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しおりを挟む飛び出したはいいもののゲームの知識しかなく土地勘があまりない俺の知っている場所は学園ぐらいしかなく通学路をひたすら走った。
息が上がりふと上を見上げる。やはり雲ひとつない晴天。
こんな複雑な気持ちの時ぐらい雨が降ればいいのになんて変に八つ当たりするぐらい今は気持ちが落ち着いていなかった。
止まることなく学園まで走ってきた。呼吸がしづらく地面に座り込む。
突然家を飛び出したので携帯も何も持っていない。
夏休みで人の気配はないのかと思いきや運動部が練習していて人の出入りは多い。
校舎も空いていて俺は東雲先輩を観察する時に使っていた美術室に向かった。そこなら人は滅多に来ない。
美術室につくとグラウンドを眺める。今日はサッカー部は休みのようで野球部がグラウンドを占領していた。
野球部員の声と本館の方から吹奏楽部の演奏が聴こえてくる。
少しだけ落ち着いてきた。
教室の端に置いてある椅子を窓の近くまで持ってきて座る。
そして今後について考える。家には戻りたくない。もし兄がいなくてもいつ来るのかとビクビクしながら過ごすのは嫌だ。
かと言って他に帰るところもない。
「帰りたくないな…」
独り言を呟く。誰かの答えが欲しいが教室には誰もいない。
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