巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。

彩世幻夜

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冒険者ランクを上げましょう

3-4 初バトル!

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    この場で採集できる常時依頼の薬草は、体力回復ポーションの材料と毒消し用の物。
    採集したものは十本を一つに纏めて収納空間へ入れておく。
    それぞれ三十本で一つの依頼が完了する。六十本提出すれば一度に二つ依頼を完了した事になる。
    これで稼いだ経験値は戦闘能力レベルには関係なくとも、冒険者レベルを上げるのには役立つ。
    採集スキルのお陰で雑草と薬草の違いが目立って見えるから、割りと楽に見つかる。
    ――と。
    「待て。採集を一時中断しろ。……来たぞ」
    遠くで狼の吠える声が聞こえる。ニールが戻ってきたらしい。
    「ゴブリンの群れだ。マリー、盾を構えて魔法で牽制しろ。ケントは片っ端から叩き切れ。ヤバそうならザルマにサポートさせるからまずはお前の思う通りに動け。ヒカルは俺の側に居ろ」
    ゴブリンを追ってきたニールを戻してザルマを出したイマルはヒカルのすぐ後ろに立って指示を飛ばす。
    指示を受けたマリーとケントはすぐさま動き出す。
    「氷球アイス・ボール!」
    マリーは背負っていた大きな盾を地面に突き立てるように持ち片膝を地面に付けて魔法を放つ。
     「風刃ウィンド・カッター!」
    氷球でゴブリンの動きを鈍らせ風刃の命中率を上げる。
    そうして怯んだゴブリンに切りかかるケント君。……剣の腕前の良し悪しなんて私には分からない。
    でも、少なくとも無駄な動作もなく次々とゴブリンを切り伏せていく様は――重なるゴブリンの耳障りな悲鳴と呻き声に怯むことなく、そこここから派手に吹き出す血飛沫を恐れることもなく屠っていく強さが……鼻につく鉄錆びの臭いが非日常の中の現実リアルを問答無用に突き付けてくる。
    十数匹程度のゴブリンの群れはほんの数分で全滅させられ、ザルマの出番もなく戦闘が終了した。
   「さあでは証明部位を集めるぞ。ゴブリンの証明部位は片耳だ」
    イマルさんは今度は私にもその作業を指示した。
    採集用のナイフを緑色をしたゴブリンの頭部に当て、そこから皮膚と肉を裂いて切り離すリアルな画と感触と臭い。
    調理実習で鶏肉を切り分けるのとは何か違うリアルさに手が震える。
   相手は魔物なのに。カワイイもふもふでもない、むしろ気持ち悪いゴブリンなのに。ナイフを入れた端から滴ってくる血に腰が引ける。相手は既に事切れていてそれを痛がるでもなし。
    マリーさんもケント君もそんな躊躇いなど一分もなくすいすいと死体から耳だけ綺麗に削ぎ取っていく。
    ……イマルさんは再びザルマとニールを入れ替え、ニールに次の獲物を探すよう指示を出している。
    「次も今と同じ配置で行くぞ。いいな?」
    そして。その日は他にもまた別のゴブリンの群れや角ウサギ、ウルフとの戦闘をこなしたけど、私は結局戦う事なく討伐部位の回収ばかりさせられたのだった。
    
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