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私の従者が可愛すぎる。
お父様と交渉します。
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「お父様、私がレイフレッドを従者として迎えることをご了承下さい」
ギルドから帰った時には既に辺りは暗く、お祖父様も一緒に夕食を食べ、まずは当たり障りのない今週一週間のあれこれを雑談程度に話し、お祖父様がお帰りになった後、お父様に改めて話を切り出した。
「彼は吸血鬼で孤児です。一般的にはとても難しい立場であることは理解しています。それでも私には彼が必要なのです」
レイフレッド少年は今回は職人ギルドのプログラムに参加していたけれど、剣の稽古をしているとも言っていた。
いずれ異国への旅を考えているなら、冒険者になる事も考えているだろう。
「何かと言う時、護衛として一々大人の冒険者や傭兵を雇うのは大袈裟でしょう?」
お貴族様はどこへ行くにも護衛として私兵を連れ歩く。
特に政略結婚の駒となるお嬢様は傷など作れば大事だしね。
平民の場合、年頃の娘さんが顔に一生モノの傷なんて場合を除けば、多少の怪我など日常茶飯事。
金目の物を運ぶとか、町から町へ街道を移動するとかの必要のある時に冒険者や傭兵を雇う。
「彼に剣術や魔術を教えれば従者兼護衛として側に置けます。……何より……私の立場であまり沢山異性の友人を作るのは好ましくないのでしょうが、だからと言ってあの婚約者の為に男友達の一人も作らないなんて事はしたくありません!」
護衛兼従者と見せかけた友人として。
「私には彼が必要なのです。共に学ぶ仲間として、従者として。屋敷で受け入れて下さるなら、給料は私が自分で稼いで払うのでも構いません。……広場で露店を出すのも面白そうですし」
「だが、彼があそこまで厭われる理由は魔族の中でも人の血を啜る吸血鬼だからだ。アンリ、君は彼の食事についてはどう考えている?」
「それも問題ありません。私はこの一週間毎日彼に血を分けていましたけど、この通り困った事は何もありませんでしたもの」
「そうかい? 確かに普段はそれで良いかもしれない。でもアンリが風邪を引いて熱を出したとする。その時はどうするつもりだい? 何かの理由で貧血を起こした時は?」
「……彼はずっと人の血を飲んでいませんでした。獣の血で誤魔化していたと。……本には人の血を長く飲まなければ正気を失い、餓えを満たすまで血を吸ってしまうのだとありました。でも、毎日ある程度の量を補給していれば、数日程度血が飲めなくても問題無いのだとも」
それでもどうしようもない事態が起きたなら?
「そんな事になる前に、屋敷の者達には彼への認識を改めて貰えるよう誠意努力致しますわ。緊急時の献血者程度問題無く引き受けて貰える様に」
「そうか。アンリがそこまで考えているなら良いだろう。我が屋敷で使用人として働く事を許そう。ただし、私が許すのは使用人寮の使用と、お仕着せなど他の使用人と同様の支給品の受け取りのみだ。私服や食事の世話はアンリが責任もって面倒を見る事が条件だ」
ウチの使用人寮は基本家族寮なので、一部屋ごとに水回り一式が取り付けられていて、共用の食堂は無い。
ランチは一応賄いが出るけど、朝と夕飯は自分で買うなり料理する必要がある。
「分かりました。ではお父様、お裁縫の道具と糸や布等の素材を扱うお店を紹介していただけませんか?」
「良いけど、初期費用はどうするつもりだい? 露店を出すにも商業ギルドの許可が必要だし、それにもお金が要るよ?」
…………。
しまった。つい前世の感覚で考えてたよ。
前世ではお小遣いという月々の収入が必ずあったから、最低限の材料費とネットショップなどの利用料やら手数料位は賄えていたから、すっかり頭からすっぽ抜けてた!
ここまで必死に考えて理論武装したのに話の最後の最後、事の最初でつまずくなんて……!
