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第二章
大商人からの援護射撃入ります。
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「……君、確か伯爵家の従僕になったんだったね。
生まれながらの伯爵様に下々の感覚が分からないのは致し方無い事かもしれない。
であるからこそ、君の様な者を伯爵様につける為に私は推薦状を用意したはずなのだが。
これはどういう事かな?」
店を手伝うわけでもなく、しかし私達の監視と称して近くでお茶を飲んでたアンドリューに、彼は苦言を呈す。
どうやらこのアンドリューという男は、貴族ではなく元はこの人の部下で、伯爵様の下にいわば出向している平民だそう。
一応大商人の部下で、今は伯爵様の使用人なのだから、金持ちは金持ちなんだろうけど、貴族的な特権は何一つ持っていなかったらしい。
領地経営はホワイトな伯爵様も、下々の生活を知らず、貴族感覚で無茶振りされると色々問題になる。
多少の事なら、今回のように誰も箸にも棒にもかからない。
が、頻繁に続けば話は変わってくる。
そんな事で評判を落としたくない伯爵様は、庶民感覚の分かる部下を、アンドリューの様に商人や職人の所から出向させ雇っているらしい。
だから、伯爵様の無茶振りをアンドリューが止めていれば、もっとマトモな契約になったはずだった。
と、大商人の彼――ケルト氏は言う。
「お前は、私と伯爵様の顔に泥を塗る真似をした事、理解しているか?」
上司から怒りのオーラを浴びせられるアンドリュー氏は真っ青になっている。
……ペコペコはしない。ここは日本じゃないからな。
日本じゃ土下座レベルの謝罪をする時じゃなきゃ滅多に頭は下げないんだって。
「今すぐ、伯爵様に謝罪と訂正をしに行きますよ」
ケルト氏に引きずられて行くアンドリュー氏。
……ま、ドンマイ☆
こっちはまだまだ客がキリなく来ていて忙しく、すぐに彼らの事は頭の隅に追いやられる。
「いらっしゃいませ~!」
それにしても、富裕層が多いせいか、皆食べ方が綺麗なんだよね。
貝のカラとかあって、綺麗に食べるの大変そうなのに。
私? うん、行儀悪く貝殻なんかはペイっと手で除けちゃうかな……、あはは。
だから、そこに関して感心しつつ、そろそろ死にそうな腕と足腰を叱咤しつつ、調理し続ける。
すべて売り切り、辺りがようやく静まり返る頃には、私にはもう片付けに回す余力は残されていなかった。
「……うん、お前はよくやったよ。片付けは俺がやるからちょっと横になってろ」
「ひやしたおるもってきたよー!」
冷水で濡らしたタオルを腕や足に貼り付けてないと、手足の筋肉がつりそうになる。
シートの上でだらしなく寝転がり半死体と化す私を、流石にロイスが労ってくれる。
「お陰でギリ赤字回避出来そうだ。……儲けはほぼほぼ経費に消えるけど、な」
それでも赤字回避は私達にとって大きい。
少しだけ、光明が見えた。――その、翌日。
私達はまたしても伯爵邸に呼び出されたのだった。
生まれながらの伯爵様に下々の感覚が分からないのは致し方無い事かもしれない。
であるからこそ、君の様な者を伯爵様につける為に私は推薦状を用意したはずなのだが。
これはどういう事かな?」
店を手伝うわけでもなく、しかし私達の監視と称して近くでお茶を飲んでたアンドリューに、彼は苦言を呈す。
どうやらこのアンドリューという男は、貴族ではなく元はこの人の部下で、伯爵様の下にいわば出向している平民だそう。
一応大商人の部下で、今は伯爵様の使用人なのだから、金持ちは金持ちなんだろうけど、貴族的な特権は何一つ持っていなかったらしい。
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多少の事なら、今回のように誰も箸にも棒にもかからない。
が、頻繁に続けば話は変わってくる。
そんな事で評判を落としたくない伯爵様は、庶民感覚の分かる部下を、アンドリューの様に商人や職人の所から出向させ雇っているらしい。
だから、伯爵様の無茶振りをアンドリューが止めていれば、もっとマトモな契約になったはずだった。
と、大商人の彼――ケルト氏は言う。
「お前は、私と伯爵様の顔に泥を塗る真似をした事、理解しているか?」
上司から怒りのオーラを浴びせられるアンドリュー氏は真っ青になっている。
……ペコペコはしない。ここは日本じゃないからな。
日本じゃ土下座レベルの謝罪をする時じゃなきゃ滅多に頭は下げないんだって。
「今すぐ、伯爵様に謝罪と訂正をしに行きますよ」
ケルト氏に引きずられて行くアンドリュー氏。
……ま、ドンマイ☆
こっちはまだまだ客がキリなく来ていて忙しく、すぐに彼らの事は頭の隅に追いやられる。
「いらっしゃいませ~!」
それにしても、富裕層が多いせいか、皆食べ方が綺麗なんだよね。
貝のカラとかあって、綺麗に食べるの大変そうなのに。
私? うん、行儀悪く貝殻なんかはペイっと手で除けちゃうかな……、あはは。
だから、そこに関して感心しつつ、そろそろ死にそうな腕と足腰を叱咤しつつ、調理し続ける。
すべて売り切り、辺りがようやく静まり返る頃には、私にはもう片付けに回す余力は残されていなかった。
「……うん、お前はよくやったよ。片付けは俺がやるからちょっと横になってろ」
「ひやしたおるもってきたよー!」
冷水で濡らしたタオルを腕や足に貼り付けてないと、手足の筋肉がつりそうになる。
シートの上でだらしなく寝転がり半死体と化す私を、流石にロイスが労ってくれる。
「お陰でギリ赤字回避出来そうだ。……儲けはほぼほぼ経費に消えるけど、な」
それでも赤字回避は私達にとって大きい。
少しだけ、光明が見えた。――その、翌日。
私達はまたしても伯爵邸に呼び出されたのだった。
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