お一人様大好き30歳、異世界で逆ハーパーティー組まされました。

彩世幻夜

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勇者の初仕事

ぱそこんつかえます……?

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    血を吸われる、なんて。
    ……採血とそう変わらないしと自分に言い聞かせてたはずなのに。
    怖いだのなんだの、余計な事を考える暇すらない程の早業で済まされ、何だか分からない内に穏やかな気分にさせられて終わった。
    ……結局妙に構えてしまっていたのが恥ずかしくなるくらいに、健康診断の採血よりあっさりと「かたじけない」と幸守は私の手を離し、手巾で指先を拭ってくれる。
    ちらりと一瞬だけ私の顔色を伺い、後はつらつらと他愛ない雑談に興じて。
    翌日。
    私達は目的地の一つに到着した。
    ……と言うか、特攻した。
    配置は昨日の訓練と同じ。
    幸守さんは私の盾として傍に付き、他三人が昨日の群れが児戯に見える魔獣を牽制しながら切り伏せる。
    私は結界で身を守り、それを無効化する事のみに専念する。
    その為馬車は今全力で雪の上を駆け、車が酷く揺れ――倒れる、横転すれすれのUターンと同時に作戦開始。
    私は車内から飛び出し、獣と幸守の力を借りて結界を張る。
    背後に大挙する獣を極力視界に入れないようにしながら目の前のそれを見上げる。
    それはまるで子供が絵に描いた様なロケットの様なフォルムをしていた。
    円錐型のとんがり頭に円柱型のボディ。
    飛行機の尾翼のような形をした翼が四枚ついた尻が空を向いた状態で地面に突き刺さる杭だ。
    ボディ部分のドアの丸窓部分が丁度私の胸の高さにある。
    ――そして、そのすぐ脇にあるのは。
    例えば銀行のATMとか。
    例えばクレジットカード決済のレジで。
    そんな場所で見かけるような、数字ボタンが並んだテンキーのキーボード。
    ボタンに記されているのは0、1~9のアラビア数字。
    翻訳機能による見え方ではなく、確かに日本で見慣れたモノ。
    ――この扉を開けたいなら暗証番号を入力せよ。
    そんな無言のメッセージを感じてしまう。
    だって、そんな。
    日本とは別の異世界の産物であるはずの物になんで……?
    たまたまその世界でもアラビア数字が使われてるとかどういう因果が。……それとも駄女神も少しは頭を使った結果が単なる異世界人召喚ではなく地球人……というか日本人の召喚をしたのだろうか。
    ……だからって無理矢理無断でというのは許しがたいけど。
   「ぎゃうっ」
   「ぐぉう」
     ――考え事をする間にも背後の気配はどんどん増える。
     ……気になるけど、後で考えよう。それより、暗証番号は!
     何桁かも分からないのに全てのくみあわせを試すなんて時間は勿論無い。何か……何かヒントは無いか?
    期待薄なのを分かって、それでも機体をとっくり観察する――と……。
    「これ……」
     この寒い中、白くなった吐息が丸窓を曇らせ――指でなぞったらしい文字が現れた。
    「0407」
    それを目にすると同時に指が動く。
     0、4、0、7。
     シュンと軽い音がして、呆気なく扉が開いた。
    ……罠の可能性も考えてそっと指で開いた空間をつついてみるけど……何も起こらない。
    天地が逆さになった室内に入る。
    ……狭い。
    カラオケボックスに一人で入ると案内される小さめの部屋程度の広さしかない。
    殺風景で特に何がある訳じゃないけど。
    辛うじてコンソールらしき物はあった。
    一昔前の、ブラウン管モニター式のパソコンみたいなのが。Macの表記もWindowsの表記も無いけど――これは……。
    恐る恐る主電源らしきボタンを押してみる。
    ブン、と静電気が発する微かな音と共にモニターに光が灯る。
    さて。この世界じゃ縁なんかあるはず無いと思っていたモノ。……随分と旧型な上に見覚えのある大手メーカーのブランドのモノではないけど、これはパソコンと言って良いだろう。
    だけどね。
    古い人はパソコン使えるって言うだけで何でも出来るスーパーマンと勘違いしちゃうんだけどさ。
    私、デザイナーなんです。
    流石にWord・Excel・PowerPointくらいは今どきの社会人の嗜みとして資格まで取って使いこなせるようにしてるけど。
    私、プログラマーでもシステムエンジニアでもないんです。
    プログラミング言語?
    名前くらいは知ってるけど、読み方も使い方も分かんない。
    どうしろって言うのよ!
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