お一人様大好き30歳、異世界で逆ハーパーティー組まされました。

彩世幻夜

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旅は道連れ世は情け

春茨の国

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    「……本当に、突然景色が変わるのね」
    暖かく柔らかいベッドとお風呂に別れを告げ、私は四人の王子達と一路影家の祖国春茨しゅんしの国に向けて旅をしている。
    今回もまずは“装置”へ直行するルートを行く予定と言うが、道など分からない私にも分かるのは、国境を越えた事くらいだ。
    はらはらと舞っていた雪がしとしとと降り続く雨に変わり、あれだけ真っ白だった景色が若い緑と土の色に変わる。
    まだ少し肌寒いけど、これまでの凍てつく寒さと比べればかなり暖かい。
    ――のだけど。
    「……ここも駄目か」
    もう何度目だろう。山の斜面が崩れて道を塞ぐ。……避けて進もうにも土が水を含みすぎてぐしゃぐしゃの泥沼と化し、迂回しなければならないのは。
    馬車を駆る道もぐしゃぐしゃで、車輪が泥溜まりにハマる事態も既に両手の指で足りない回数経験した。
    そんな状態でも出るものは出る。
    獣も魔物も、一部のこの環境に適応した魔物以外は自身も足を取られながらも襲いかかって来る。
    皆その度に戦っている。
    ……文字通りの人外の体力を持つ彼らも、次第に疲弊してきているのが分かる。
    「あと、どのくらいで目的地に着けそうですか?」
    「……正直、分からない。この先一度も迂回せずに行けて3日。でも……まず無理だから」
    「途中、補給できそうな場所は?」
    「……難しいね」
    食料は携帯食ならまだ10日以上は保つし、水は雨がこれだけ降ってるんだから、煮沸すれば困らない。
    だから珍しく私には問題ないんだ、今回は。けれど、他の四人は……
    「和貴、嶺仙、影家。お前達はあとどのくらい耐えられる?」
    「……正直既に厳しい。ギリまで耐えるならあと2日――でもその反動はでかい。そん時に加減できる気がしねーわ」
    「僕はも少し余裕あるけど……和貴の意見には同意するよ」
    彼らにとって吸血は栄養を摂取する為の食事ではなく、その人外の力を行使する代償であり、その消耗次第で血を必要とする。
    力を使わない限りは吸血は必要なく、しかし毎日限界まで力を使えば毎日、下手をすれば日に複数回の吸血を必要とする場合もある。
    そしてここ数日彼らはこの状況を脱する為に力を使い続けていた。
    冬氷の国での吸血から既に数日経過し、補給の為の保存血液のストックが無くなってから三日。
    「……ウチの国ではずっと雨がちな天気が続いていてね。――嵐にまではならないけど、こういう山がちな土地の近くには危なくて家も畑も作れないから」
    だけど、目的の“ブツ”があるのは山の中。行かないわけにはいかない。そしてそこで出てくる魔物と戦ってくれる彼らが欠けて困るのは私という……。
    ――私の食料はまだあるのだ。
   「……ああ、もう。分かりましたよ。加減できる内に必要な分だけ私が血を提供しますよ。だけど、私の血も無限じゃないんで、その辺そちらで何とか調整して下さいよ」
    「――よろしいので?」
    「すまん、だが助かる」
    「うん、ありがとう。……ここの浄化が済んだらウチの王都に招待する。山はこんなだけど水には困らない――いや困らされるくらいあるからね。風呂と魚料理は豊富にある国なんだよ」
    「――では今日は一番消耗の激しい幸守と和貴。私はまだ余裕がありますので明日は影家さん、私はその後でお言葉に甘えましょう」
    ――そして。目的地に無事辿り着いたのはそれから6日後の事だった。
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