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パーティー結成

1-2 冒険者登録をします。

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    ケント少年に案内されてやって来た冒険者ギルド。
    カウンターに居並ぶ美人なお姉さん達。そこに列をなす冒険者達。――時間帯のせいかとても混んでいる。
    逆に依頼が張り出されているのだろう掲示板は人も掲示物もまばらだ。
    「へぇ、ケント君もこれから冒険者登録するの?」
    「……はい、訳あって故郷には帰れなくなって。なかなか他で働き口も見つからないから。そういう訳アリは大抵冒険者になるんです」
    明らかに重そうで、詳細を尋ねるのを躊躇う様な事をあっけらかんと喋る。
    「俺、『無職』なんです」
    「……?」
     私は思わず首を傾げる。
     私とそう変わらない年の頃に見える少年は、おそらく十代半ば。……外国人が日本人より見た目年上に見えるという通説も合わせれば十代前半って事もありうる。
    日本ではまだまだ学生なのが当たり前な年頃。まだ職に就いてなくても当たり前では?
    しかも既に就職活動した上でこれから冒険者になろうとしているのだから無職ニートとは言わないよね……?
    そんな戸惑いが顔に出てしまったんだろう、ケント君が怪訝な表情になった。
    「そういえばヒカルさんは冒険者ギルドに何をしに?    何か依頼でも?」
    「え、私も冒険者登録しに来たんだけど……」
    「ヒカルさん、『賢者』ならどこでももろ手を挙げて歓迎されるのに?    というかよく冒険者にるなんて認めてもらえたね」
    ……。あ、これアカンやつだ。どうにも話が噛み合わない。多分ここでは当たり前の常識を私が知らなくて、お互いに勘違いが発生してる気がする。
    もしかしてもしかすると……ここでの職業って、○○会社で経理事務してます、とかそういう意味じゃなくて、「魔術師」とか「治療師ヒーラー」みたいな「職業クラス」的な意味だったり……?
    まさかそれ、登録の時に聞かれたりしないだろうな……。聞かれたら詰むよね?
    さーっと血の気が引いていくのを感じながら、パニックでやたら回転の遅くなった頭をフルに使って解決策を考えようとしたけれど。
    「次の方どうぞー!」
    ……こんな時に限って無情にも順番が回ってきてしまう。
    「あの、冒険者登録をお願いします」
    「はい、ではこちらにご記入を……代筆は要りますか?」
    「いいえ、要りません」
     幸い言語翻訳は読み書きにも対応している。
     渡された紙は、幸いにも名前が書ければそれで良いと言うレベルのものだった。
    「……ではこのカードに血判を」
    名刺サイズの紙切れと針を渡される。……使い回しかもしれない針を使うのは怖いので、自分の歯で指の腹を噛んで血を出し紙に押し付ける。
    受付の魔道具にそれら二枚の紙を押し付けると、水晶玉の様なそれに吸い込まれて消え、代わりに紙のカードが出てくる。
    今度のそれはさっきのペラ紙ではなく厚くてしっかりしている。
    「こちらが冒険者の登録カードで、身分証として街の出入りにも必要となるものなので失くさないように。再発行には手数料と時間がかかりますので」
    一緒に各種説明書きの冊子を渡されて、次の人に順番を譲るよう促される。
    「あの、ヒカルさん、ご迷惑でなければ俺とパーティー組んで貰えませんか……?」
    人混みから逃れる様に掲示板の前まで移動した私達。
    「あー、うん。ごめん、返事する前に聞いてもらわなきゃならない話があるの。ここじゃなんだし、取り敢えず今日の寝床を確保しない?」
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