「ええ。依頼人からの追加報酬は特に問題ありません」

いや、問題なくても、近くの受付嬢や冒険者が目を剥いて驚いてるんだが?

「すでに報酬で金貨千枚貰ってるんだが?」

「まっっっったく、問題ありません。むしろ、今回の功績を考えれば、まだ、追加報酬があってもおかしくないレベルですよ?」

「なんでさ……」

ホント、なんでだ?自分がしたのは王族二人にギルドマスターに茶を馳走した。ちなみに元手ゼロの状態だぞ?それがなぜ、金貨千枚+家になるんだ?周りの冒険者が酒噴いたり、ギルド嬢が椅子から転がり落ちてるじゃないか。

「それについては、王からのお願いも兼ねてるのが追加報酬で、詳細については家に案内してからせよとマスターに命じられています」

「ふむ……」

冒険者達が椅子からひっくり返ったのは見ない事にしつつ思案する。今までは街の門に近い森で庵を建てて寝ていたが、街に家があるなら便利だろう。なんだかんだで、街の外は多少なりとも警戒しながら寝てしまうし、少しづつ疲れも溜まる。
そう考えると、この報酬は渡りに船であり、ありがたく受け取ると言うのも手だ。元々、報酬の金貨で宿か家を借りるつもりだったのだ。それが少し早くなったと思えばいい……………元手ゼロでの入手だけどな!

「分かった、案内してくれ」

「はい、じゃあ、少しお待ちいただけますか?案内役は私が指名されましたので」

「ああ」

なんだかんだ言っても家が貰えるという事にはワクワクしてしまっている自分が居る。一城の主は本当に悪くないかのだから。



「こちらがチャキ様に与えられる、家でございます」

「ほう?」

案内された家は2階建ての小さめの家。街の大通りに面しており、中々悪くない立地の建物である。1階部分は何も無い、いや、ギルドの受付みたいなカウンター席というやつだったであろうか、それだけがある。だが、ここはギルド関係の建物ではない。となると……

「元は何かの店の建物?」

「はい、元は食堂だったのですが、閉店したまま買い手がつかない建物です」

「ふむ……」

料理に対する情熱も失ってしまった料理人が開いていた店であろう。店だけに1階の広さは十分、茶室作成を使えば、一角で茶を点てる事も可能だろう。うん?

「おい、まさか…」

なんとなく、王の依頼が読めた自分はシャルロット殿に向き直る。いや、確かにこれは都合は良いが、ここまで汲んでくれるとは思ってもいなかったから、驚きしかない。

「はい。ここはチャキ様の家であり、茶道を広める拠点に使つてくれとの由でございます」

つまり、ここに定住しつつ、茶道を広められるという事だ。有り難くはあるが……

「広める拠点……かあ」

「いかがなさいましたか?」

シャルロット殿には悪いが、簡単な話ではない。茶道はあくまでをもてなすための作法だ。懸念するのは、王、つまり一国の主をもてなした報酬故に人が大量に来ることである。店の大きさ的に大量には捌けないし、茶道は基本のんびりやるもので、一つの集団の後、更に複数集団というのは無理がある。

「いや、店を行う形式では自分一人では捌ききれんな……と」

「ああ、なるほど。では、こうしてはいかがでしょうか?」

シャルロット殿が細やかに教えてくれた方法は確かに自分もやれるし、客を待たせる事は無い。まさに目から鱗だった。
だが、そうなると、次の問題が出てくる。

「その形式となると、自分一人では駄目だな。人を雇う必要がある。最低でも二人。一人は金勘定に強い者、一人は管理に強い者が良いが……雇用方法はどんなものがあるのだ?」

「そうですね。一つはギルドでの募集。もう一つは伝手からの募集ですね」

「やはり、そうなるかな?」

「ですね。ですが、今回の場合は後者を断然お薦めいたします」

「何故?」

「まず、確かにギルドで募集は出来ますが、その雇用方法は広範囲。つまり、チャキ様が信頼できない筋からの応募もあるかもしれないからです」

なるほど。今回、かなり悪目立ちしたからな。色んなルートに情報が乗っただろう。あるいは間者等も居るかもしれない。金に手を出されるかもしれない。まして、自分がギルドに登録したのは最近だ。ギルド内での信頼はまだまだ薄いとも言える。

「対し、チャキ様の伝手、つまりはギルドマスターや王様からの募集ならば、その心配はありません。逆に、粗相を働けば、コレです」

首をスパッと切るような動作をシャルロット殿がする。つまりは、物理的に首が飛ぶんだろうな。その上、ギルド最高指導者にこの国の王なればその信頼に傷を付けた等許されるはずがない。

「では、その方式でお願いするとして。次は店の名前……だろうか?」

「そうですね。看板や足りない備品に関してはマスターからギルドが負担するとの通知が来ております」

「ふ~む、しかし、名前、名前かあ……」

そのまま 茶道 でも、違和感ないだろうが、店である以上は別の名前が良い気がする。かと言って簡単に思い浮かぶものではない。むむぅ、元が茶器なだけに、簡単に人間のようにポンと考え付く物ではないぞ。いや、しかし、むむむ………いや、待てよ?

「決めた。店の名前は だ」

縁を繋げる茶道を行う場所。そう、ここから様々な人と繋がりを持つならば、これ以上の名前はないと思う。
もし、自分に表情があるならば、きっと、晴れやかな笑顔をしているだろう。いや、きっとしているに違いない。ここから、少しづつ、この世界の人々とを持つのだから……

                                         第1章 完
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