こうなると頭を抱えるしかない。
「アンリ、君は僕の娘――つまりカーライル商会の娘だ。それがお遊びの露店とは言えあまりにも稚拙なものでは困る」
お遊び……。
カチンと来る言葉だけど、前世でも趣味の範囲は越えていなかった。
プロではない以上、プロから見てお遊びと言われるは仕方ない部分はあった思う。
「報告として昨日までの話は聞いているが、私はまだ現物は見ていない。一つ、売り物を作って見せに来なさい。私が売り物として認められる物なら、お前に一人相談役をつけてやろう」
お父様としての顔ではなく「カーライル商会会頭」としての厳しい表情になる。
「ただし、売り物に足りないと判断した時は、材料費分を返して貰うまでおやつは無しだ」
……不合格の代償がおやつ抜きで済むのは私が三歳児だからだよね。一応減棒処分的な話なんだろうな。
「商品になるかどうかは別として、才能はあるようだから商会は紹介してあげよう。趣味として楽しむなら、材料費分のお小遣いはあげるよ?」
「お小遣いは勿論嬉しいですけど、今は レイフレッドを迎える方を優先します」
「そうかい? ああそれと、明後日から教養とマナーと魔法の先生がいらっしゃる。時間割についてはお母様に聞きなさい」
「分かりました。では失礼します」
ふふふ、マナーはともかく魔法の授業、待ってました!
……は良いけど。
さぁて何を作ろうかなぁ。
道具と材料さえ揃えば、ハンカチから小物、服、革の財布や鞄だって作った実績がある。
スキル補正まである今なら、絶対作れる。
ただ、お父様のお眼鏡にかなう商品となると話は別だ。
今回の話は「露店で売る商品」を作る必要があるわけで。
体験中にやらかした失敗を繰り返した場合、露店で売るには見合わない作品になる可能性が高い。
例のポプリのように下手に効力付きの物を露店で売れば絶対余計なフラグが立つ。
前世の感覚で言えば、千◯屋や高◯で売るような高級バナナを祭りの的屋でチョコバナナにして売るような。
原価考えたら500円は欲しいけど、本来の相場は高くても300円。
普通に売ったらまず客が寄り付かないだろうし、採算度外視で売れば大赤字。
見る目のある同業からは物言いもつきかねない。
相応の質の物を相応の値段で売って尚客の目を引き、同業も納得させた上でご購入いただいたお客様に満足いただけて、欲を言えば口コミの期待できるもの。
……前世ではここまで必死に考えていなかった。
オーダー以外は作りたいものを作って、原価計算して+αで利益上乗せして出品し、買い手がつくのを待てば良かった。
売れればラッキー、売れなくても自分で使うか欲しがる家族や友人に譲れば良かった。
まさに、お小遣い稼ぎのお遊び。
でも、こうして本気で売れる物を考えて作るのもワクワクして楽しい。
既存の物を有り体に作って、スキル補正込みで素晴らしい物を作るのではなく、新しい物を作る方が良い。
定期的にお客がつくことを狙うなら消耗品。
どこぞの家電メーカーみたくカラーバリエーション揃えて見映え良く。
安価で購入の躊躇いも少なく、一度使ったら手放せない様な……そんな……。
ん、カラーバリエーションを売りにするならお父様に提示するサンプル品、一コだけ見せても肝心の売りポイント伝わんなくね?
企画書とか添付した方がいい?
いっそディスプレイ案含めて考えて……。
「それならやりようもある……かな」
私は早速企画書の作成に取りかかった。
ギルドから帰った時には既に辺りは暗く、お祖父様も一緒に夕食を食べ、まずは当たり障りのない今週一週間のあれこれを雑談程度に話し、お祖父様がお帰りになった後、お父様に改めて話を切り出した。
「彼は吸血鬼で孤児です。一般的にはとても難しい立場であることは理解しています。それでも私には彼が必要なのです」
レイフレッド少年は今回は職人ギルドのプログラムに参加していたけれど、剣の稽古をしているとも言っていた。
いずれ異国への旅を考えているなら、冒険者になる事も考えているだろう。
「何かと言う時、護衛として一々大人の冒険者や傭兵を雇うのは大袈裟でしょう?」
お貴族様はどこへ行くにも護衛として私兵を連れ歩く。
特に政略結婚の駒となるお嬢様は傷など作れば大事だしね。
平民の場合、年頃の娘さんが顔に一生モノの傷なんて場合を除けば、多少の怪我など日常茶飯事。
金目の物を運ぶとか、町から町へ街道を移動するとかの必要のある時に冒険者や傭兵を雇う。
「彼に剣術や魔術を教えれば従者兼護衛として側に置けます。……何より……私の立場であまり沢山異性の友人を作るのは好ましくないのでしょうが、だからと言ってあの婚約者の為に男友達の一人も作らないなんて事はしたくありません!」
護衛兼従者と見せかけた友人として。
「私には彼が必要なのです。共に学ぶ仲間として、従者として。屋敷で受け入れて下さるなら、給料は私が自分で稼いで払うのでも構いません。……広場で露店を出すのも面白そうですし」
「だが、彼があそこまで厭われる理由は魔族の中でも人の血を啜る吸血鬼だからだ。アンリ、君は彼の食事についてはどう考えている?」
「それも問題ありません。私はこの一週間毎日彼に血を分けていましたけど、この通り困った事は何もありませんでしたもの」
「そうかい? 確かに普段はそれで良いかもしれない。でもアンリが風邪を引いて熱を出したとする。その時はどうするつもりだい? 何かの理由で貧血を起こした時は?」
「……彼はずっと人の血を飲んでいませんでした。獣の血で誤魔化していたと。……本には人の血を長く飲まなければ正気を失い、餓えを満たすまで血を吸ってしまうのだとありました。でも、毎日ある程度の量を補給していれば、数日程度血が飲めなくても問題無いのだとも」
それでもどうしようもない事態が起きたなら?
