現代に生きる吸血鬼が異世界に勇者として召喚されたました。

彩世幻夜

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この世界の暮らし方

ふざけるな

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 「……と言うわけで、山一つを好きにして良い。これは破格の扱いなんだぞ?」
 「代わりに魔物の管理をお願いしたい。勇者と聖女のお力であれば容易かろう?」

 ――えー、突然手の甲に浮き上がった模様が勇者と聖女の証だとか言われてあれよあれよと連れてこられたなにやらでかい建物の中。
 昔小学校の社会科見学で見た国会議事堂より広い会議場に立たされる私達。

 告げられたのは「ないわー」って互いに納得し無視する事に決めたあのふざけた求人広告そのままの内容で。

 「嫌です♪」
 「……はい? ――聞き間違えでしょうかね。嫌なんて言いませんよね」
 「いえ、絶対に嫌です。そんな無茶な条件をこなせる人が、この世界に存在するんですか?」

 少なくとも特殊能力でも持たない限りは無茶な条件なんだよ、そもそも。

 「私達は問答無用で無理矢理元の世界の生活を、持ち物から何から全て奪われ本当に着の身着のまま身一つでこの世界に連れて来られ、もう帰れないと言われたんですよ」
 そしてこの世界の事を何一つ知らないまま逃げ出し放浪しつつ知識を得て生活していた。

 「この条件で納得する人、他に居るんですか?」
 「それは、だから勇者と聖女の力で――」
 「そんな力、私達が望んで得たものじゃありません。そしてそんな特殊能力を当てにしなきゃ無茶な条件でどうしてこんなに補助金も安いのか、そんな条件で働きたくないのは当然では?」

 どうやらこの世界の平民は学がないのがデフォルトで、最低限の読み書き計算は教えても、それ以上は上層部で独占しているらしく、私達に学があるなんて一欠片も考えていなかった模様。

 あはは、皆さん慌ててる。

 「ええい、お前たちは大人しく我らの決定に従えば良いのだ、頭が冷えるまで牢屋に閉じ込めておけ!」

 ふーん。そう言う事いっちゃうんだ。
 じゃ、もういいよね?
 大人しくしてなくて良いよね?

 ――直後、会場に爆発音が木霊した。
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