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ハーブ園とピザ窯
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ハーブ園、とは言うものの。
「もうちょいおおきなプランター無い?」
『可愛い鉢も欲しいよね?』
ハーブと呼ばれるたぐいの植物は、大概が強い種で、繁殖力も強い物が多い。
有名なのはミントや大葉――あるいは青紫蘇と呼ばれるはーぶたちだろうか?
奴らを露地植えにしてしまった日には、連中を駆逐し切るには重機で土ごと入れ替えないとならない程。
故にミントテロだとか呼ばれる事もあるくらいだから。
だから、このハーブ園も、ハウスに棚を作り、そこにプランターや植木鉢を並べる形のもの。
そして、そのハーブ園と同時進行で作成していたのが……
「ふふふ、出来た。レンガ造りの本格ピザ窯!」
この世界にピザなんて料理は存在しないのだけど、ここではもう自重する意味ないしね。
「ハーブ……バジルそだったら早速……」
チーズ小屋も完成したし。
「一応そこそこ設備は整ったんだし、そろそろダラダラとスローライフっぽくのんびり過ごして良い頃合いじゃない?」
いや、まぁ服作りをせっつく“私”も居るには居るけど……
「……お嬢様方が沢山いらっしゃるのでついつい失念しがちですが、この土地に今居るのは二人きりですからね。これだけあれば暫く生きるのに困りはしないでしょう」
よしっ、お墨付きも貰ったし、当分はルーティン化した農作業やら以外はダラダラ過ごすっ!
錬金担当と服飾担当に作らせた、人をダメにするクッションの上でゴロゴロ……
そして長らく積ん読にしてた娯楽小説の数々に手を付ける。
……この世界にゲームなんて無いから、積みゲーは存在しない。
テレビも無いから録画したままほっぽらかしの番組もDVDもない。
あれ……?
優雅で怠惰な生活に欠かせない娯楽が本しかないとな……?
まだ冊数はあるから、しばらくは問題ないとは思うけど……
「次は何か娯楽になるもの考えた方が良さそうだなぁ」
何て、その時の私は呑気にもそうかんがえていた。
近い未来、夢のスローライフを打ち砕く者がやって来るとも知らず、私は久々の読書に没頭していたのだ。
その、はるか先。
こんな砂漠の端っこではなく、広い砂漠のまん真ん中で。
惰眠を貪っていたソレが目を覚ます。
「何だ。我がテリトリーに羽虫が紛れ込んだか?」
この厳しい環境をものともしないソレは、ゆっくりと寝床となっていた砂の中から起き上がる。
「はて、今回はどれ程眠っていたのか……。たまにはテリトリーの掃除もせねば、惰眠を貪るにも邪魔が入るのは好かんからな」
「もうちょいおおきなプランター無い?」
『可愛い鉢も欲しいよね?』
ハーブと呼ばれるたぐいの植物は、大概が強い種で、繁殖力も強い物が多い。
有名なのはミントや大葉――あるいは青紫蘇と呼ばれるはーぶたちだろうか?
奴らを露地植えにしてしまった日には、連中を駆逐し切るには重機で土ごと入れ替えないとならない程。
故にミントテロだとか呼ばれる事もあるくらいだから。
だから、このハーブ園も、ハウスに棚を作り、そこにプランターや植木鉢を並べる形のもの。
そして、そのハーブ園と同時進行で作成していたのが……
「ふふふ、出来た。レンガ造りの本格ピザ窯!」
この世界にピザなんて料理は存在しないのだけど、ここではもう自重する意味ないしね。
「ハーブ……バジルそだったら早速……」
チーズ小屋も完成したし。
「一応そこそこ設備は整ったんだし、そろそろダラダラとスローライフっぽくのんびり過ごして良い頃合いじゃない?」
いや、まぁ服作りをせっつく“私”も居るには居るけど……
「……お嬢様方が沢山いらっしゃるのでついつい失念しがちですが、この土地に今居るのは二人きりですからね。これだけあれば暫く生きるのに困りはしないでしょう」
よしっ、お墨付きも貰ったし、当分はルーティン化した農作業やら以外はダラダラ過ごすっ!
錬金担当と服飾担当に作らせた、人をダメにするクッションの上でゴロゴロ……
そして長らく積ん読にしてた娯楽小説の数々に手を付ける。
……この世界にゲームなんて無いから、積みゲーは存在しない。
テレビも無いから録画したままほっぽらかしの番組もDVDもない。
あれ……?
優雅で怠惰な生活に欠かせない娯楽が本しかないとな……?
まだ冊数はあるから、しばらくは問題ないとは思うけど……
「次は何か娯楽になるもの考えた方が良さそうだなぁ」
何て、その時の私は呑気にもそうかんがえていた。
近い未来、夢のスローライフを打ち砕く者がやって来るとも知らず、私は久々の読書に没頭していたのだ。
その、はるか先。
こんな砂漠の端っこではなく、広い砂漠のまん真ん中で。
惰眠を貪っていたソレが目を覚ます。
「何だ。我がテリトリーに羽虫が紛れ込んだか?」
この厳しい環境をものともしないソレは、ゆっくりと寝床となっていた砂の中から起き上がる。
「はて、今回はどれ程眠っていたのか……。たまにはテリトリーの掃除もせねば、惰眠を貪るにも邪魔が入るのは好かんからな」
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