「そんな事になる前に、屋敷の者達には彼への認識を改めて貰えるよう誠意努力致しますわ。緊急時の献血者程度問題無く引き受けて貰える様に」
「そうか。アンリがそこまで考えているなら良いだろう。我が屋敷で使用人として働く事を許そう。ただし、私が許すのは使用人寮の使用と、お仕着せなど他の使用人と同様の支給品の受け取りのみだ。私服や食事の世話はアンリが責任もって面倒を見る事が条件だ」
ウチの使用人寮は基本家族寮なので、一部屋ごとに水回り一式が取り付けられていて、共用の食堂は無い。
ランチは一応賄いが出るけど、朝と夕飯は自分で買うなり料理する必要がある。
「分かりました。ではお父様、お裁縫の道具と糸や布等の素材を扱うお店を紹介していただけませんか?」
「良いけど、初期費用はどうするつもりだい? 露店を出すにも商業ギルドの許可が必要だし、それにもお金が要るよ?」
…………。
しまった。つい前世の感覚で考えてたよ。
前世ではお小遣いという月々の収入が必ずあったから、最低限の材料費とネットショップなどの利用料やら手数料位は賄えていたから、すっかり頭からすっぽ抜けてた!
ここまで必死に考えて理論武装したのに話の最後の最後、事の最初でつまずくなんて……!
こうなると頭を抱えるしかない。
「アンリ、君は僕の娘――つまりカーライル商会の娘だ。それがお遊びの露店とは言えあまりにも稚拙なものでは困る」
お遊び……。
カチンと来る言葉だけど、前世でも趣味の範囲は越えていなかった。
プロではない以上、プロから見てお遊びと言われるは仕方ない部分はあった思う。
「報告として昨日までの話は聞いているが、私はまだ現物は見ていない。一つ、売り物を作って見せに来なさい。私が売り物として認められる物なら、お前に一人相談役をつけてやろう」
お父様としての顔ではなく「カーライル商会会頭」としての厳しい表情になる。
「ただし、売り物に足りないと判断した時は、材料費分を返して貰うまでおやつは無しだ」
……不合格の代償がおやつ抜きで済むのは私が三歳児だからだよね。一応減棒処分的な話なんだろうな。
「商品になるかどうかは別として、才能はあるようだから商会は紹介してあげよう。趣味として楽しむなら、材料費分のお小遣いはあげるよ?」
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「そうかい? ああそれと、明後日から教養とマナーと魔法の先生がいらっしゃる。時間割についてはお母様に聞きなさい」
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ふふふ、マナーはともかく魔法の授業、待ってました!
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道具と材料さえ揃えば、ハンカチから小物、服、革の財布や鞄だって作った実績がある。
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原価考えたら500円は欲しいけど、本来の相場は高くても300円。
普通に売ったらまず客が寄り付かないだろうし、採算度外視で売れば大赤字。
見る目のある同業からは物言いもつきかねない。
相応の質の物を相応の値段で売って尚客の目を引き、同業も納得させた上でご購入いただいたお客様に満足いただけて、欲を言えば口コミの期待できるもの。
……前世ではここまで必死に考えていなかった。
オーダー以外は作りたいものを作って、原価計算して+αで利益上乗せして出品し、買い手がつくのを待てば良かった。
売れればラッキー、売れなくても自分で使うか欲しがる家族や友人に譲れば良かった。
まさに、お小遣い稼ぎのお遊び。
でも、こうして本気で売れる物を考えて作るのもワクワクして楽しい。
既存の物を有り体に作って、スキル補正込みで素晴らしい物を作るのではなく、新しい物を作る方が良い。
定期的にお客がつくことを狙うなら消耗品。
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安価で購入の躊躇いも少なく、一度使ったら手放せない様な……そんな……。
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