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断罪
14-8 断罪 - 王 -
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……勇者ご一行様を除けば残るは王様だけ。
王制国家における王の権力が絶対に近いものである以上、その分責任も重い。
今回の件は全てがこの王国の在り様に端を発するものであり、王のお声掛かりで始まった事業であるなら、この男以上に責任を負うべき者など居るはずがない。
すでに王の意向を受けて動いた者達の大半が処罰を言い渡された。……職も地位も名誉も失い、屈辱的な労働をさせられ、果ては命すらも奪われる者が居るのだ。
当然この男に下される処罰はそれ以上のものとなろう。
天井から降ってくるものを避けられずに頭から被り、背後の炎の熱に汗をかきながらも、それでもまだ折れていない。
……頼むからそろそろ諦めてくれ。イマルにこれ以上を要求されたらたまらないよ! いくら相手の方が極悪非道ったって、これ以上やったら私も鬼畜扱いされるじゃん! ……え、もう手遅れ? ――言うな。既に怒らせたら怖いヒト扱いされる覚悟はしたんだ、これ以上の評価は要らない!
でも、イマルはにこやかにその様を眺めるばかりで一向に何も言わない。……まさか私に自主的に動けという振りじゃないよね?
一瞬背筋がヒヤリとしたけど。
「……まず、王家は解体。当人及び継承権一桁の者は例外なく処刑の上財産没収の上、暫定政府預かりとする」
魔王様を憎々しげに睨んでいるけど、声はあげない。
「ああ。元国王陛下には特別に周知刑も合わせて課してやろう。このヘルナイト王国の隅々までそなたの足で周り、自らその罪を民に周知して回れ。……お前の罪深さ、よくよくその身に刻んでから地獄へ堕ちるが良い」
「フッ、すぐに処刑されないなら好都合。必ずやお前達の手から逃れ再起を図り、お前達にこの屈辱を必ずや返してやろう!」
「ほう、そりゃ楽しみだな。……本当に出来るならやってみるが良い。どうせ計画倒れになるのが関の山だろ。むしろいつまで夢を見ていられるか見ものだな。賭けでもするか、おい?」
くつくつと魔王様が笑う。
「まあいい。では衛兵、こやつらは一旦牢屋へお連れしておけ。……さあ、最後はお前らだ、『勇者』殿。そして『聖女』殿。さあ、前に立って並べ」
魔王様が命じる。
……最後の断罪が、始まる。
王制国家における王の権力が絶対に近いものである以上、その分責任も重い。
今回の件は全てがこの王国の在り様に端を発するものであり、王のお声掛かりで始まった事業であるなら、この男以上に責任を負うべき者など居るはずがない。
すでに王の意向を受けて動いた者達の大半が処罰を言い渡された。……職も地位も名誉も失い、屈辱的な労働をさせられ、果ては命すらも奪われる者が居るのだ。
当然この男に下される処罰はそれ以上のものとなろう。
天井から降ってくるものを避けられずに頭から被り、背後の炎の熱に汗をかきながらも、それでもまだ折れていない。
……頼むからそろそろ諦めてくれ。イマルにこれ以上を要求されたらたまらないよ! いくら相手の方が極悪非道ったって、これ以上やったら私も鬼畜扱いされるじゃん! ……え、もう手遅れ? ――言うな。既に怒らせたら怖いヒト扱いされる覚悟はしたんだ、これ以上の評価は要らない!
でも、イマルはにこやかにその様を眺めるばかりで一向に何も言わない。……まさか私に自主的に動けという振りじゃないよね?
一瞬背筋がヒヤリとしたけど。
「……まず、王家は解体。当人及び継承権一桁の者は例外なく処刑の上財産没収の上、暫定政府預かりとする」
魔王様を憎々しげに睨んでいるけど、声はあげない。
「ああ。元国王陛下には特別に周知刑も合わせて課してやろう。このヘルナイト王国の隅々までそなたの足で周り、自らその罪を民に周知して回れ。……お前の罪深さ、よくよくその身に刻んでから地獄へ堕ちるが良い」
「フッ、すぐに処刑されないなら好都合。必ずやお前達の手から逃れ再起を図り、お前達にこの屈辱を必ずや返してやろう!」
「ほう、そりゃ楽しみだな。……本当に出来るならやってみるが良い。どうせ計画倒れになるのが関の山だろ。むしろいつまで夢を見ていられるか見ものだな。賭けでもするか、おい?」
くつくつと魔王様が笑う。
「まあいい。では衛兵、こやつらは一旦牢屋へお連れしておけ。……さあ、最後はお前らだ、『勇者』殿。そして『聖女』殿。さあ、前に立って並べ」
魔王様が命じる。
……最後の断罪が、始まる。
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