巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。

彩世幻夜

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冒険者ランクを上げましょう

3-5 早速ランクアップはしたけれど。

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    「――採った薬草と討伐証明部位を出せ」
    日が落ちる前にイマルさんに促されて戻った町のギルドで、綺麗なお姉さんがいる受付とは別の、ゴツいおっさんが待機しているカウンターに連れていかれる。
    ここで依頼品の数や質を確認し、証明書を貰わないと達成報告ができないんだそうで。
    「ほう、こりゃ大漁じゃの」
    受け付け奥に控える職員が早速作業を始める。
    イマルさんが薬草を予め束ねさせていたのはこの手間を少しでも減らすためだったようで。
   「おお、助かるよ」
    と感謝されていた。
    そして待つこと十数分。ペラ紙に書き付けられた証明書を改めてお姉さんの居る受け付けに渡す。
    「はい、確認しました。ではギルドカードのご提示をお願いします」
    採集系の常時依頼を数十件、常時討伐依頼でウルフに角ウサギにゴブリンとこの辺で狩れる初級モンスターを軒並み屠って来たので、今日だけで私達の冒険者ランクは個人もパーティーも一つ上がった。
    あ、勿論イマルさんは別。勇者パーティーに入れるほどの実力者だもん、昨日冒険者になったばかりのぺーぺーと比べちゃいけない。
    つまり、イマルさん一人なら昨日にも街を出ていけたんだ。

    「これで都合上は街を出られるようになった――が……もう二、三日はここらで常時依頼を受けよう」
     ……まあね、今日の結果はイマルさんのサポートあってのものだしね。ランクはともかく個人の実力的にはまだまだ初心者だ。……私は。
    ケント君もマリーさんも、初級モンスター相手とはいえ普通に戦えてた。
    「……今日は、ゆっくり休め。明日も同じ時間に街を出るからな」
    「では、寝る前に少しだけ魔法のお勉強をしましょうか」
    「なら皆さんは先に戻って下さい。俺はギルドの訓練室で素振りしてから戻りますから」
    あれだけ戦闘をこなした後でまだ練習するのか、と。大して仕事もしてないくせに疲れている自分が情けなくなる。
    ……せめてお勉強は頑張ろうとその晩のうちに幾つか魔法を覚えたのに。
    次の日も、そのまた次の日も、私は皆の戦いぶりを後ろで眺めるばかりで、証明部位の収納以外の仕事を任せてはもらえず。
    ……夜中には、昼間散々見た光景――血や生き物の肉体の一部が飛んでいく様やそれに伴う生々しい音や臭いを夢に見てうなされて。
    生き物の一部を切り取る感覚が手を離れなくて。
    私はもやもやした気持ちのまま、王都を離れ次の町への旅に出発したのだった。
    ……それが、ボール拾いや素振り等を含めた陸トレしかさせてもらえず不満を漏らすテニス部やなんかの新入部員みたいな愚痴でしかないことを自覚しないままに――。
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