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第六章 闇の国の王妃教育
城下町デート
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楽しかった空の度は、あっという間に終わりを告げた。
城下町の門の外に降り立った陛下は、すぐに元の人の姿に戻った。
「……そう言えば。竜の格好のときは服は?」
「ああ、竜人族七不思議の一つだな。多分種族固有魔法か、スキルだろうと言われているが、詳しくは未だナゾだ。自分でも分からん」
へぇ。
感心していると、ひょいと手を繋がれて、門へと近づく。
門の警備をしている兵は、すぐに陛下に敬礼をして見せた。
「ああ、いい。忍びで遊びに来ただけだ。だが、彼女については覚えて貰おう。近い将来私の番となる娘だ。何かあれば手助けをしてやって欲しい」
「はっ!」
「何処か行きたいところはあるか?」
「いえ、初めて来る街なので不案内で……。でも、市場とか見てみたいです」
「そうか、では市場と後は私のおすすめの店を紹介しても良いだろうか?」
「はい! お願いします」
まず連れて行かれたのは広場に店を構える屋台。
売っているのは腸詰めの串焼きにチーズとケチャップをかけたもの。
「これが実は好物でな」
と、一本私にも買ってくれた。
「いただきます」
チーズが熱いが、はむはむふーふーと冷ましつつ、口を熱さに慣らしつつ齧れば、パリッと良い食感の後、ジューシーな肉汁が口の中にあふれる。と同時にひき肉に混ぜられたハーブの香りがチーズとケチャップに良く合って美味しい。
陛下は三本も買って、既に一本食べ終わっていた。
「よし、次に行くぞ!」
と今度は飲み物の屋台へ。その次は甘いもの。
無骨な石造りの建物が多い町並みだけど、街は賑わっている。
屋台でお腹が膨れると、今度は本屋に入る。
少し埃っぽい臭いのする店には、美しい装丁の本がズラリと並んでいた。
「うわぁ……」
闇の国の植物図鑑に動物図鑑。全集もあるけど、この家畜についての本とか、作物図鑑は気になる……。
「欲しいのか?」
「はい! けど、結構良いお値段するのでお小遣い貯めてまた来ます」
「買ってやろうか?」
「いいえ。これは屋台の串焼きを奢って貰うのとは明らかに違いますから、ダメです」
「そうか……」
あれ、陛下にがちょっとシュンとしちゃったよ。
「何でもかんでも陛下に甘えるのは王妃としてはどうかと。私は国庫を脅かす悪妻にはなりたくありませんから。けど、美味しいものなら喜んで奢られますよ?」
「そうか!」
あ、陛下の機嫌が復活した。
その後、お茶して市場を覗いて。
私は楽しい一日を過ごしたのだった。
あ、帰りは陛下の背中に乗せてもらいました。
手の中と違って風が結構あってちょっと怖かったので、次からは手の中希望で行きたいと思います。
城下町の門の外に降り立った陛下は、すぐに元の人の姿に戻った。
「……そう言えば。竜の格好のときは服は?」
「ああ、竜人族七不思議の一つだな。多分種族固有魔法か、スキルだろうと言われているが、詳しくは未だナゾだ。自分でも分からん」
へぇ。
感心していると、ひょいと手を繋がれて、門へと近づく。
門の警備をしている兵は、すぐに陛下に敬礼をして見せた。
「ああ、いい。忍びで遊びに来ただけだ。だが、彼女については覚えて貰おう。近い将来私の番となる娘だ。何かあれば手助けをしてやって欲しい」
「はっ!」
「何処か行きたいところはあるか?」
「いえ、初めて来る街なので不案内で……。でも、市場とか見てみたいです」
「そうか、では市場と後は私のおすすめの店を紹介しても良いだろうか?」
「はい! お願いします」
まず連れて行かれたのは広場に店を構える屋台。
売っているのは腸詰めの串焼きにチーズとケチャップをかけたもの。
「これが実は好物でな」
と、一本私にも買ってくれた。
「いただきます」
チーズが熱いが、はむはむふーふーと冷ましつつ、口を熱さに慣らしつつ齧れば、パリッと良い食感の後、ジューシーな肉汁が口の中にあふれる。と同時にひき肉に混ぜられたハーブの香りがチーズとケチャップに良く合って美味しい。
陛下は三本も買って、既に一本食べ終わっていた。
「よし、次に行くぞ!」
と今度は飲み物の屋台へ。その次は甘いもの。
無骨な石造りの建物が多い町並みだけど、街は賑わっている。
屋台でお腹が膨れると、今度は本屋に入る。
少し埃っぽい臭いのする店には、美しい装丁の本がズラリと並んでいた。
「うわぁ……」
闇の国の植物図鑑に動物図鑑。全集もあるけど、この家畜についての本とか、作物図鑑は気になる……。
「欲しいのか?」
「はい! けど、結構良いお値段するのでお小遣い貯めてまた来ます」
「買ってやろうか?」
「いいえ。これは屋台の串焼きを奢って貰うのとは明らかに違いますから、ダメです」
「そうか……」
あれ、陛下にがちょっとシュンとしちゃったよ。
「何でもかんでも陛下に甘えるのは王妃としてはどうかと。私は国庫を脅かす悪妻にはなりたくありませんから。けど、美味しいものなら喜んで奢られますよ?」
「そうか!」
あ、陛下の機嫌が復活した。
その後、お茶して市場を覗いて。
私は楽しい一日を過ごしたのだった。
あ、帰りは陛下の背中に乗せてもらいました。
手の中と違って風が結構あってちょっと怖かったので、次からは手の中希望で行きたいと思います。
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