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第一章
4話 食うか、食われるか
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□□
天界都市サルティエラ
上には青い空と太陽、周囲には畑や、人が住んでいそうな家々や建物が建ち並んだ景色が広がった現界に似せて創られた天界の街。
俺の進む前方に四角や丸の形をした建物が見えている。
風の精霊ジルについて歩くこと人間時間にして約30分くらい経った頃、一番近くに見えていた丸い家に到着すると俺の前を飛んでいたジルが家に向かって声をかけた。
『こんにちはー!』
今からずっと昔に魔界から天界送りになった悪魔が住んでるとかなんとか言っていたが、聞く限り相手は生粋の魔界の住人だ。
(ハッキリ言って嫌な予感がする)
『やあ、ジル!』
声をかけられて家から出てきた悪魔は、人間が好んで着る衣類を着用した頭が目のついたヤカンという姿をしている。
『キミが噂の新人くんだね!わたしの名はハテナ、エリヤくん、キミのことはもう大体知ってるよ。サルティエラの情報網は速いからね。これからよろしく!』
「ああ、よろしく」
『エリヤ、ハテナさんがこの辺りのことを全般的に管理してる、人間で言えば区会長さんみたいなヒトだよ!』
「そこまで現界に似せてるのか」
『まあね!』“すごいでしょ”
「何の意味があるんだ……」
出てきた悪魔は俺のことをもう知っていた。
大方そこら辺を飛び回ってた精霊たちの何匹かがすぐに情報を回すのだろう。いわゆる現界の連絡網、お喋りな連中だ。
『天界の住人は寿命があって無いようなものだから、退屈しないようにいろいろ工夫を重ねてるんだって。それに、魔界から来た住人さんは天界の毒で少しずつ弱っていっちゃうから、少しでも退屈しないようにっていう配慮!』
「どっちだよ。寿命がないから退屈しないようになのか、毒で死んじゃうから退屈させないようになのか」
俺に言われて4匹の色とりどりの精霊たちが顔を見合わせた。
“どっちですかね”“どっちー?”
『えーと、両方?それに、そのうち毒で死んじゃうから様子は見てあげないと』
ジルがそう言うと、ヤカンの悪魔ハテナが言った。
『ところでキミも魔界の王に挑もうって口なのかい?』
(値踏みする嫌な視線だ。こいつは今、自分と俺のどっちが強いか測っている。魔力量だけなら大差はないはずだが生まれて1日しか経たない今の俺は分が悪い)
『魔界王に挑むなら力をつけないといけないね。それ以前に天界の魔力を克服するか、ここから脱出する必要がある。でなきゃキミはそのうちここで消滅してしまう。これまでにも多くの者たちが人知れず消滅してしまった』
やはりそうなるのか。
サルティエラに来てから思ったほどダメージを食らっていないので、ひょっとしたら何とかなるんじゃないのかなんて思いそうになっていたが。
そんなに甘いもんじゃないらしい。
「そういうハテナさんは大丈夫なのか?あんた見た目に元は魔界の悪魔か魔物だろう?天界にいて平気なのか、それとも克服できたのか?」
不味い。
こいつから今すぐ距離を取った方がいいと俺の直感がそう言っている。
ジルや他の精霊たちは何も感じないのか?
そもそもこいつらは何故俺をこいつに引き合わせた?
『あはは、キミはなかなか率直だねぇ。わたしは確かに魔界の魔物だ。だが天界の魔力を克服したわけでも平気なわけでもない』
「ならどうしてそんなに平然としているんだ?」
俺は既にその答えに行き着いているが、敢えて聞いた。
『サルティエラにいるおかげなのが殆どの理由だけど、もう1つ理由がある。知りたいかい?』
「教えてくれるのか」
『無料というわけにはいかない』
俺は少しオーバーめに手振りを交えて言った。
「生憎だが、金なんて持っていない」
『わたしが欲しいのはお金じゃなく、キミの根源魔力さ』
エリヤを見るハテナの瞳が怪しく光りはじめている。
(こいつの頭の中の模擬戦闘で俺は敗北を喫したらしい)
最早聞かなくても、ヤカンの次の行動は決まっているが、念のため俺は聞いてみた。
「あんた、それがどういう意味かわかってるのか?」
『わかっているとも!キミと契約してキミの願いを叶え、わたしはキミの魂を丸ごといただく』
『ハテナさん?!!』
“え?なに?ハテナっちどうしちゃったの” “どうしたんです?!”
「それがここにいて平気な理由か」
これまでに消えた連中はみんながみんな、天界の毒にやられて消えたんじゃない。
こいつみたいな天界送りの悪魔に食われたんだ!
「契約なんて誰がしてやるかよ!」
(この様子だとジルたちは本気で気付いてなかったのか?見たままのお人好し!!)
『残念だなー、それだと実力行使するしかないね』
ハテナが抑え隠していた魔力が急上昇して天界都市サルティエラの空気が震える。
(これまでに食らってきた奴らの魔力で力をつけていやがる。大地も揺るがすこの振動、この魔力、イルミナとか言う創造神が気付かないとは思えない。やはりグルか?!)
