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第十二章
選択科目の相談
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改めて言うまでもない。とは思うが一応。
この学校は、様々な技術を学べる職業訓練学校なので、レーネの将来に直接役立ちそうな、領主の執務に関する授業など一つもない。
むしろそんな授業があるのは先に通っていた貴族学校の方で。
それとて全ての貴族が領地持ちと言う訳でもなく、また地方によって事情も異なるため、その授業は基本形式の決まった書類の書き方だとか、領主の心得だとかを教えるだけで、後は家で教わるものなのだ。
実際、仕事をしない家族に代わりレーネに仕事を叩き込んだのは影執事だったし。
――つまり。
「候補と言えば、土木系の専門知識か、それとも魔道具作成……それか、商売か。どれを選ぶか迷っています」
「成る程ねぇ……。でも私、お貴族様相手に――それも領地持ちのしかも辺境伯様の進路相談なんてしたこと無いのよ。あって、せいぜい平民落ち寸前の没落男爵家の三男坊とかね。彼には商才があったから、それを専門に学ばせて、懇意の商家に引き取って貰ったのだけど……」
私の場合、商売をいくら学ぼうと、それを将来現場で使うことは――余程の大失態でもして爵位と領地没収なんて事にならない限りはあり得ない。
それは、他の専門科目も同じ事。
「けど、一般庶民の身としては、領主様には一時的に商売で儲けて領地が潤うよりは、もっと長期的に見て、人命や長いスパンでの安定収入の為の灌漑工事を優先して欲しいのよ。その為の予算が要るなら、御用商人でも雇って監督だけしっかりして後は任せちゃえば良いんだから」
……まぁね。今でも私は基本アイディア係だからね。
「分かりました。その方向で選びたいと思います」
個々の工事の発注後は職人さんに任せれば良いから、工法の実技の能力は要らない。
だけど、例えば川一つ治水工事をするなら、計画段階で地質調査やら何やら知識があった方がスムーズに進む。
つまり、そういう事だ。
だから、一応商売や魔道具なんかの授業も選ぶけど、割合的には土木知識6∶その他の知識合わせて4程度に抑える。
「では、僕はその分実技にも力を入れましょうか。特に野菜や畜産の品種改良など研究開発が、やはり僕には一番合っている気がするので」
うん。グレストは元々そっち方面志望だったものね。
「今、チーズで牛乳の需要が高まって、必要とされる牛乳の質も様々あるわ。それぞれに適した牛を繁殖させるとか、そういう研究はとてもありがたいわ」
「――お任せください、お嬢様」
「じゃあ僕は王都での伝もあるし、もう少し商売について学ぼうかな。他国の外交官との取引にも応用出来そうだし」
こうして、自分に必要な知識を選び、身につけていく。
そんな折――私の元に、王宮から便りが届いた。
この学校は、様々な技術を学べる職業訓練学校なので、レーネの将来に直接役立ちそうな、領主の執務に関する授業など一つもない。
むしろそんな授業があるのは先に通っていた貴族学校の方で。
それとて全ての貴族が領地持ちと言う訳でもなく、また地方によって事情も異なるため、その授業は基本形式の決まった書類の書き方だとか、領主の心得だとかを教えるだけで、後は家で教わるものなのだ。
実際、仕事をしない家族に代わりレーネに仕事を叩き込んだのは影執事だったし。
――つまり。
「候補と言えば、土木系の専門知識か、それとも魔道具作成……それか、商売か。どれを選ぶか迷っています」
「成る程ねぇ……。でも私、お貴族様相手に――それも領地持ちのしかも辺境伯様の進路相談なんてしたこと無いのよ。あって、せいぜい平民落ち寸前の没落男爵家の三男坊とかね。彼には商才があったから、それを専門に学ばせて、懇意の商家に引き取って貰ったのだけど……」
私の場合、商売をいくら学ぼうと、それを将来現場で使うことは――余程の大失態でもして爵位と領地没収なんて事にならない限りはあり得ない。
それは、他の専門科目も同じ事。
「けど、一般庶民の身としては、領主様には一時的に商売で儲けて領地が潤うよりは、もっと長期的に見て、人命や長いスパンでの安定収入の為の灌漑工事を優先して欲しいのよ。その為の予算が要るなら、御用商人でも雇って監督だけしっかりして後は任せちゃえば良いんだから」
……まぁね。今でも私は基本アイディア係だからね。
「分かりました。その方向で選びたいと思います」
個々の工事の発注後は職人さんに任せれば良いから、工法の実技の能力は要らない。
だけど、例えば川一つ治水工事をするなら、計画段階で地質調査やら何やら知識があった方がスムーズに進む。
つまり、そういう事だ。
だから、一応商売や魔道具なんかの授業も選ぶけど、割合的には土木知識6∶その他の知識合わせて4程度に抑える。
「では、僕はその分実技にも力を入れましょうか。特に野菜や畜産の品種改良など研究開発が、やはり僕には一番合っている気がするので」
うん。グレストは元々そっち方面志望だったものね。
「今、チーズで牛乳の需要が高まって、必要とされる牛乳の質も様々あるわ。それぞれに適した牛を繁殖させるとか、そういう研究はとてもありがたいわ」
「――お任せください、お嬢様」
「じゃあ僕は王都での伝もあるし、もう少し商売について学ぼうかな。他国の外交官との取引にも応用出来そうだし」
こうして、自分に必要な知識を選び、身につけていく。
そんな折――私の元に、王宮から便りが届いた。
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