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1章 農園始めます!

第11話 まずは養鶏から始めましょう。

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 小麦はともかく、米は植えてから収穫までに日本の暦で半年かかる。
 日々の作業ポイントは入るが、収穫はまだまだ先。

 小屋の後ろに建てた田んぼと小麦畑。
 それからコソッとアグリ様の小屋の隣に果樹園を作ってみた。

 桃栗三年柿八年とまではいかないけど、果樹が育ち身をつけるには一年近くかかるらしいから、早めに植えておく。

 これで小屋の四方を田畑に囲まれる事となったわけで。

 「うん、農園らしくなってきたね」
 アグリ様も、度々小屋の外に日向ぼっこに出て来るようになっていた。

 そして、農園を始めて九十日がが経った今日。
 「ついに……、ついにこの日が……!」

 ポイント数を確認し、ホログラム画面をポチリと押す。
 すると……

 「おお、これが鶏小屋!」
 鶏5羽が飼えるサイズの小屋が、牧草地挟んで小屋の反対側に現れる。
 赤い三角屋根と白い壁に、出入り口の上にデフォルメされた鶏の絵。

 そして肝心の……

 「うーん、雌鶏4羽に雄鶏1羽でいっか、取り敢えず」

 卵をかえして雛を育て鶏を増やすなら、孵卵器やら何やらまた別に揃えなきゃいけないのだけど、取り敢えず……、ね。
 そしてこれがリアルな田舎なら、鶏を飼うと出て来る猫、やらたぬきやらの野生動物問題があるんだろうけど、ここにはそんなモノは居ないので、安心して放し飼いにできる。

 そう思い、再びポチッとな……と……ん?

 「なにこれ、カワイイ……」

 皆様ご存知だろうか。
 リアルな雄鶏の恐怖を。

 イラストでは可愛らしく描かれる鶏も、リアルに可愛い黄色いひよこのうちは良いけれど、立派に大人になった雄鶏は、鋭いくちばしと鋭いかぎ爪を手に入れるのだ。
 舐めてかかると痛い目を見るし、ヤンチャな子なら、正直動物園の猛獣用の檻で管理したくなる。

 ……そう、私の知ってる雄鶏はそういうものだった。
 え、なんで知ってるかって?
 小学校に飼育小屋があって、そこでうさぎと一緒に飼ってたんだよ。
 ウサギも可愛いけど足ダンするし、穴掘るし……飼育当番のときはそれなりに大変だったけど、それも、雄鶏に比べたらカワイイものだったよね……。

 そう、そのはずなんだけど。

 その丸っとした体躯につぶらな瞳……。
 普通にカワイイ。
 え、なんでデフォルメ鶏がリアルに居るの?
 これも神様の鶏だからなの!?

 ……まぁ、世話が楽ならそれに越した事はない。

 それにこれで明日から卵が食べられる!

 小屋のエサ箱に餌と水を用意して、あとは夕方まで放置でいい。
 ……養鶏農家さんゴメンナサイ、な仕様なのはもうデフォルトである。
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