お一人様大好き30歳、異世界で逆ハーパーティー組まされました。

彩世幻夜

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旅は道連れ世は情け

疑惑

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    そこは、いつになく静かだった。
    これまで魔物の群れの中を無理矢理突っ込んで行くという無茶をしながらの緊迫感溢れる場面であったのに。
    動けない植物も歩く木トレントも和貴の炎で一掃され、あちらこちらでブスブスと黒焦げの魔物から煙が幾筋も上がり、その場に一時の平穏がもたらされた。
    「……トレントはのろまな魔物。また集まってくるまでしばし猶予ができましたね」
    「ああ。……なぁ、俺も中に入って良いか?    他のは部下に調査の後に解体せよと命じたんだが、ありゃただの鉄屑だと報告を上げてきやがった。どうも動力から何から全て死んでるらしくてな。……生きた状態がどういう物か見てみたい」
    「ええ、同感です。無論四人全員とは言いません。外で警護に当たる者は必要ですから」
    「……なら、嶺仙は中で決まりだね。頭の良さじゃこの中で一番だし。あとは……もう一人、コイントスで決めようじゃない」
    「良いだろう。俺は表に賭ける」
    「トスは嶺仙に頼むとして……僕は裏に賭けるよ」
    「――では同じく裏に賭けましょう。これで当たったら次は表に賭けるが。嶺仙、頼むぞ」
    「恨みっこナシですよ」
    ……結果は表。
    「ありゃ、一回で綺麗に決まっちゃったか」
    「んじゃ、頼むぞアオイ」
    ああ、何てとんでもない事がこうとんとん拍子に決まっていくの!
    胃が痛い。頭も痛い。
    でも、のんびり迷って悩む暇は無いのだ。
    ――隠された暗証番号は……9534。
    ウチのファミリー軽のナンバー下4桁。
    たまたま、と思いたいけど心当たりのある数字が四回共に共通するのなら。
    震えそうな手で番号を押し、扉を開けてパソコンの電源を入れる。
    「……何だこりゃ!?    突然光だしたぞ!」
    「あー、これ自体は無害だから落ち着いて」
    そして四度目となる今回の画面に示されたものは。
    「クロスワードパズル……」
     正方形の枠の中、等分されたこれまた正方形のマスの幾つかに番号が振られ、それに対応した数字の問題を解いてそのワードを当てはめ埋めていき。
    指定のマスに入った文字を組み合わせたそれが最終的な答えとなるパズルゲーム。
    そして。
     ①龍玉の原作漫画家の名前は?
     ……はい、来ましたー!    このゲームの出題者は地球人で間違いない!    てかかなりの確率で日本人だろ! 
    「――なあ、お前は一体何をやってるんだ?    俺にはさっぱり理解できんのだが、お前は全て分かった上でやってるよな?」
    そしてそれを背後で眺めていた和貴から当然の質問が飛んでくる。
    「……ねぇ、和貴はここに表示されてる文字を読めるのかしら?」
    「いや。何かの記号の様には見えるが文字……なのか、これ」
    「ちなみにだけど、コレの送り主達の使う言語や文字を見たり聞いたりしたことは……?」
    「資料として残っている物はあるが解析も分析もまだできてねぇ。……が、それとは違うもののように見える」
     「……そう。――ねぇ、前に私が私の世界でしてた仕事の話をしたのを覚えてる?」
    私は②の問いの、三鷹に美術館を持つ有名アニメスタジオの名前は?    に答えを入力しながら問い返した。
    「ん、ああ。宣伝業だと聞いたな」
    ……正確には広告業なんだけど――まあいい。
    「そう、そこで使ってた道具の話をしたのは?」
    「まあ、特殊なもんでここじゃそのスキルを生かせないと凄い剣幕で糾弾されたんだから忘れようがないな」
    「……そう。――その道具がこれ。いや正確にはとんでもなく旧式の、それもパチもん疑惑のある物だけど。で、今画面に表示されてるのは、私の世界では割とメジャーなパズルゲームよ。――コレまでと同じなら、このゲームに勝てばここは機能停止させられる」
    「……他もこうだったのか?」
    「クリアを要求されたゲームの種類は違ったけどね」
    「……。」
     ああ、黙りこまないでよ。……かといって何か疑う言葉を聞くのも怖いんだけど。
    ――ゲームは無事クリアし、システムは解除できたけど。
    爽快感皆無どころか、気分はあの時牢に放り込まれた時以上に最悪だった。
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