現代に生きる吸血鬼が異世界に勇者として召喚されたました。

彩世幻夜

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この世界の生き方

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   「あー、美味ぇ……」
    飯を口に運び、そしゃくしながらしみじみ思う。

    いや、日本ではもっと美味い飯を日常的に食っていた。そしてここ数日は蛍が少ない調味料を駆使して頑張っていた事も知っている。

    ……が。
    やはり久々の、しっかりした味のついた温かい飯が空きっ腹に染みるんだよなぁ。

   「私にもっと稼げる手段があれば……!    もっと調味料増やすのに……!」
     ああ。うん。今余計な事を言うとろくな事にならんな。黙っとこ。沈黙は金、ってな。

     さて。飯を済ませたら、部屋のベッドを蛍に明け渡すべく俺は宿を一旦出る。荷物は部屋に置いて、財布だけ持って。
    既に飲み屋以外の店は店じまいした後だ。
    俺はわりと賑わっている酒場を選んで空いてる席に適当に座る。

    「あー、あっちの人と同じのくれる?」
    店員に注文を告げ、やって来た酒を一口飲む。
    あー、日本の冷えたビールが呑みてぇ……。
    ナニコレ、生ぬるいワインか?
    渋いし酸っぱい。俺達日本の吸血鬼には分からん感覚だが、ヨーロッパが縄張りの“ヴァンパイア様”は、血と同じくらいワインを愛し、果ては血そのものには劣るがその代わりに出来る体質の奴まで居るらしい。
    ――が。コレ、奴等が飲んだら怒って暴れ出しそうな味だ。

    まあ、いい。これはただのツールなのだから。

   「よぉ、最近調子はどうだい?」
    隣の奴に声をかける。
   「一杯奢らせてくれよ」
    タダ酒を餌に会話に混じる。

   「おう、兄ちゃんここらじゃ見かけねぇ顔だな?」
   「ああ。冒険者なんだよ。なもんで、何か儲け話とか景気の良い話とか――逆になんかヤバい噂が無いかとか……まぁ色々聞きたい訳でさ。あ、まずはこの店のつまみのオススメを教えてくれよ、奢らせてくれ」
    「なら角牛のチーズがお勧めだぜ」
    「じゃあ、それを頼むよ!」

    さあ。騒がしい夜の、始まりだ。
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