お一人様大好き30歳、異世界で逆ハーパーティー組まされました。

彩世幻夜

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異世界へ

情報収集は酒場で

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    「……本当にここに入るのか?」
    ガチャガチャと騒がしく、ちょっとガラのよろしくない雰囲気の者も居るような店の前。
    「お前、こういう場所苦手なんじゃないのか?」
    「……苦手どころか大嫌いよ」
    客層の大半はむくつけき男達。女は給仕の店員が大半。……直に触れようとする不心得者は居ないようだが、胸や尻をやらしい目つきでじろじろ眺める不届き者は少なくないのはすぐに見てとれる。
    ――だけど。
   「情報収集するなら酒場ってのはだいたいどこの世界でも共通項なのよ。……それでもこんな所、女一人じゃ入れないわ。一応、あんたたちの強さは信頼してるから行けるのよ」
    私は彼らを背後に引き連れ店の敷居を跨いだ。
    テーブル席もあるけど、敢えてカウンター席を選んで座る。
    適当に他のテーブルの様子を眺め、一番多く出ている飲み物とつまみを指して「あれをちょうだい」とカウンターの中に居る男に注文する。
   ジョッキで出てきたのはエールのような酒。
   取り敢えず乾杯してぐっと喉に流し込む。
   ……うーん。日本の美味しいビールに慣れた舌にはちよっと残念すぎる味。
    良い酒を飲み慣れてる王子達も顔に出さないようにしてるけど、いつもより表情が硬い。
    つまみも味が濃すぎて美味しいものじゃない。
    ――けど。
   それらをちびちびやりながら、周囲の声に耳を澄ませる。
    当然、こんなところで本命の情報が手に入るとは思わない。
    ただ、もっと日常的な事――日本なら毎日の夕方のニュースでやるような噂話を仕入れたい。
    ……そう、思って。
    「昨日女房と喧嘩しちまってよぅ」
    「ははっ、今度は何したんだよ!    つーかこんなとこで酒飲んでて良いのか?」
    「給料が少ねーってよ。ガキが腹に居るのにどうすんだってよ。……俺だって頑張ってんのによ、オフクロンとこに援助頼みに行っちまったから今家に独りなんだよ俺……」
    「ははっ、……そりゃ俺も他人事じゃいられねーな。いいぜ、今日のとこは奢ってやるから飲めや。まったくお偉いさんはどういうつもりなんだかね、突然ライフラインの値段を上げるなんざ、俺達庶民を敵に回したいのか?」
    「ウチはまだ給料は据え置きだが、帳簿は見る間に赤が増えてなぁ……。このままじゃ給料どころか倒産も時間の問題だぜ」
    「全く突然マナ不足だとか……。原因不明と言うが、本当なのかねぇ?」
    「つーか、そもそもマナってなんなのよ。何か当たり前にあるから今まで考えもしなかったけどよ、こんな事があるなら他の代替エネルギーへの切り替えも考えた方がいいんじゃねーの?」
    「そうは言ってもなぁ。他って何だよ?」
    「知るかよ!」
    「だろ?    結局頭のよろしい上の連中に考えて貰わなきゃどうにもならん。あー、くそっ!」
    ……どうやら、私達の仕事は確実にこの世界に影響を与えていた様です。
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