「食われてたまるか!!!」
天界都市サルティエラ
上には青い空と太陽、周囲には畑や、人が住んでいそうな家々や建物が建ち並んだ景色が広がった現界に似せて創られた天界の街。
俺の進む前方に四角や丸の形をした建物が見えている。
風の精霊ジルについて歩くこと人間時間にして約30分くらい経った頃、一番近くに見えていた丸い家に到着すると俺の前を飛んでいたジルが家に向かって声をかけた。
『こんにちはー!』
今からずっと昔に魔界から天界送りになった悪魔が住んでるとかなんとか言っていたが、聞く限り相手は生粋の魔界の住人だ。
(ハッキリ言って嫌な予感がする)
『やあ、ジル!』
声をかけられて家から出てきた悪魔は、人間が好んで着る衣類を着用した頭が目のついたヤカンという姿をしている。
『キミが噂の新人くんだね!わたしの名はハテナ、エリヤくん、キミのことはもう大体知ってるよ。サルティエラの情報網は速いからね。これからよろしく!』
「ああ、よろしく」
『エリヤ、ハテナさんがこの辺りのことを全般的に管理してる、人間で言えば区会長さんみたいなヒトだよ!』
「そこまで現界に似せてるのか」
『まあね!』“すごいでしょ”
「何の意味があるんだ……」
出てきた悪魔は俺のことをもう知っていた。
大方そこら辺を飛び回ってた精霊たちの何匹かがすぐに情報を回すのだろう。いわゆる現界の連絡網、お喋りな連中だ。
『天界の住人は寿命があって無いようなものだから、退屈しないようにいろいろ工夫を重ねてるんだって。それに、魔界から来た住人さんは天界の毒で少しずつ弱っていっちゃうから、少しでも退屈しないようにっていう配慮!』
「どっちだよ。寿命がないから退屈しないようになのか、毒で死んじゃうから退屈させないようになのか」
俺に言われて4匹の色とりどりの精霊たちが顔を見合わせた。
“どっちですかね”“どっちー?”
『えーと、両方?それに、そのうち毒で死んじゃうから様子は見てあげないと』
ジルがそう言うと、ヤカンの悪魔ハテナが言った。
『ところでキミも魔界の王に挑もうって口なのかい?』
(値踏みする嫌な視線だ。こいつは今、自分と俺のどっちが強いか測っている。魔力量だけなら大差はないはずだが生まれて1日しか経たない今の俺は分が悪い)
『魔界王に挑むなら力をつけないといけないね。それ以前に天界の魔力を克服するか、ここから脱出する必要がある。でなきゃキミはそのうちここで消滅してしまう。これまでにも多くの者たちが人知れず消滅してしまった』
やはりそうなるのか。
サルティエラに来てから思ったほどダメージを食らっていないので、ひょっとしたら何とかなるんじゃないのかなんて思いそうになっていたが。
そんなに甘いもんじゃないらしい。
「そういうハテナさんは大丈夫なのか?あんた見た目に元は魔界の悪魔か魔物だろう?天界にいて平気なのか、それとも克服できたのか?」
不味い。
こいつから今すぐ距離を取った方がいいと俺の直感がそう言っている。
ジルや他の精霊たちは何も感じないのか?
そもそもこいつらは何故俺をこいつに引き合わせた?
『あはは、キミはなかなか率直だねぇ。わたしは確かに魔界の魔物だ。だが天界の魔力を克服したわけでも平気なわけでもない』
「ならどうしてそんなに平然としているんだ?」
俺は既にその答えに行き着いているが、敢えて聞いた。
『サルティエラにいるおかげなのが殆どの理由だけど、もう1つ理由がある。知りたいかい?』
「教えてくれるのか」
『無料というわけにはいかない』
俺は少しオーバーめに手振りを交えて言った。
「生憎だが、金なんて持っていない」
『わたしが欲しいのはお金じゃなく、キミの根源魔力さ』
エリヤを見るハテナの瞳が怪しく光りはじめている。
(こいつの頭の中の模擬戦闘で俺は敗北を喫したらしい)
最早聞かなくても、ヤカンの次の行動は決まっているが、念のため俺は聞いてみた。
「あんた、それがどういう意味かわかってるのか?」
『わかっているとも!キミと契約してキミの願いを叶え、わたしはキミの魂を丸ごといただく』
『ハテナさん?!!』
“え?なに?ハテナっちどうしちゃったの” “どうしたんです?!”
「それがここにいて平気な理由か」
これまでに消えた連中はみんながみんな、天界の毒にやられて消えたんじゃない。
こいつみたいな天界送りの悪魔に食われたんだ!
「契約なんて誰がしてやるかよ!」
(この様子だとジルたちは本気で気付いてなかったのか?見たままのお人好し!!)
『残念だなー、それだと実力行使するしかないね』
ハテナが抑え隠していた魔力が急上昇して天界都市サルティエラの空気が震える。
(これまでに食らってきた奴らの魔力で力をつけていやがる。大地も揺るがすこの振動、この魔力、イルミナとか言う創造神が気付かないとは思えない。やはりグルか?!)
「食われてたまるか!!!」
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