天界送りのサルティエラ

いわみね

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第二章

31話 甘くて美味しいおもてなし

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 しばらくの間、パルガムの面倒を見ることになった俺だが。
「ジル、なんでコイツにこんな特別扱いなんだ。適当なところに放り込んで住まわせれば良いだろ。予告もなかったくらいだ、イルミナも絶対気にしてない」

 俺が雑にそういうと、パルガムが不愉快そうに騒いだ。
「君たちボクを客だと言ったよね。言ったよね。客はもてなすものなんじゃないの?!」
「客っていうのは便宜上そう言ってるだけだ。本来ならそこら辺に放り出されて天界の空気にあてられてのたれ消滅のところを助けてやってるだけでも有り難いと思え」
 息継ぎせずに早口で言ってやった。
 さっきから“ミミルミミル”と煩いしな。

 パルガムがプルプルと震えはじめた。目に涙を浮かべている。
 本当にコイツは魔界生まれの悪魔なのか。
 生身が無いだけで、まるでみたいだ。
『まあまあ、エリヤも落ち着いてよ。パルガムさんは来たばっかりなんだし。これから長い付き合いになるから』
「ならないよ?!君、ジルって言ったっけ?何回言わせるの?ボクはミミルさまのところに帰るんだからっ!」
『……まあまあ、パルガムさんも落ち着いてよ』
 興奮するパルガムに、ジルがどこからともなく何かを取り出し、それをパルガムに渡す。
 液体が入った小瓶だ。いつもの霊薬の水とは違う。
『飲んでみて。きっとすごく美味しく感じるよ』
 パルガムが胡散臭げに小瓶を受け取り、少し間を空けて小瓶の詮を抜いた。
「邪悪な天国地獄の飲み物……」
 臭いを嗅いで、少し迷った様子を見せたが一口だけ飲んだ。
 すでに何度か水を飲んでいるから、警戒心が多少減ってるのかもしれない。
「何これ。甘いし、なんか美味しい……」
『でしょー。もう一本あるんだけど……もっと飲みたい?』
「うん!」
『ゆっくり飲むといいよ』
 ジルはそう言ったが、パルガムは小瓶を受け取ると、さっきと違い今度はすぐさま詮を空けて、躊躇なく飲み干した。
「美味しか…った」

 ずるずる……パタリ。

 パルガムがゆっくりと椅子から崩れ落ちた。


「ジル……。お前」
『ちゃんとボク、ゆっくり飲むように言ったのにね』

 □

 パルガムを椅子に寝かせてようすを見る。
「……何を飲ませてやったんだ?」
『本来は落ち着かせるための薬だよ。でもパルガムさんが一度に二本も飲んじゃうから。それも短時間で』
「お前が飲ませたんだろ。……落ち着きすぎて眠ってるのか」
『人間風に言うと、そうだね』
 エメラルド色の精霊ジルが小さな身を宙でひるがえした。

 全く悪びれたようすがない。
 ──コイツは時々怖い。
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