唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

文字の大きさ
7 / 370
スキル「クリエイト」を獲得しました。

スキルを獲得しました。

しおりを挟む
    黙々と作業を続ける若い神官は、まずは台座らしい机を組み立て黒いクロスをかけ、恭しく取り出した物をその上に置いた……の、だけど。

    え、あれってアレじゃね?    電子マネーの支払いとかでお馴染みのカードリーダーだよね、あれ。

     台の支度が住むと、今度は別の若い神官が、移動用に下にキャスターを取り付けたテラスの掃き出し窓サイズの分厚いガラス板の様なものを持ってきた。
    それを台の横に設置すると、二人の神官は、老神官に軽い礼をして部屋を立ち去った。

    「では、まず本日十八歳となったもの達よ、前に出るのじゃ」
    その言葉に男が二人、女が一人前に出た。
    「さあ、神眼石を神具にかざしなさい」

    そう促され、最初に〝神具〟に近付いたのは、ガタイの良いお兄さん。
    筋肉質で強面な人、手のひらだけ皮膚の色が変わっている。
    他に怪我らしい怪我もないし、多分戦闘職ではなく何かのガテン系職人さんだろう。
    彼は手の甲に〝神眼石〟が埋め込まれた左手を〝神具〟にかざす。

    ちなみにお父様のは左、お母様のは右の手の甲に〝神眼石〟が埋まっている。あれはその当人の利き手と逆の手の甲に納まるモノらしいから、右利きの私は左の手の甲にそれを装備することになるんだろう。

    ガテン系の兄さんが〝神具〟にそれをかざすと、カードリーダーが、チン、と呼び鈴の様な高い音を鳴らし、わずかに青白く光る――と同時に隣のガラス板になにやら浮かび上がった。

---------------------------------------
氏名    ガイ
年齢    18
職業    飴細工職人
所持スキル
【料理    Lv.2】
【細工    Lv.4】
【熱耐性    Lv.8】
【状態異常耐性(火傷)    Lv.10】
【ステータス補正(腕力)    Lv.6】
【ステータス補正(器用)    Lv.2】
【初級魔術(火属性)】
ステータス
腕力    C+
体力    C
精神    D
知力    E
敏捷    E
器用    B
---------------------------------------

    浮かび上がったそれは、おそらくこのガイというお兄さんのステータス。
    にしても職人は職人でも飴細工職人だったのかこの人……。
    いやまあ、仕上げこそ繊細さを要求されるけど、その他大半は力仕事と聞いた事があるけど……あー、うん、人を見かけで判断しちゃいけないよね。

    あ、老神官がステータスが浮かび上がった板に手を当てた。
    その手には一枚の紙。
    フッといっそう光が強くなった瞬間、表示されていた文字列が老神官の持つ紙に吸い込まれた。
    彼はその紙を、私達をここまで案内してきた女性に手渡す。
    彼女は小脇に抱えていた分厚い書物を開き、そこに何やらさらさらと書き付けた。

    「ああして正式な原本は教会で保管して、教会の責任で複写したものを二枚、本人預かりのものと国に提出するものを渡してくれる。必要があれば、別にお金は必要だけど、複写版ならいつでも再発行して貰えるんだよ」

    続けて同じ作業を二回済ませた次は、老神官が再び声をあげ、十五歳の子達を前に出させ、やはり同じ様にそのステータスを暴いていく。
    そうして鑑定式が済んだものから静かに退席し、やがてホールには私達三人とその保護者だけが残された。

    「それでは改めて、今日のこの日よりその生を我らが神々に認められし子らよ。その身の証であり神様の恩恵の象徴たる〝神眼石〟を授けよう。さあ、目を閉じ神に祈るのじゃ。両手を前に差し出して……」
    神に祈る……か。
    少なくとも魔法系スキルは欲しいから、メインの神様には一通り祈っておこうかな。
    あとは出来れば運動神経の出来を良い方に補正出来るスキルがあれば良い。
    他にも色々と興味のあるスキルはあるけど、こんな初っぱなからあんまり欲張ると逆にひんしゅくを買ってしまいそうだしね。

   「よろしい。では皆の者、目を開けるが良い」

     へ!?
     え、もう終わり?    痛くも痒くもなければ、何も感じなかったけど!?

    半信半疑だったけど、見れば確かに私の左手の甲には、半透明の水色をした楕円形の球体が埋まっている。
    そっと右手で触れてみるとひんやり冷たいけくて、ツルツルに磨かれた硝子石を触っているみたい。

    「その石は、そなたらの生涯に渡り神々の恩恵に触れ、その身の証となり、力己がを示す指標。日々神々への感謝を忘れず精進せよ」
    私と同じ様に石に興味津々の子供達に、老神官がもったいぶって声をかけるが、その言い回しが小難しく、私以外の子供達は揃って自分の両親に助けを求めた。

    「さあ、では早速そなたらの情報を登録しよう。先に年長の者らがしていた様に、〝神具〟にその手の〝神眼石〟をかざすのじゃ」
     他の二人はまだ、先の神官様の言葉の意味を聞くのに必死で、彼らの片親はその解説に手一杯。
    手の空いたもう片方も、教会の入り口でしていたようにえらく恐縮した様子でペコペコ頭を下げている。
    それなら、と、私はひょいとそれに手をかざす。
    既に何度も聞いた効果音と共に、板に私のステータスが表示された。

-------------------------
氏名    アンリ=カーライル
年齢    3
職種    ー未選択ー
所持スキル
【クリエイト    Lv.1】
ステータス
腕力    D
体力    C
精神    C
知力    B 
敏捷    C
器用    S
-------------------------

    それが表示された途端、これまでもったいぶった言い回しを好みながらも、基本的には淡々と日々のルーチンワークをこなしていた老神官が息を飲んだのが聞こえた。

    「こ、これは……ユニークスキルか?    クリエイト……?    フム、見た事のないスキルじゃが、言葉の雰囲気からしてモノ作りに適したスキルであると思うが……」
    「おお、アンリ凄いぞ!   初めての鑑定式でS判定が出るなんて滅多に無いんだぞ?    知力も高いようだし……ああ、やっぱり何かの職人か研究職に向いていそうだね」
    「ええ、こう見ると腕力が劣って見えるけれど、それも年相応を思えばむしろ高い方よ。後は貴女の頑張り次第でステータスは変わってくるわ。将来何をしたいのか、どうなりたいか良く考えて頑張りなさいね」
    「はい、お父様、お母様。……ところで神官様がおっしゃった〝ユニークスキル〟って何ですか?」
    「ああ、ユニークスキルって言うのは滅多になくて情報が少なく、その効果の程が知られていないスキルの事だよ。教会では世界中で毎日のように大勢の人のスキルを鑑定してその記録を保管しているから、大抵のスキルの情報を持っている。新しく得たスキルがどういうものか知りたいときは、午後の一般公開の時間に教会の一般書庫にくれば調べられる様になっているよ」
    なるほど、その膨大な情報から漏れた希少スキルと言う事か。
    うーん、魔法系統のスキルが欲しかったんだけど……。
     家へ帰って練習したらスキルゲットできるかな?

     私はこうして初めての鑑定式を終え、迎えに来た馬車に乗って、午後のパーティーの予定をこなすべく屋敷に戻ったのだった。
しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

処理中です...